10月28日、19:00~、医師会勉強会
今回は、
東京大学医科学研究所
先端医療社会コミュニケーションシステム
社会連携研究部門 特任教授、上 昌広先生
をお呼びして
「現場からの医療改革 ~庄内の医療を考える~」
と題した講演を拝聴しました。
講演スライド
https://drive.google.com/file/d/0BzItwTwB_6zeUGlzSEw4d1ZzWUk/view?usp=sharing
内容
・東京大学医科学研究所の紹介
・東北の出会い:福島県立大野病院事件
・東日本大震災の経験
・医師不足と看護師不足
・教育格差
という流れの講演でしたが、もっとも時間を割いたのが医師・看護師の偏在の問
題でした。さまざまなデータで、医師・看護師がいかに偏在しているかを示して
頂きました。
日本の医師数の平均は、人口1000人当たり2.2人
(東南アジア:0.5-1.0、チリ:1.41、トルコ:1.7、英国:2.7、
フランス:3.4、ドイツ:3.7)
例えば、宮城県では、仙台市周辺が全国平均だが、その他はチリ~東南アジア諸
国並み。一方で、福岡県は、英国~フランス程度の医師数を確保している地域が
多い。山形県では、村山地区がイギリス並み、他はトルコ程度。
医師数と一人あたりの医療費の相関はない(医師が増えれば医療費が高くなるわ
けではない)
医学部もかなりの偏在がみられる。
人口当たりの医学部が多いところ
四国>東京>北陸> 東北 >(東京を除く)関東>埼玉
医学部進学者数(人口1000人あたり)
京都>佐賀>徳島>>>> 東北、北海道>岩手、山形、千葉、埼玉、滋賀
すべてにおいて、顕著な西高東低
今後の多死時代、東北地方の医師の負担 > 西日本の負担であり、
このままの医師数増では対応困難。
60歳以下の働き盛りの男性医師は4%しか増加せず、高齢医師が高齢者を診る時代
医療資源の西高東低は、江戸末期~明治維新における、勝ち組(官軍)、負け組
(佐幕派)を引きずっているというのが上先生の分析
看護師不足は、医師以上に深刻
とくに、関東圏の看護師不足は顕著で、病棟の閉鎖も多い。
今後、東北地方の看護師が関東圏へ移動する可能性が高い。
最後に、
日本の将来は人づくりにかかっている
人と交わる、仲間を作る、そしてチャレンジ!
と結びました。
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以下、鶴岡講演後、上先生のFBへの投稿です。
鶴岡で話したことです。
私たちは、自覚しないまま歴史の制約を受けています。以下は東北大と北大の
合格者の分布です。この二つの大学は、旧七帝大で地元占有率がもっとも低く50
%を切ります。
興味深いのは、学生の出身地です。東北大は基本的に東北と関東です。北大は
全国です。多いのは秋田、石川、富山。なんと山口県からも来ます。これは北前
船、西回り航路の影響ですね。
庄内地区への医師のリクルートは、歴史的に交流の薄い村山地区以外に、この
ような地域にアプローチするのも手だと思います。
鶴岡から帰ってきました。有意義な情報交換が出来ました。
このままでは、医師不足・看護師不足は、如何ともしがたい状況です。庄内地方
の二次医療圏の人口は約30万人。山形県の人口は約110万、山形市を含む村
山地区の二次医療圏は約55万。特に医師に関しては、大きな格差があります。
従来の山形大、新潟大に人材を依存するだけでは、ゆっくりと衰退せざるを得ま
せん。
庄内の問題は、姫路・会津・三河・小田原などと似ています。佐幕派だった大都
市です。明治以降、他県と併合され、医学校など高度人材養成機関が不足してい
ます。
さて、どうするか。答えは明快です。地元で人材を育成するしかありません。
余談ですが、明治に入り、酒井の殿様は薩摩に留学しています。南洲神社もあ
ります。黒田清隆候のご縁だとか、庄内藩の戦い方に薩摩が感銘を受けたとか、
色々言われています。鹿児島とのネットワークも使えるかも知れません。
