鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.149 (やまがたピンクリボン プレ・フェスタ in つるおか)

2013-07-29 11:21:56 | 日記


昨日(7月28日)、「やまがたピンクリボン プレ・フェスタ2013 in つる
おか」が第3学区コミセンで行われました。

ピンクリボン運動については、皆さんご存知のことと思いますが、乳がんの早期
発見を啓発する世界規模のキャンペーンです。山形県では、2006年より山形ピン
クリボン運動実行委員会を立ち上げ活動を開始しました。2007年には、第1回や
まがたピンクリボンフェスタ2007を開催し、その後、毎年10月に山形市でフェス
タを行ってきました。また、プレ・フェスタというかたちで山形市以外の地域で
も住民への啓発活動を行ってきています。今回、鶴岡では初めてプレ・フェスタ
が開催されることになりました。

活動としては、講演会、パネルディスカッション、ライトアップ、マンモグラフィー
や超音波検査の疑似体験、ピンクリボン結びツリーの設置、ピンクリボンウオー
クなどを行っています。

このような市民啓発運動は、検診受診率が向上し、死亡率が低下することで、そ
の成果が評価されます。山形県の乳がん検診受診率は、35%(?)程度で全国トッ
プクラス(マンモグラフィー受診率では全国1位)とのことですがですが、鶴岡
は、29.8%で県平均より5%ほど低いのが現状です。

一方、国際的には、日本の乳がん検診率(20%台)は、欧米70-80%に比し極めて
低く、検診率をどうしたらあげられるのかが大きな課題となっているようです。

日本の乳がん罹患率は欧米に比較すると低いものの、右肩上がりで年々増え続け
ており、検診受診率向上により死亡数に歯止めをかけることが喫緊の課題です。

プログラムは以下の内容でした。パネルディスカッションでは、どうしたら乳が
んの検診率をあげられるのかが大きなテーマになっていました。検診に行かない
理由として、面倒、忙しい、休みをとれない、料金が高いなどの理由が上がって
いるそうです。対策として、早期発見が大事なことを知ってもらう、一人で抱え
込ままない、声を掛け合って検診を受ける、土日検診の充実、検診センターに託
児所の設置、などの多くの意見が出されていました。

私としては、コーディネータの工藤先生の「検診は、病気をみつけるために受け
るのではなく、健康を確かめるために受けるもの」という発言に興味を引かれま
した。

次第

1、あいさつ
 開会のあいさつ
  三原一郎(鶴岡地区医師会会長)
  菊池 惇(やまがたピンクリボン実行委員長)
 来賓あいさつ
  鶴岡市長

2、やまがたピンクリボンフェスタ2013企画発表

3、基調講演
 座長:三科 武(荘内病院院長)
「乳がんってどんな病気」 済生会山形済生病院 太田 圭治
「鶴岡地区のがん検診について」 荘内病院外科 鈴木 聡

3、キッズチアダンス ~キッズダンスチーム  PINKISH ~

4、パネルディスカッション
 「大切な家族のために乳がん検診を!」
 コーディネーター 県立中央病院 工藤氏
 パネリスト
  三浦 二三夫(斎藤胃腸クリニック院長)
  鈴木 聡(荘内病院外科医長)
  原田 真弓(鶴岡市健康福祉部健康課課長)
  五十嵐 ちづる(健康管理センター診療放射線技師)
  竹内 梨沙 (荘内病院看護師、静岡がんセンターで研修中)
  患者代表(ピンクリボン実行委員)

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No.148 (みずばしょう夏祭り)

2013-07-28 12:14:28 | 日記


昨晩(7月27日)は、9回目になるみずばしょう夏祭りでした。

幸い、心配された雨が降ることもなく、恒例の花火も無事立派に打ち上げること
ができました。

施設が地域と一体となり、このようなイベントを継続することはとても大切なこ
とだと思っています。

準備から後始末まで関わって下さった多くの職員の皆さん、地域の皆さん、設備
また給食関連の皆さん、お疲れ様でした。また、ありがとうございました。

来年は、10年目の節目の年になります。すでに地域に定着したみずばしょう夏祭
りが、来年も盛大かつ楽しく催されることを期待しております。

以下、スナップ写真です。楽しんで頂けたら幸いです。
必要な方は、どうぞダウンロードして下さい。

https://plus.google.com/photos/101791822828330277284/albums/5905488498055074513

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記事のタイトNo.147 (秋山昌範氏逮捕)

