東武東上線脱線事故に大当たり!
車両が左右に大きく揺れ、今まで聞いたことがないような不気味な音。そして白煙。
急ブレーキとともに電車が止まりました。
どこからともなく「飛行機に間に合わない!」と、悲鳴にも似た女性の声。
何かのトラウマなのか泣き出す人。
じたばたしてもはじまらない…と、こんな時は妙に呑気になるワタシ。
向かい側に座っていた色白のおっとりした女性と目が合いました。
アナウンスは「今確認中」。
誰も怒る人はいません。
数十分後
「この電車は脱線しました。当分動きません」
「そうなんだ!脱線しちゃったんだ!」
色白の美人に「大当たりですね。宝くじ買いましょうか」といったら彼女もノリノリ。笑い飛ばしました。
やがて、飛行機の緊急脱出のように滑り台で降りた私たち乗客。
私は、今後一切スカートをはかない!と、つまらない決心をしました。
ニュースで流れないことを願いつつ…。
どうやら脱線は5両目のようでした。私が乗っていたのは4両目(惜しい!)
さて、電車から脱出したのはいいけれど
「ここはどこ?」
警察官に聞いてもよくわからない。どこにいるか分からなければ手段もなし。
すると、知らないおじさんが「どこに行きたいの?」と聞いてくれました。
「池袋に行きたいのですが…」
「バス停はあそこだよ」
と指さしましたが、バス停は長蛇の列。
「でもね。池袋行きのバスはあまり本数がないから日大行きのバスで行き、日大まで行くとバスが頻繁にでているよ」と。
その長蛇の列に並びました。バスは来たけれどとてもとても乗れない。
列に並んでいた方とすっかり仲良しになりました。その中にさっき向かい側に座っていた色白の美人もいたのです。4人でタクシーで行きましょうか。と、意気投合したもののタクシーは出はらっている。
そういえば、さっきのオジサンが言っていたっけ!
「日大まわりで行きましょう」と、まるで旧知の友人を誘うように、誰もがスルーする日大行きに乗りました。日大まで10分程度、笑いながら喋りながら…。日大に着いたら、池袋行きが待っていてくれました。
色白の美人は京都から一年前に東京にいらしたとか。
品のよい奥さまは娘さんのところにいくところ。
もう一人は早稲田の教育学部の学生さん。
何だかウキウキ楽しい数時間でした。
池袋に着いたら、目の前に宝くじ売り場。30年ぶりに買いました。
さて問題は帰りです。
iPadで確認すると、東上線は再開のメド立たず。
赤羽まわりで帰るか?
タクシーで帰るか?
気がつけば池袋西口のタクシー乗り場の長蛇の列に…。
すると、酔っぱらいの知らないおじさんが、私に寄ってきて「池袋東口からときわ台までバスが出てるよ」と。
何で私がときわ台って知ってるの?
酔っぱらいの人なんか絶対に信じていないのに今日は信じる!(笑)
かくして私は、池袋東口のバス停に向かいました。
ありました。酔っ払いのオジサンの言うとおりに…
でも、お勤め帰りの疲れた表情の人たちの長蛇の列。
誘導している係員に「このバスはときわ台にいきますか?」
と確認したら「行きますが気が遠くなるほどの時間がかかりますよ」
カフェでも行こう…と歩いていたら、目の前にタクシーがスーッと。
面白い運転手さんで話が盛り上がり、自宅マンションに無事到着。タクシー代をおまけしてくれました。
今日、出会ったオジサンは、オジサンに姿を変えた天使かも…
今日は面白い一日でした。(荻山貴美子)