マイブームとなっている「電車男」であるが、伊藤美咲が演じるエルメスの雰囲気、実は身近にいる誰かに似ている気がしてならず、さりとて、それが誰だったかがなかなか思い浮かない。ここんとこずっとそんなもどかしい思いが拭いきれなかった。
いや、あなたのことでない。いえ、あの~、さらーっと聞き流して欲しい。
今日の午後のことである。姪っ子から電話があった。
「あの~もしもし…」
この一言で、喉もとにつかえていたものが取れた。彼女のおっとりした口調と、一歩引いたテンポは、まさにエルメスそのものである。
思わず身を乗り出す向きもあろうが、君はオタではないはずである、冷静に。抑制を乞う。また、猜疑心の強い向きは、
「ネタでつか?」
と斜に構えずに聴いて欲しい。
いつも控えめで、軽い微笑とともに会釈するだけの彼女だから、ぼく自身、気づくのが遅れたのも無理はない。美術を専攻し、黙々と陶芸に励み、生徒たちに寄り添うようにして授業をしているはずであるが、それすら信じられないような女性である。
で、(電話で)その話を切り出した途端、
「うわ~っ、ほんとぉ!?」
と素直に歓んでくれている。
その電話というのが、Wordの作業中にテキストボックスを挿入すると決まって強制終了してしまうというものだ。そこで、Officeのパッケージを用意して、アプリケーションの修復をしてみるよう勧めた。
「ついては、なんやけどさぁ…(志摩の喋り方)」
「…。」
と、ぼく。何か、錯覚だった…ような…気が…しないでも…。
まあ、世界はそれを愛と呼ぶのだぜぇ。