鶴岡地区医師会 地域医療連携室「ほたる」の活動の一環として行った、「介護サービス事業所における医療依存度の高い人の受け入れの現状調査」を日本プライマリケア連合学会誌に投稿した論文が昨年末に掲載されました。
鶴岡・三河地区に存在する102事業所(全事業所205か所)に直接出向き、看護師の配置の有無、経管栄養、喀痰吸引、人工呼吸器、透析、がん、精神疾患、認知症の受け入れ状況と看取りの実施状況について、調査したものです。
結果として、看護師の夜間配置は、老健など一部の事業所にとどまり、そのことを主因として、経管栄養、喀痰吸引、人口呼吸器などの疾患をもつ患者の受け入れが困難なことが示されました。喀痰吸引は、介護員等による喀痰吸引の制度化でむしろ受け入れが狭まっていることが分かりました。また、看取りは、特養、老健以外での実施率は低く(25%以下)、その要因として人員不足、地域・技術上の問題などが挙げられましたが、医師の協力・理解が得られないという回答も少なからず聞かれました。
本論文の意義は、単なるアンケート調査ではなく、鶴岡・三川地域のほぼすべてのサービス事業所に直接訪問しその実態を調査したことにある思っています。このように一次医療圏をほぼ網羅した実態調査は、調べた限りではありませんでした。
直接訪問して聞き取り調査をおこなった渡邊さんはじめほたるの皆様の尽力に敬意を表したと思います。
論文が掲載されるまでには、厳しい査読があり、医学論文を書くことことの大変さを思い知りましたが、いろいろな意味で大変勉強になりました。
以下にアップロードしましたので、お読み頂ければ幸いです。
日本プライマリケア連合学会誌
B地域における介護サービス事業所での医療依存度の高い人の受け入れの現状と課題