鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

地域力を引き出すフォーラム

2017-03-24 09:56:29 | 日記


4月1日から、新たに「介護予防・生活支援総合事業」が始まることもあり、その説明会を兼ねた「これからの地域のあり方」を考えるという趣旨のフォーラムでした。

厚労省東北厚生局と鶴岡市からの行政説明のあと、温海地域(福栄地区、木野俣)での地域での生きがいづくりの活動、鶴岡市の取り組み、医師会からは「ほたる」の活動について、それぞれ15分程度のプレゼンテーションがあり、大橋氏のコーディネートの下で、パネリスト間で意見交換が行われました。

議論は専ら、「住民主体の地域づくり」をどう実現するかというテーマで進められ、

今後、少子高齢化が進み、ケアする人材(家族も含め)が不足するなか、

自助(自らの健康管理、自分ことは自分でなど)、互助(住民の支え合い、ボランティア活動、生きがい就労など)
が重要ということで、議論が集約したように思います。


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地域力を引き出すフォーラム
~ 住み慣れた地域で自分らしい暮らしを ~
 地域包括ケアと介護予防・日常生活支援総合事業のあり方

日時:平成29年3月22日(水曜日)
時間:18:00 ~ 20:50
会場:出羽庄内国際村ホール
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1、開会

2、第1部 行政説明

1、介護保険制度の現状等

 (1)地域包括ケアシステムと介護予防・日常生活支援総合事業の現状と今後の動向
     厚生労働省 東北厚生局 健康福祉部 
      地域包括ケア推進課 課長 内山 徹 氏

  総合事業は地域づくりに移行して終わりではない。
  住民の多様な主体が参画して地域の支え合い体制づくりを推進
  要支援者に対する効果的かつ効率的な支援を可能とするサービスの充実
  地域ケア会議:自立支援を目指した取り組み


 (2)鶴岡市における介護予防・日常生活支援総合事業
     鶴岡市健康福祉部 長寿介護課 課長 菅原 繁 氏

   

3、第2部 パネル・ディスカッション

  地域包括ケアシステムを支える地域の力について、在宅福祉・在宅医療・地域の実践活動の紹介と報告

  コーディネーター:NPO法人 日本地域福祉研究所 理事長 大橋謙策 氏


・住み慣れた地域で自分らしい生活をどうすれば実現できるか
 家族がいない人(一人暮らし)を想定して、考えて欲しい

・介護保険料、使わなければ損という意識(発想)を変える必要がある

・社会参加と介護予防効果の関係
 地域活動は、認知症予防になる

◇元気な高齢者の「ちから」を活かした地域おこし
 事業実践地域代表「福の里」(温海地域)
  事務局長:五十嵐 正直氏
 
 ・地元学としての村の宝探し

 ・鶴岡市単独事業の集落活性化事業による「集落振興ビジョン」の作成
  1)地域コミュニティーの推進
  2)地域資源を活用した生きがいづくり
  3)安全、安心な地域づくり
  4)生活環境の整備

 24-26年 年間50万で事業実施

 ・高齢者の居場所づくり
  -健康相談室の設置と医師の派遣
  -健康器具の設置
  -なり元気の実施(10回)
  -関川地区特産のしな織支援
  -あったか弁当
  -特産品の加工、販売
  -買い物ツアーの実施
  -集落センターを寄り所として開放

 ・より良く継続していくために
  -楽しくやりがいのあること
  -有償であること、ボランティアではなく
  -入会、脱退は自由
  -地域づくりを担っていることの自覚
  -お年寄りならでは知恵の活用
  -他人の悪口を言わない

 ・目指す理念
  -住んでいる人達が、美しく住もうと思って、初めて美し村ができる
  -孤独死のない地域 (地域での見守り)

◇介護予防・日常生活支援総合事業:鶴岡市の取り組み
  鶴岡市健康福祉部 相澤 康夫 氏

 ニーズの増加、
 B型 あるいは C型でなんとかなる
 生活支援コーディネーターなしで B型が機能するのか
 社協との協働を検討してはどうか
 基本チェックリスト(全国一律)が鶴岡に合っていないのではないか
 高校卒で、介護福祉士の資格をもっているひとを活用してはどうか
 難聴とうつ病が関係しているといわれている、

◇鶴岡地区における在宅医療・介護連携推進事業の取り組み
 鶴岡地区医師会 三原一郎
  
 ・ほたるの介護保険制度上における地域での役割について、設立の経緯や具体的な活動事例を示しつつ概説した。

 ・在宅療法支援診療所の数
 ・病院から地域へのコーディネートは誰が担っているのか
 ・口腔ケアは重要だが、歯科医の往診は
 ・ショートステイ空きベット情報の利用率は

