夕方、ヴェル・ヴァーグ・ビアンフェのシェフがお詫びに来てくれた。土曜日、満員で食事できなかった件である。いつもながら律儀で、丁寧な対応をしてくれて、こちらの方が恐縮してしまう。昨日、娘から、ケーブルテレビの10チャンネル、「志摩ステーション」でシェフのお店が放映していたことを聞かされていたので、その旨伝えると、どうやらシェフ自身もまだ観ていないらしい。
娘が言うには、冒頭、教室の前で前説があって、教室のドアが映っているとのこと。
「そのためにガラスのドアに変えたんさ」
と、ぼく。まあ、これは嘘。
シェフ、テレビカメラの前だといつもと違ってさすがにカタイ表情だったらしい。料理に関しては薀蓄が豊かで、語らせれば教授のような風情が漂う人であるが、ふだんは温厚な笑顔がよく似合う。さっそく、観てみようと思う。
さらに連続2回も喰いッぱぐれている娘が言う。
「季節感漂うパスタのコースが目に毒」
だったらしい。
ここで、トリビアである。店名の「ヴェル・ヴァーグ・ビアンフェ」であるが、どういう意味だぁ?
パスタが売り物であるが、基本的にフレンチ・レストランである。フランス語で書かれた看板には、「Belle Vague Bienfait」とある。これは以前教室でも話題になったことがある。一種の推理ゲームだ。ある会社の幹部研修の時で、ツワモノが揃っていた。
- 映画で、昔、"ヌーベル・ヴァーグ"ってあったよね。アレ、「新しい波」っていう意味じゃなかったっけ
- "Bienfait"は英語の"Benefit(利益・恩恵)"じゃないかなぁ~
- "Belle"はうちの奥さんの愛称だよ…
喧々諤々の意見の後、「美しき波の恵み」と衆議一決したのである。これが教室の公式見解。シェフに確認を求めたところ、
「さぁ~」
と言ってニヤッと微笑んだ。自由にイメージして欲しいということだろう。
で、livedoor 翻訳のフランス語に行ってみた。原文欄に「Belle Vague Bienfait」と入力し、「翻訳」ボタンをクリックしてみる。すると、「訳文」欄に、「beautiful wave kindness」と表示された。美しく、奥行きの深い豊かな言葉ではなかろうか…と、しみじみ感じ入る春の宵である。