メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男

2019-08-05 09:15:05 | 映画
ボルグ/マッケンロー (BORG McENROE, 2017、スウェーデン/デンマーク/フィンランド、107分)
監督:ヤヌス・メッツ
スヴェリル・グドナソン(ボルグ)、シャイア・ラブーフ(マッケンロー)ステファン・スカルスガルド(レナート)、ツヴァ・ノヴォトニー(マリアナ)
 
ビヨン・ボルグがウィンブルドン5連覇をかけた1980年のジョン・マッケンローとの決勝戦に至る半生を、その冷静沈着なイメージの裏に隠された神経質でピリピリした性格、生活とうまく作られた試合のシーンが中心、彼と対照するようにマッケンローも描かれるが、こっちはよく知られているイメージの裏側を掘り下げるところまではいっていない。
 
私もこの時代、へぼな素人テニスをちょっとやっていたし、ブームでもあったから、ここに名前が出てくる選手たち、それぞれのラケット、ウェアなど、記憶に残っていて、時間を引き戻された感はある。
 
やはり中心は、ボルグの苦闘で、4連覇したものにしかわからないものの次なる挑戦というのは、本当に納得させられる。
 
こういう映画ではキャスティングが難しいとは思うのだが、ボルグは本当にそっくり。この人は「ストックホルムでワルツを(2013)」でなかなかいい味を出していた。一方、マッケンローの風貌はちょっとかわいすぎるが、左利きのサーブなど、体の動きはよほどよく練習したのだろう、感じは出ていて、記憶がよみがえってきた。彼の有名なお父さん、よく似ている。
 
この決勝戦、なんといってもハイライトは第4セット、マッケンローがマッチポイントを何度か切り抜けて臨んだタイブレーク、ここでもマッチポイントに何度もなるのだが、ここをマッケンローは切り抜ける。ファイナルセットはマッケンローも疲れたのか、ボルグがわりあいすんなりとってしまう。
 
この30分を超えるタイブレーク、TVで夜中に生で見てはいなかったかもしれないが、録画放送では堪能し、保存していたビデオは何度か見た。どちらかというとマッケンローのファンだった。
 
二人はこの試合ののち、友人なったそうだ。それぞれ引退して、1990年代だったか有明テニスの森で開催されたエキジビションで楽しそうにプレイする彼ら(ジミー・コナーズもいた)を見たのを思いだす。
 
さて、見る前に思い出したのだが、この映画を創った人の頭の中にはおそらく「ラッシュ/プライドと友情(2013)」が少しはあっただろう。こっちはF1でのニキ・ラウダとジェームズ・ハントの年間チャンピオン争いで、時代もボルグの連覇期間とほぼ重なる。もっともF1はかかわる人、組織も多いし、全体の見え方は派手、創り方は当然違う。世界的な集客は見込めるからそれはもっとも、そして監督はあのロン・ハワードであった。

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