  
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地域包括ケアシステムとは何ですか
 ・誰もが住み慣れた家で、誰もが、地域で、安心して暮らし続けられること

地域包括ケアシステムが必要なわけは?
 ・「ふつうの幸せ」を手にするのが難しい時代になり、誰もが「生きづらさ」を抱えた生活を余儀なくされているから
 ・生きずらさの根っこにあるのは<ケア=世話>の問題

ケアの問題とは?
 ・これまで以上にケアが求められる
 ・にもかかわらず、ケアの提供が減っている
 ・この問題を浮き彫りにしたのは、急激な少子高齢化
 ・地域包括ケアシステムを考えるということは、急増するケアにどう対応するかを考えることに他ならない

増大するケアの必要に対して、どうすればいいのですか?
 ・ケアを必要とする状態をむやみに増やさないようにすること
 ・ケアに関わる人を増やして、数多くのケアを寄せ集める方法を考える
 ・寄せ集めケアを、必要としている人に対して効果的に割り当てる
 ・ケアの問題を家族の内部に留め置かないで、地域や社会で引き受ける

どうしてケアにこだわるのか
 ・ケアは、すぐに解決できるものから専門的なものまで一続きだから、



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山形県医師会設立70周年記念講演

2017-03-06 16:03:50 | 日記


「日本医師会の医療政策」
  日本医師会会長 横倉義武 先生

 日時:平成27年29年3月4日

1、社会保障と経済成長


1990年 バブル崩壊後 歳出↑ 税収↓ 
 一方で、国民医療費は伸び続けている

 政府の資産 672兆 

 企業利益剰余金(内部留保) 378兆 を賃金上昇へ
 家計資産1752兆
 社会保障が充実すれば、これら資産が市場へ回ることが期待できる

 消費増税 の見送り、アベノミクスの成果で補う → 難しいのではないか

 日本医師会の政策判断基準
  ・国民の安全な医療に資するか政策か
  ・国民皆保険の堅持ができる政策か

 国民医療費:推計より低い伸びで推移している
  理由:入院単価、入院患者数、病床利用率低下、長期投与など、

 国民医療費の財源
  12%自助、40%公助、48%保険料
  日医の主張:保険料を10%(協会けんぽの料率)まで上げられないか?、
  1兆円の増収、負担の平等 ←経団連が反対

 時代に即した改革、
  財政主導ではなく、過不足のない医療提供ができる医療
  例えば、 糖尿病の重症化予防、COPD,

 社会的共通資本としての医療制度
  社会的基準は、医療にかかわる職業的規律・倫理に反するものではあってはならない

 社会保障がもつ経済的効果
  社会保障と経済は相互関係
  社会保障が継続成長を支える
  老後の不安を社会保障が解消
 
  →社会保障の充実による国民不安の解消

2、平成30年度同時改定に向けて


政府の方針:社会保障の伸びを3年で1.5兆とする、 年間:5000億
  2016年度7200億、2017年6400億 だったが、さまざまな見直しで 自然増5000億に収めた、

 同時改定に向けて
 
 医療機関の費用構造の推移
  人件費が減少傾向、一方で、医薬品・医療材料が増えている、 
  医薬消耗品が技術料に含まれているなど、

 医療機関従事者の現金給与総額は、減少傾向 一方、製造業は伸びている
 医療福祉分野の国内生産額の伸びは高い →医療に財源を投入、→地方での経済成長につながる、地方創生への貢献が期待される


3、薬価制度改革


 日医のスタンスは、安全性・有用性が確認された医薬品は速やかに収載すべき
 公的医療保険制度を維持しつつ、高額医薬品を必要とされる患者に使用していく
 後発医薬品の使用促進

4、健康寿命の延伸


人口減少 と 高齢化

 ・地域包括ケアシステムの推進
 ・かかりつけ医を中心としたまちづくり
 ・所得や資産に応じた負担
 ・医療ITの活用

 健康寿命の延伸がもたらすもの、
  生涯現役社会の実現(雇用延長) → 税収増、社会保障財源の確保
  健康な高齢者の増加 → 医療費・介護費の伸びを軽減
  若い世代から予防・健康づくり → 雇用拡大、経済成長、税収増、社会保障財源の確保

  健康寿命延伸に向けて、 医療等IDによる統一した管理

  糖尿病重症化予防 データベースの構築と分析、アウトカム向上の研究
  糖尿病性腎症重症化予防に係る連携協定
  日本健康会議 活動指針 健康なまち・職場づくり宣言2020
  COPD対策推進会議の都道府県等への拡大
  禁煙推進に関する日本医師会宣言

