我関せず焉。(われかんせずえん)
小学生の頃、父からこういう訳の分からないことを聞かされていました。
私は、自分には関係ないという言葉、我関せずと関節炎をシャレで結びつけているのかと思っていました。(笑)
そうそう、こういうこともありました。
酒豪だった父はお酒を浴びるように飲んで暴れて母や私たち姉弟を苦しめました。翌日小さい子が悪戯をした後のように首をすくめて私たち(特に私が怖かったみたい)に機嫌を取るのです。
「昨日パパはこう言っていたじゃない!」
「……」
「何で昨日と今日は違うこと言うの?」
「……」
「何とか言ったら?」
すると、父は堂々とこういうのです。
「君子豹変す」
なに、それ!
こんな親子喧嘩を何回したことでしょう。
その度に新しい腕時計やお洋服をゲットした私。
今は亡き父が懐かしいです。
さて、一昨日から九州に来ています。
昨日は佐賀新聞カルチャーの集中講座。
そして忘年会。
田原豊道先生と私の、師弟愛溢れるバトルが繰り広げられました。
我関せず焉。(われかんせずえん)
田原先生は「焉」は発音しない…と主張されます。「焉」は漢文で断定の意を表すのに用いる助辞であるから本来は誤用である…と。
「誤用であることは認識していますが、我関せず焉と書かれていれば普通はわれかんせずえん…と読むのでは?」と私。
「いや、焉という字が書いてあっても発音はしない」
いつもなら田原先生は「私勘違いしてたよ」と、ス~ッと終わるのに終わらない。
この話は藪の中。
その他の話もたくさん出て知的好奇心が溢れる忘年会でした。
散会してホテルに入ってお風呂に入り、一服。しかし、ムクムクと私の悪い虫が騒ぎはじめました。
結局朝方4時まで「焉」を調べてました。
田原先生は置き字のことをおっしゃっていたのですね。
置き字とは…
漢文を訓読する時に読まない助字。
でも先生!我関せず焉は漢文ですか?
と、まだ私は主張しています。(笑)
田原先生も私も一歩も引かず。目を白黒させていらした皆さんを思い浮かべています。
広島に着きました。(荻山貴美子)