ロッシーニ:歌劇「セミラーミデ」
指揮:マウリツィオ・ベニーニ、演出:ジョン・コプリー
アンジェラ・ミード(セミラーミデ)、エリザベス・ドゥショング(アルサーチェ)、イルダール・アブドラザコフ(アッスール)、ハヴィエル・カマレナ(イドレーノ)、ライアン・スピード・グリーン(高僧オローエ)、サラ・シェーファー(アゼーマ)
2018年3月10日 ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場、 2019年9月WOWOW
ロッシーニ(1792-1868)は多作家で喜劇が多いが、これはオペラ・セリアの大作、比較的後期のもの(1823)である。没後150年を記念してメトで上演されたようだ。
物語は古代バビロニア、皇后セミラーミデは夫であるニーノ王を王族の一人アッスールと結託して毒殺してしまう。15年経って、彼女は夫を選び新しい王とすることになるのだが、それを狙っていたアッスールには内緒で、アルサーチェと一緒になりたいと思っている。ところがアルサーチェは王女の一人アゼーマに恋している。一方アゼーマはイドレーノにもねらわれている。
そして先王の亡霊の宣託によれば、実はアルサーチェは先王とセミラーミデの息子、彼は危うく生き延びていた。
こうなると先のラモー「イポリットとアリシー」と何か似ている。こういう構図はよくあるのだろうか。もっとも今作では、ラモーのように神々の世界はなく、亡霊が登場するだけで、この構図の中でどろどろの愛憎劇を、輝かしく長く続くアリアや二重唱で、劇場一杯に楽しませるというわけである。
そうなるとそれだけの歌手をそろえるのは大変で、これはメトで、没後150年で、ということになるのかもしれない。私が最近よく観るのはアブドラザコフくらいで、主役のアンジェラ・ミードは一昔前のきわめて恰幅のよいソプラノ、メトのオーディションで見いだされたようだが、どうもその時のドキュメンタリーは見た記憶がある。ドゥショングは女性による男役つまりズボン役だが、この設定はストーリーにはあっているかもしれない。
カマレナの高音も聴かせるし、長身のグリーンは若いがパワーに威厳が加わっていてなかなかいい。
指揮、演出は破綻なく納得がいくものだった。
この作品、第一幕で全体の構図がよく見え、そのあとは声の競演を楽しめばいい。どろどろの話しではあるけれど、展開はそれほどドラマチックというほどではなく、ほぼ予想がつく。全曲を聴いたのは初めてだったが、序曲はよく演奏されるもので、耳につくメロディー。
指揮:マウリツィオ・ベニーニ、演出:ジョン・コプリー
アンジェラ・ミード(セミラーミデ)、エリザベス・ドゥショング(アルサーチェ)、イルダール・アブドラザコフ(アッスール)、ハヴィエル・カマレナ(イドレーノ)、ライアン・スピード・グリーン(高僧オローエ)、サラ・シェーファー(アゼーマ)
2018年3月10日 ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場、 2019年9月WOWOW
ロッシーニ(1792-1868)は多作家で喜劇が多いが、これはオペラ・セリアの大作、比較的後期のもの(1823)である。没後150年を記念してメトで上演されたようだ。
物語は古代バビロニア、皇后セミラーミデは夫であるニーノ王を王族の一人アッスールと結託して毒殺してしまう。15年経って、彼女は夫を選び新しい王とすることになるのだが、それを狙っていたアッスールには内緒で、アルサーチェと一緒になりたいと思っている。ところがアルサーチェは王女の一人アゼーマに恋している。一方アゼーマはイドレーノにもねらわれている。
そして先王の亡霊の宣託によれば、実はアルサーチェは先王とセミラーミデの息子、彼は危うく生き延びていた。
こうなると先のラモー「イポリットとアリシー」と何か似ている。こういう構図はよくあるのだろうか。もっとも今作では、ラモーのように神々の世界はなく、亡霊が登場するだけで、この構図の中でどろどろの愛憎劇を、輝かしく長く続くアリアや二重唱で、劇場一杯に楽しませるというわけである。
そうなるとそれだけの歌手をそろえるのは大変で、これはメトで、没後150年で、ということになるのかもしれない。私が最近よく観るのはアブドラザコフくらいで、主役のアンジェラ・ミードは一昔前のきわめて恰幅のよいソプラノ、メトのオーディションで見いだされたようだが、どうもその時のドキュメンタリーは見た記憶がある。ドゥショングは女性による男役つまりズボン役だが、この設定はストーリーにはあっているかもしれない。
カマレナの高音も聴かせるし、長身のグリーンは若いがパワーに威厳が加わっていてなかなかいい。
指揮、演出は破綻なく納得がいくものだった。
この作品、第一幕で全体の構図がよく見え、そのあとは声の競演を楽しめばいい。どろどろの話しではあるけれど、展開はそれほどドラマチックというほどではなく、ほぼ予想がつく。全曲を聴いたのは初めてだったが、序曲はよく演奏されるもので、耳につくメロディー。