5、かかりつけ医を中心とした地域包括ケアシステムの構築・推進


 日医かかりつけ医機能研修制度
 地域包括診療加算・地域包括診療科にかかわるかかりつけ医研修会
 認知症高齢者の運転免許更新に関する診断書作成の手引き
 かかりつけ医と総合診療専門医
  総合診療専門医:あくまで学問的見地からの評価による
 専門医制度整備指針改定にあたっての日本医師会の要望

6、医療に係る控除対象外消費税問題の解決に向けて


7、医療に係る事業承継税制について




山形県医師会設立70周年 記念祝賀会




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鶴岡みらい健康調査セミナー

2017-03-06 09:47:29 | 日記


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鶴岡みらい健康調査セミナー
糖尿病予防最前線

日時:2017年3月5日:13:30~15:45
場所:鶴岡メタボローム レクチャーホール
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<基調講演>

大規模調査で分かった糖尿病の予防と治療の最前線
新潟大学医学部内科 曽根 博仁 氏

課題は、平均寿命ではなく、健康寿命の延伸
糖尿病は戦後に急増、生活習慣の変化が大きな要因
 糖尿病の増加と、自動車登録台数が一致、
 糖尿病の増加と、脂肪摂取量の増加が一致、

糖尿病で怖いのは合併症、
 視覚障害、
 腎透析
 足壊疽
 冠動脈疾患・脳卒中のリスク 3-4倍

早期に発見し、治療の継続で合併症を防ぐことができる!

糖尿病の早期発見には、健康診断しかない! HbA1c

HbA1c 7%以下 なら 合併症はおきにくい

インスリン不足の原因、 
 ・インスリン分泌量低下(遺伝と加齢の影響が強い)
 ・インスリンの利きめが悪い(インスリン抵抗性)、高インスリン血症(生活習慣の影響が大きい)

血糖値の上昇 →インスリン分泌刺激 →肥満の助長 →インスリンの効きめめ低下 (悪循環)

食事療法 →肥満の助長を抑制
運動療法 →インスリンの効きめ低下を抑制

独居男性は糖尿病の可能性が高い
 実は、過体重、喫煙、運動習慣なし というリスクを抱えている人が多いから

糖尿病に関連する遺伝子は多くあり、それが多いほどなりやすいが、それも10程度で頭打ち、
体質は乗り越えることができる

運動(早歩き30分以上)は、糖尿病の死亡、脳卒中のリスクを半減する

信用できる文献は少ないが、世界的にみても、上記は証明されている

20分/日の運動で、心血管疾患リスクを10%低減

運動療法に対する処方箋はない(保険でカバーされていない)
 →自分でやるしかない

運動で 全身持久力(体力) が上がる 
オリンピックメダリストは長寿 とくに持久力系の競技者

どこまでも歩けますよ、程度の体力で十分

体力は 血圧やLDLコレステロールと同程度のリスク

青少年期の心血管疾患のリスク

体力検定を受けた女性510名 観察期間64年 生存状態を調査した
青少年期に体力がない人は、70歳以上で死亡率があがる、寿命が短いことが分かった

食事療法の基本は、量とバランス!、太らないように (炭水化物は関係ない)

医療機関に毎月受診すると、A1c1%以上改善、
 :定期的な通院は糖尿病を改善(薬だけではなく、モチベーションを維持することに意義がある)

30代の糖尿病患者のイベントリスクが高い(50代のリスクと同程度)→ 若い人の糖尿病は要注意

<鶴岡みらい健康調査 最新報告>

 登録:11002人、同意率:89.2%

 2015年にフォローアップ調査(72%)


 糖尿病関連では、
  正常値だった人の約4割が、「糖尿病前症」に進行。
  糖尿病前症だった人の1割が、「糖尿病」に発展。
  糖尿病前症だった人の1割が、「正常」へ改善。


半数が予備軍
+10 今より10分多く運動
 アミノ酸(バリン濃度):よく運動している男性は低く、座位時間が長い男性は高い

<パネル討議>

 テーマ:地域の糖尿病を考える

 進行:原田 真弓 氏
 パネリスト:
  曽根 博仁 氏 (新潟大学 内科)
  佐藤しおり 氏(フィットネス協会会長)
  長島 早苗 氏(宮原病院 内科医)
  児玉 奈美 氏(鶴岡市保健師)


長島
 治療の目標
 合併症の予防
 糖尿病:地域連携パス(6年間の運用)
 
児玉
 鶴岡市の糖尿病予防の取り組み
  回報書
  食事関連セミナー: スマート・ランチ
  ヘルスアップセミナー

佐藤
 座ってできる!運動実技

質疑
 ・内服治療を始めたらやめられないのではないか
 
 ・予防に効く、食べ物はあるのか
   特定のものはない、量とバランス
   食べ方の注意

 ・運動したいが、足腰が痛い
 
 ・長続きするためのコツ

 糖尿病の名医はいない、いるのは、名患者である(曽根氏)。

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