がん患者の口腔機能管理を目的とした医科歯科連携研修会
テーマ 「がん患者の口腔機能管理」
出席:80名
あいさつ 鶴岡地区医師会会長 荻原 聡 先生
平成22年、がん患者の手術前の口腔ケアの概念のスタート
がん対策推進基本法で医科歯科連携の推進が求められた
口腔ケアが口腔合併症などの低減に効果があることが証明された
平成26年8月から、荘内病院と歯科医師会との連携が開始され、
がん患者の周術期~化学療法時の口腔機能管理を目指した活動が行われている
○がん治療とお口のケア 荘内病院 鈴木聡 氏
歯周病は多くの疾患に関連している
口腔ケアで肺炎が予防できるという多くのデータがある
2012年 周術期で口腔機能管理されているのは3%程度
鶴岡での医科歯科連携までの経緯
連携患者数は年々増加傾向 平成28年度は47名
治療別:化学放射線と外科は同程度だったが、28年は外科患者が増えてた(70%)
疾患別:大腸癌、>胃がん>乳がん>膵癌
情報提供書作成率: 51%程度で増加傾向にない
問題点
1、がん患者の病状把握が難しい
2、がん治療開始までの日数が短い
3、医科側(荘内病院)の連携のインセンティブが低い
○地域歯科医からの報告 毛呂歯科医院 毛呂光一 氏
がん患者 荘内病院 → がん医療連携歯科医院が必要な処置および口腔ケアを行うシステム
歯科的支持療法は重要
歯科に期待できること7項目
がん周術期の患者の歯科的治療・処置
クリーニング、歯石の除去、ブラッシング指導、保存できない歯の抜歯、虫歯の治療、動揺歯の固定など、
歯科治療には、ある程度の期間が必要 早期の紹介をお願いしたい
○抗がん剤による口腔内の副作用について 荘内病院 がん化学療法看護認定看護師 佐々木孔美 氏
口腔粘膜炎が起こりやすい抗がん剤~分子標的薬
口腔粘膜炎は、治療開始後 2週目
口内炎という用語は、口腔粘膜炎(化学・放射線療法で生じる)と 狭義の口内炎(感染性炎症)を含む
口腔粘膜炎の治療は確立されていない、
予防・ケア 保清、保湿、疼痛コントロール
疼痛コントロール:鎮痛剤の内服、局所麻酔薬の含嗽
口のしびれ:オキサリプラチンの副作用、
口腔内の症状が悪化すると、本来の治療を継続できないこともある
癌治療中の口腔トラブルを最小限にするためにも歯科との連携が重要
○医科歯科連携のアンケート結果報告 荘内病院 百瀬 幸 氏
がん患者の口腔ケア(口腔機能管理)に対するアンケート調査
以下の3群に分類し比較した。
・開業歯科医(31/59)、
・病院医師・歯科医師(16/30)、
・病院スタッフ(看護師、歯科衛生士)(29/35)
病院スタッフは、口腔ケアの効果を高く評価する傾向がある。
一方で、病院医師は、口腔ケアの効果を低く評価する傾向がある。(歯科医師はその中間)
歯科医師は、抗がん剤の副作用についてもっと学ぶべきだと考えている。
歯科医師の61%は、医科歯科連携に関心がある。
病院医師は、スタッフに比較して、医科歯科連携に関心が低い。
パネルディスカッション
テーマ「がん患者の口腔機能管理
コーディネーター:三原 医師
パネラー(発表順):鈴木医師、毛呂医師、佐々木看護師、百瀬看護師
・口腔ケアと誤嚥性肺炎
・医科歯科連携の効果
・歯科から病院への問い合わせ
・がん患者への遠慮
・歯科での診療期間が短い
・情報提供書作成率
などについてパネラー、フロアー間で意見交換を行った