トゥランガリラ交響曲(1949)作曲:オリヴィエ・メシアン(1908-1992)
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ、ピアノ:ロジェ・ムラロ、オンド・マルトノ:シンシア・ミラー
NHK交響楽団、2019年6月19日 サントリー・ホール 2019年9月 NHK Eテレ
この80分近くかかる大曲を通して聴いたのは初めてだと思う。20世紀音楽におけるメシアンの位置付けは一応知っているし、キリスト教、鳥の声などの世界も、コンサートや録音でピアノや室内楽でかなり親しいものになっている。それまでのクラシック音楽の系譜、またその流れからきた多くの現代音楽とも違うのだが、特に若いころからメシアンを弾いていたミシェル・ベロフのピアノは、生で聴いたこともあった。
ただこの交響曲は録音であってもそう簡単に聴くというわけにはいかなかった。このところ20世紀音楽をうまくプログラムに取り入れることが多くなったN響のおかげである。それにやはり映像があるのは理解を助ける。
さて、これは比較的短いフレーズの繰り返し、楽器、音色の変化などはあるものの、一見単調な感じで飽きるかと思うとそうでもなく、この「場」で何かを感じ続けるといったもの、と思った。なんとか聴き続けたあとで、具体的な理解、評価はまだできない。
ただこれは解説されたとおり、ピアノが協奏曲風でなく、オーケストの主要楽器として活躍し、またオンド・マルトノという1928年にできた世界初の電子楽器ともいわれる鍵盤楽器を少しはみ出たものの効果が特色である。
特に後者は鍵盤以外にリボンというものがあり、詳しくはわからないが、グリッサンド的な音が多く、離散的な進行ではない。そして音色はこの曲の宗教的恍惚、法悦とでもいった響きをよくサポートしていた。
オンド・マルトノのような、音高が刻まれていないものに興味があるのは、最近ジャズ・ヴォーカルを聴いたり、歌ったりしていて、トロンボーンの影響に思い当たったからである。トミー・ドーシーというトロンボーン奏者が率いていた楽団があって、専属の作曲家/歌手であったマット・デニスがいくつもの名曲を書いたのだが、それらの中にはトロンボーンの連続的音高変化にあったようなものがいくつもある。またそのころ楽団付きであったフランク・シナトラが歌うマット・デニスの歌は、それにあった唱法を工夫していて、それは後の、デニス以外の曲でも感じられる。
なお知らなかったが、トゥランガリラ交響曲はボストン交響楽団の音楽監督であったセルゲイ・クーセヴィツキーの委嘱で創られ、初演の指揮はレナード・バーンスタインだったそうだ。
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ、ピアノ:ロジェ・ムラロ、オンド・マルトノ:シンシア・ミラー
NHK交響楽団、2019年6月19日 サントリー・ホール 2019年9月 NHK Eテレ
この80分近くかかる大曲を通して聴いたのは初めてだと思う。20世紀音楽におけるメシアンの位置付けは一応知っているし、キリスト教、鳥の声などの世界も、コンサートや録音でピアノや室内楽でかなり親しいものになっている。それまでのクラシック音楽の系譜、またその流れからきた多くの現代音楽とも違うのだが、特に若いころからメシアンを弾いていたミシェル・ベロフのピアノは、生で聴いたこともあった。
ただこの交響曲は録音であってもそう簡単に聴くというわけにはいかなかった。このところ20世紀音楽をうまくプログラムに取り入れることが多くなったN響のおかげである。それにやはり映像があるのは理解を助ける。
さて、これは比較的短いフレーズの繰り返し、楽器、音色の変化などはあるものの、一見単調な感じで飽きるかと思うとそうでもなく、この「場」で何かを感じ続けるといったもの、と思った。なんとか聴き続けたあとで、具体的な理解、評価はまだできない。
ただこれは解説されたとおり、ピアノが協奏曲風でなく、オーケストの主要楽器として活躍し、またオンド・マルトノという1928年にできた世界初の電子楽器ともいわれる鍵盤楽器を少しはみ出たものの効果が特色である。
特に後者は鍵盤以外にリボンというものがあり、詳しくはわからないが、グリッサンド的な音が多く、離散的な進行ではない。そして音色はこの曲の宗教的恍惚、法悦とでもいった響きをよくサポートしていた。
オンド・マルトノのような、音高が刻まれていないものに興味があるのは、最近ジャズ・ヴォーカルを聴いたり、歌ったりしていて、トロンボーンの影響に思い当たったからである。トミー・ドーシーというトロンボーン奏者が率いていた楽団があって、専属の作曲家/歌手であったマット・デニスがいくつもの名曲を書いたのだが、それらの中にはトロンボーンの連続的音高変化にあったようなものがいくつもある。またそのころ楽団付きであったフランク・シナトラが歌うマット・デニスの歌は、それにあった唱法を工夫していて、それは後の、デニス以外の曲でも感じられる。
なお知らなかったが、トゥランガリラ交響曲はボストン交響楽団の音楽監督であったセルゲイ・クーセヴィツキーの委嘱で創られ、初演の指揮はレナード・バーンスタインだったそうだ。