2013-07-27 12:48:50 | 日記
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130725-00000846-yom-soci

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130725/crm13072515370012-n1.htm



驚きました。

秋山昌範氏は、Net4Uの前身である「ゆーねっと」の開発者であり、いわばNet4U
の生みの親というべき人です。Net4U立ち上げ当時、鶴岡で何度か講演などして
頂きました。「めでぃかるとる」の表紙を飾ったこともあったかと記憶していま
す。医療ITについての知識を含めて天才的な人でしたが、とくに聴衆を魅了する
話術は超一級品でした。

秋山氏側は「問題のお金は全て研究費に使われており、詐欺行為ではない」と容
疑を否認しており、弁護士をたて争う構えのようです。

今後の推移を見守りたいと思います。

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No.146 (一緒に学ぼう 社会保障のABC:第10回)

2013-07-27 12:48:12 | 日記
国民が等しく老後も含めて安心して生活できるためには、社会保障は不可欠です。
先の参議院選挙では、自民党の圧勝となりましたが、経済を優先するあまり、小
泉内閣のときのように社会保障を切り捨てることがないよう注視していかなけれ
ばならないと思っています。

本シリーズでは、いよいよ、国民皆保険制度についての解説が始まります。まず
は、その設立の歴史です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
国民皆保険・皆年金(9)医療保険の歴史
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

国民皆年金が実現するまでの歴史やその内容について見てきたので、今度は、国
民皆保険について見ていきたいと思います。

■ドイツを参考に

 日本の医療保険の始まりは、1922年(大正11年)に制定された健康保険
法です。工場などで働く肉体労働者(ブルーカラー)が対象で、ドイツの疾病保
険(医療保険)を参考に作られました。

 当時、日本では第一次世界大戦(1914年~1918年)後の不況で、工場
の閉鎖や中小企業の倒産などが相次ぎ、賃下げや首切りに抗議する労働争議が多
発していました。政府は、労働組合や労働運動を厳しく取り締まりました。しか
し、資本主義経済を発展させるためには、取り締まるだけではなく、悪化した労
使関係を改善し、労働者を保護することも重要だと考えて、健康保険制度の創設
に踏み切ったのです。

 企業などで働く事務労働者(ホワイトカラー)を対象とした医療保険制度は、
1939年(昭和14年)の職員健康保険法により導入され、その後、1942
年(昭和17年)に、健康保険法に統合・一本化されました。

 なお、1922年に制定された健康保険法は、日本で初めての社会保険制度と
しても知られています。

■農村にも医療を

 被用者(雇われて働いている人)を対象とした医療保険制度はできましたが、
それ以外の国民、特に農民の医療をどうするかは大きな問題でした。1929年
(昭和4年)の世界恐慌や、1931年(昭和6年)の日本での大凶作などの影
響で、農村は極度に疲弊し、農民の生活が悲惨なものになっていたからです。

 病気になっても近くに医療機関がない、あるいは、医療費を払えないために医
者にかかることができない――。貧しいために食事を抜く欠食児童が続出し、治
療費を捻出するために、若い娘が「身売り」を強いられることも珍しくありませ
んでした。十分な食事や栄養が取れず、病気にかかる人も多く、特に農村部では、
結核や寄生虫病などの病気が目立ちました。「農村は兵隊の供給源」と言われて
いましたが、農民の体力は低下する一方でした。

 農村における貧困と病気の連鎖を断ち切り、その窮状を救うために、政府は1
933年(昭和8年)頃から、農山漁村の住民などを対象とした医療保険制度創
設についての研究を始めました。いろいろ検討した結果、この制度の運営者は、
現在あるような市町村ではなく、市町村の区域ごとに設立される組合(国民健康
保険組合)とし、組合の設立や住民の加入は任意としました。また、給付の種類
や範囲、保険料の額などは、各組合で決められるようにしました。

