坂本繁二郎展 没後50年
練馬区立美術館 7月14日(日)- 9月16日(月・祝)
坂本繁二郎(1882-1969)の名前はこの人の生前たしかに記憶がある。ただその後、描く対象や画風から、必ずしも理解したとは言えず、高い評価も何故?という感があった。
それでも今回は没後50年ということから、その全体を眺めておくのもいいだろう、と出かけてみた。
坂本が久留米の出身ということは知っていたが、同じ久留米出身の青木繁(1882-1911)と小学校同級ということは初めて知った。その後やはり同郷の石橋正二郎が二人の作品収集に力を注いだこともあり、今回の展覧会にもブリヂストン美術館で見た記憶がある青木の作品が参考として展示されている。こうしてみると、やはり私には青木の絵の方が訴求力がある。
坂本といえば牛の絵のイメージが強いが(牛は坂本自身であるといわれたこともあるそうだ)、ここで見ると少し遅い渡欧の前が牛、その後は馬、そして静物、視力が弱くなった晩年は月が多くなったようだ。
それでも描き方は共通するところが多く、なにか擦りガラスを透したような茶や青が多用されていて、どうしてもぼおっとした感じが抜けない。モネのように、少し離れてみるとはっきりしてきて浮き上がってくるという風でもない。
ただ試しに、より近く寄ってみて、瞳の開きかたを変化させてみようとしているうちに、「水より上がる馬」や果物、卵などの静物などが少し鮮明になることはあった。これが何か本質的なものなのかどうかはわからないが。
今回初めて見るものとして、能面を描いたいくつかには、何かほかの対象とはちがった不思議な印象があった。
人物画としては「帽子を持てる女」、何度か見た記憶があるが、そうよく描く題材ではないためか、むしろ画家がうけた刺激と発揮した力が感じられた。
結果として、これまでの印象とそう変わったわけではないが、こうしてまとめて展示してくれた甲斐は、少しあったということができるだろう。
練馬区立美術館 7月14日(日)- 9月16日(月・祝)
坂本繁二郎(1882-1969)の名前はこの人の生前たしかに記憶がある。ただその後、描く対象や画風から、必ずしも理解したとは言えず、高い評価も何故?という感があった。
それでも今回は没後50年ということから、その全体を眺めておくのもいいだろう、と出かけてみた。
坂本が久留米の出身ということは知っていたが、同じ久留米出身の青木繁(1882-1911)と小学校同級ということは初めて知った。その後やはり同郷の石橋正二郎が二人の作品収集に力を注いだこともあり、今回の展覧会にもブリヂストン美術館で見た記憶がある青木の作品が参考として展示されている。こうしてみると、やはり私には青木の絵の方が訴求力がある。
坂本といえば牛の絵のイメージが強いが(牛は坂本自身であるといわれたこともあるそうだ)、ここで見ると少し遅い渡欧の前が牛、その後は馬、そして静物、視力が弱くなった晩年は月が多くなったようだ。
それでも描き方は共通するところが多く、なにか擦りガラスを透したような茶や青が多用されていて、どうしてもぼおっとした感じが抜けない。モネのように、少し離れてみるとはっきりしてきて浮き上がってくるという風でもない。
ただ試しに、より近く寄ってみて、瞳の開きかたを変化させてみようとしているうちに、「水より上がる馬」や果物、卵などの静物などが少し鮮明になることはあった。これが何か本質的なものなのかどうかはわからないが。
今回初めて見るものとして、能面を描いたいくつかには、何かほかの対象とはちがった不思議な印象があった。
人物画としては「帽子を持てる女」、何度か見た記憶があるが、そうよく描く題材ではないためか、むしろ画家がうけた刺激と発揮した力が感じられた。
結果として、これまでの印象とそう変わったわけではないが、こうしてまとめて展示してくれた甲斐は、少しあったということができるだろう。