メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

マスネ「マノン」(メトロポリタン)

2013-06-08 10:12:50 | 音楽一般

マスネ:歌劇「マノン」

指揮:ファビオ・ルイージ、演出:ロラン・ペリー、原作:アベ・プレヴォー

アンナ・ネトレプコ(マノン)、ピョートル・ベチャワ(騎士デグリュー)、パウロ・ジョット(レスコー)、クリストフ・モンターニュ(ギョー)、デイヴィッド・ピッツィンガー(伯爵デグリュー)

2012年4月7日 ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場  2013年5月 WOWOW

 

マノンというとプッチーニ「マノン・レスコー」しか知らず、またこの作品も話が苦手という感じで、しっかり聴いたことがない。マスネにも同じ原作の作品があったのか、という恥ずかしい次第。

 

しかし、プッチーニのいかにもヴェリスモというイメージ(先入見かもしれないが)よりは、こっちをまず見てよかったと思う。

こういう話のわりにはとにかく音楽が全編美しく、そのなかで歌唱と演技でどうか、ということだから、見る方は楽しめる。

プッチーニほど際立ったメロディーはなくても、舞台を見ているといい気持ちになれる。それとフランス語の歌詞というのも、ぴたり。

 

それになんといってもアンナ・ネトレプコ、歌唱の素晴らしさはもちろんだが、妖艶な美人というよりはちょっとぽっちゃりの可愛い顔だけれど、その演技が嫌味でなく色気があり、修道院に入る予定の娘から、社交界のちょっといわくありげな花形、そして女囚と、一人で演じ分け、見ていて飽きない。

この人のレパートリーでも、コミカルな「ドン・パスクワーレ」(ドニゼッティ)と並んで代表的なものではないか。

ベチャワのデグリュー、姿も含め、マノンに翻弄される二枚目として、自然に受け取れる。この人の描き方、そして父親、宴会、博奕、、、はてどこかでと思ったら「椿姫」あたりの借用といえなくもない。それはかまわない。「ラ・ボエーム」もこれに通じるところがある。

 

ルイージの指揮は流麗で、オーケストラをうまく乗せている。この人のイメージからドイツものgが得意?と思っていたが、よく考えればイタリア人。

 

ロラン・ペリーの演出、うるさくない装置、時代的にもっと後の衣装で、ドラマ、音楽に集中できてよい。

 

 

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« サイコ(ヒッチコック) | トップ | ムローヴァのショスタコーヴィチ »

音楽一般」カテゴリの最新記事