 国民健康保険法は1938年(昭和13年)4月に公布され、7月から施行さ
れました。

■皆保険の足掛かりに

 ドイツを参考に制度を創設することができた健康保険法とは異なり、国民全体
の約6割を占める農山漁村の住民を対象とした制度はどのように作ればよいのか、
政府は、頭を悩ませました。幾つかの組合で先行実施させ、その結果を見て、で
きるだけ組合の自主性が発揮できるような柔軟な制度にしたのです。

 こうして誕生した国民健康保険法は、1961年(昭和36年)に実現した
「国民皆保険」体制の足掛かりになったともいえます。

 次回も引き続き、国民健康保険法について見ていきたいと思います。

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No.144 (眺海の森をトレッキング)

2013-07-23 11:38:29 | 日記


昨日の日曜日、妻は勤務。

緑眩しい庄内平野を撮りたいと、カメラ片手に一人で眺海の森へ行ってみること
にしました。行ったついで、どうせなら日ごろの運動不足を補うためにもと、洞
瀧山總光寺から始まる登山道をトレッキングしてみました。

余り暑くもなく(汗はたっぷりかきましたが・・)、緑たっぷりの登山道をせせ
らぎが聞きながらの山歩き、とっても気持ちよかったです。何気なく立ち寄った
松山町歴史公園も、緑に囲まれた蓮池がとてもきれいで感動しました。

https://plus.google.com/photos/101791822828330277284/albums/5902970266766108065

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No.143 (ほたる多職種研修会)

2013-07-20 16:20:19 | 日記
昨晩(7月19日)、ほたる主催の本年度1回目の多職種研修会が行われました。

今回は、「地域に根ざした難病患者支援 ~在宅療養の継続を目指して~」

というお題で、愛媛病院 地域医療連携室(難病)、愛媛県難病医療連絡協議会
専門員、四国がんセンター 相談支援センター保健師という多彩な肩書をもつ、
生駒さんをお呼びして、講演を拝聴しました。

実は、生駒さんに声をかけて頂き、昨年10月、四国がんセンターで愛媛県難病医
療連絡協議会の研修会でNet4Uの講演してきました。その折、生駒さんに当地区
での講演をお願いしたのですが、日程調整ができず、今回やっと実現したもので
す。

先日の在宅医療を考える会でも、ALS患者のレスパイ先の確保が困難という
地域の課題が浮き彫りになっていましたが、神経難病患者を地域でどのように支
援していくのは、どの地域においても大きな課題だと認識しています。そのよう
ななか、生駒さんの講演はとてもタイムリな企画でした。

講演では、神経難病の患者さんを地域(おもに在宅)でどのように支えているか、
愛媛での取り組み~ネットワークづくりをメインに話を伺いました。

・病院での告知のときから、コディネータ、保健所保健師が関わる
・コーディネータ、保健所保健師が中心となりケアマネ、訪問看護師、訪問診療
 医などからなる多職種多事業所のチームで継続的に在宅療養を支える
・自宅訪問や地域病院での多職種チームカンファレンスを定期的に行う
・在宅を軸にレスパイ入院を繰り返しながら在宅療養生活を継続する
・拠点病院(愛媛病院)は40床をレスパイ先として確保している、
・亡くなったあとは、自宅訪問しチームでのグリーフケア →遺族・スタッフの
 フォローする

以上は、以上は病気の重軽はありますが、在宅医療全般にいえることだと思いま
す。

後半は、アロママッサージで癒し合いをしたあと、連携ネットワークづくりのコ
ツとポイントについて教わりました。在宅現場で働く、訪問看護師、福祉職など
にはとても参考になる名言の数々だったと思います。

・たとえ話上手に
 相手に必要なことだけ言える技能・感受性と技術をもつこと
 相手の気持ちを思い図る感性が大事
・八方美人は、いつか孤独になる
 自分だけいい子にならない
・何事にも興味を持つ、分からない時はまずは現場へ行く
 自分が送る患者さんがどんな所へ行ってどんな生活をするのか?
 興味を持つ、最後まで責任を持つ、
・「自己決定を待つ」
 期間を決めてタイミングを見計らりながら辛いことをじっと見守る
 その際、どう選択しても最期まで一緒にいることを伝える続ける