今回は、
東京大学医科学研究所
先端医療社会コミュニケーションシステム
社会連携研究部門 特任教授、上 昌広先生
をお呼びして
「現場からの医療改革 ~庄内の医療を考える~」
と題した講演を拝聴しました。
講演スライド
https://drive.google.com/file/d/0BzItwTwB_6zeUGlzSEw4d1ZzWUk/view?usp=sharing
内容
・東京大学医科学研究所の紹介
・東北の出会い:福島県立大野病院事件
・東日本大震災の経験
・医師不足と看護師不足
・教育格差
という流れの講演でしたが、もっとも時間を割いたのが医師・看護師の偏在の問
題でした。さまざまなデータで、医師・看護師がいかに偏在しているかを示して
頂きました。
日本の医師数の平均は、人口1000人当たり2.2人
(東南アジア:0.5-1.0、チリ:1.41、トルコ:1.7、英国:2.7、
フランス:3.4、ドイツ:3.7)
例えば、宮城県では、仙台市周辺が全国平均だが、その他はチリ~東南アジア諸
国並み。一方で、福岡県は、英国~フランス程度の医師数を確保している地域が
多い。山形県では、村山地区がイギリス並み、他はトルコ程度。
医師数と一人あたりの医療費の相関はない(医師が増えれば医療費が高くなるわ
けではない)
医学部もかなりの偏在がみられる。
人口当たりの医学部が多いところ
四国>東京>北陸> 東北 >(東京を除く)関東>埼玉
医学部進学者数(人口1000人あたり)
京都>佐賀>徳島>>>> 東北、北海道>岩手、山形、千葉、埼玉、滋賀
すべてにおいて、顕著な西高東低
今後の多死時代、東北地方の医師の負担 > 西日本の負担であり、
このままの医師数増では対応困難。
60歳以下の働き盛りの男性医師は4%しか増加せず、高齢医師が高齢者を診る時代
医療資源の西高東低は、江戸末期~明治維新における、勝ち組(官軍)、負け組
(佐幕派)を引きずっているというのが上先生の分析
看護師不足は、医師以上に深刻
とくに、関東圏の看護師不足は顕著で、病棟の閉鎖も多い。
今後、東北地方の看護師が関東圏へ移動する可能性が高い。
最後に、
日本の将来は人づくりにかかっている
人と交わる、仲間を作る、そしてチャレンジ!
と結びました。
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以下、鶴岡講演後、上先生のFBへの投稿です。
鶴岡で話したことです。
私たちは、自覚しないまま歴史の制約を受けています。以下は東北大と北大の
合格者の分布です。この二つの大学は、旧七帝大で地元占有率がもっとも低く50
%を切ります。
興味深いのは、学生の出身地です。東北大は基本的に東北と関東です。北大は
全国です。多いのは秋田、石川、富山。なんと山口県からも来ます。これは北前
船、西回り航路の影響ですね。
庄内地区への医師のリクルートは、歴史的に交流の薄い村山地区以外に、この
ような地域にアプローチするのも手だと思います。
鶴岡から帰ってきました。有意義な情報交換が出来ました。
このままでは、医師不足・看護師不足は、如何ともしがたい状況です。庄内地方
の二次医療圏の人口は約30万人。山形県の人口は約110万、山形市を含む村
山地区の二次医療圏は約55万。特に医師に関しては、大きな格差があります。
従来の山形大、新潟大に人材を依存するだけでは、ゆっくりと衰退せざるを得ま
せん。
庄内の問題は、姫路・会津・三河・小田原などと似ています。佐幕派だった大都
市です。明治以降、他県と併合され、医学校など高度人材養成機関が不足してい
ます。
さて、どうするか。答えは明快です。地元で人材を育成するしかありません。
余談ですが、明治に入り、酒井の殿様は薩摩に留学しています。南洲神社もあ
ります。黒田清隆候のご縁だとか、庄内藩の戦い方に薩摩が感銘を受けたとか、
色々言われています。鹿児島とのネットワークも使えるかも知れません。