<コーディネート・アドバイズしていく上で気をつけること>
患者向け
・「できること」「できないこと」をはっきりする。
 「できるかもしれないこと」は、「今はできないということ」
 相手に無駄な期待をさせないことが本当の親切
 費用面のことは、最初からしっかり伝えておく
・厳しくとも「目先のことではなく、患者家族全体をとらえ、将来、本当の意味
 で患者さん家族のためになる」方向へ
 自己選択の補助
・怒り上手・ほめ上手になること!
・疲れている介護者を癒す力。場の空気を読む感性・余裕を
・「何があっても何を選んでも最後まで見放さない」との声掛け

スタッフ向け
・情報のお掃除上手・お皿回しを上手に
・パラサイト上手、甘え上手に
・相手の立場に立って「共感性」を育てる
・突然のアクシデントに強くなる:慌てない「待つ」心
 共に現場へ行き、空気と時間を共有し、話し合う
 「一緒に汗をかき、一緒に苦しみ、楽しんだ者」こそ
 「真の戦友」となり「人脈」になる
 そんな仲間をふやすことが、患者家族を、自分の仕事を、人生を豊かにする

生駒さんの機関銃のような話は、ときどく聞き取りにくいところもありましたが、
長年にわたる難病コーディネーターとしての経験に裏打ちさせれた、非常にリア
リティーのある内容でした。それにしても、彼女の姉御肌ぶり、歯に衣着せぬ話
し方、パワフルさは、大人しくも優しい東北人からみるとは異星人のようにもみ
えたかもしれません。

配布資料
http://www.evernote.com/shard/s44/sh/894b2e64-de85-43b8-bad2-9998942b8a96/e50b05e75015807af4c1798389bba499

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No.142 (救急災害対策マニュアル作成委員会)

2013-07-20 09:04:58 | 日記
昨晩(7月18日)19:00~、1回目の救急災害対策マニュアル作成委員会が行われ
ました。

この委員会は、以下の会長諮問に基づき設置されたものです。

「鶴岡地区医師会における災害時の対応マニュアルにつき諮問します。本年度末
を目途に答申いただけるよう、ご審議のほど、よろしくお願いします。」

昨晩は、第1回目ということもあり、他地域の医師会でのマニュアルの紹介があっ
たあと、どのようなかたちのマニュアルにすべきかフリーに意見を交わしました。

概ね以下の方向性で、まずはマニュアルのたたき台を作成することとなりました。

・3.11並みの大規模災害に対する対策とする
 (何をもって大規模するのかは今後の検討)
・本部の立ち上げ
 立ち上げの基準、場所、人員などの検討
・連絡方法の確立
・市の対策本部との連携
・荘内病院との連携

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No.141 (地域産業保健センター運営協議会)

2013-07-20 09:04:20 | 日記
今日(7月19日)13:30~、鶴岡地域産業保健センターの第1回運営協議会が行
われました。

協議会のメンバー:医師会(会長、局長)、庄内労働基準監督署長・安全衛生課
長、、鶴岡商工会議所会頭、鶴岡労働基準協会長、健康管理センター、鶴岡産業
保健センターコーディネータ

本協議会会長も、医師会長のあて職です。

鶴岡地域産業保健センターは、国(山形県労働局)の委託を受け、鶴岡地区医師
会に設置されています。労働者数50人未満の小規模事業場で働く方を対象として、
労働安全衛生法で定められた保健指導などの産業保健サービスを無料で提供して
います。

事業者には、労働安全衛生法に基づく健康診断などの実施義務がありますが、小
規模事業場では、独自に医師を確保し、労働者に対する保健指導、健康相談など
の産業保健サービスを十分に提供することが困難な状況にあります。こういった
小規模事業場で働く方が、充実した産業保健サービスを受けられるように、都道
府県ごとに地域産業保健センターが設けられています(山形県では山形県医師会
が受託している)。

産業保健は、おもに労働者の健康管理、労働災害の防止からなります。

庄内地区の定期健康診断における有所見率は、24年度61.8%(県平均59.5%、全国
52.7%)で年々増加傾向にあります。また、労働災害も3年連続で増加しています
(とくに社会福祉施設では過去10年で2倍以上)。死亡災害も、長期的には減少
傾向も24年度は大幅に増加しました。

今日の会議で、表記の庄内地域の産業保健の概要説明のあと、平成24年度の事業
実績、決算報告、25年度の事業計画について説明がありました。

鶴岡地域産業保健センター事業の概要
・国からの交付額:4872724円
・健康相談窓口
 99回 1271人を指導
・個別訪問産業保健指導
 医師:13、 保健師:70
・産業保健情報提供
 406事業場 41増
・運営協議会
 協議会3回、計画会1回
・説明会
 5回
・協力産業医 56名
 登録事業所 406事業所(従業員 8473名)

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No.140 (一緒に学ぼう 社会保障のABC:第9回)

2013-07-18 16:01:08 | 日記
社会保障は参議院選挙の争点のひとつです。

少子高齢化が急速に進むなか、いかに制度の持続可能性を確保し、支える側と支
えられる側の双方が納得できる仕組みにしていくかが問われています。

そのためにも、まずは制度をしっかりと理解する必要がありますね。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
国民皆保険・皆年金(8)国民年金の内容
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 国民年金制度で、社会保険方式か税方式かと並んで大きな論点となったのが、
制度の対象者をどうするかです。厚生年金保険など、既にある制度の適用者を含
む全国民とするのか、それとも、農民や自営業者など、制度に加入していない人
たちだけを対象とするのか。全国民とする場合も、既にある制度を一度ご破算に
して、新しい制度に全員入ってもらうのか、既存の制度は残したまま、二重に加
入してもらうのかといった点が議論になりました。

 社会保障制度審議会は、既存の制度に加入していない人だけを対象とする案を
出し、国民年金委員は、既存の制度の加入者も含め、全国民を対象とする案を出
しました。

■未加入者のみを対象に

 これに対し、政府は、いろいろ検討した結果、既存の制度に加入していない人
のみを対象とすることにしました。本来は、全国民を対象とした一本の制度にし
た方がわかりやすく、望ましいと考えたのですが、既存の制度にはそれぞれ歴史
や経緯があり、今さらやめるわけにはいきません。かといって、既存の制度をそ
のままにして、新制度に二重に加入してもらうのも、制度を複雑にさせます。そ
こで、この問題は引き続き時間をかけて検討することとし、さしあたって、既存
の制度に加入していない人のみを対象とすることにしたのです。

 対象者の年齢は、20歳から59歳までとされました。保険料負担能力のない専業
主婦(既存の被用者年金の適用を受けている人の配偶者)や学生は、制度の対象
とせず、任意加入を認めることとされました。前回、保険料負担能力がない人も
できる限り社会保険方式の年金制度に含め、支払いが難しい場合は保険料免除の
制度を設けたことをご紹介しました。なぜ、専業主婦と学生は別扱いにしたのか
と疑問に思われる方もいると思います。

 専業主婦の場合は、夫が生きている間は夫の年金に加給年金が加算され、夫の
死後は遺族年金を受け取れるなど、不十分ではあっても、夫の年金によって生活
を守ることが可能だと考えられたからです。ただし、離婚した場合は無年金となっ
てしまうため、専業主婦も国民年金の対象にすべきだという意見も根強くありま
した。検討を重ねた結果、とりあえずは制度の対象とせず、本人が希望すれば参
加を認める任意加入とすることにしたのです。

 学生の場合は、卒業して社会に出た後は、被用者年金に加入する人が非常に多
いことが予想されたため、同じく任意加入とされました。


■20歳になったら月100円

 保険料は、本来は、所得が多い人はより多く支払う「所得比例制」がよいと考
えられたのですが、自営業者の所得を正確に把握するのは難しいとの理由から、
定額とされました。保険料の額は当時の金額で20歳から34歳までの人は月額100
円、35歳から59歳までの人は同150円。

 年金を受け取れるのは65歳からで、基本的に、保険料を納めた期間が25年以上
必要です。25年以上納めた場合の年金額は月額2000円、保険料を全期間(40年)
納めた場合は同3500円。高齢者一人あたりの現金支出額や消費支出、高齢者世帯
の最低生活費などを調べ、あまりみすぼらしくならないような金額にしたのです。

■「皆年金」ついに実現

 こうした内容を盛り込んだ国民年金法案が1959年2月に国会に提出され、4月
に成立、1961年4月に、「国民皆年金」が実現しました。被用者年金でカバーさ
れていなかった人たちを対象とした制度を創設することで、全国民をカバーする
公的年金制度ができたのです。

 なお、1985年の大改正で、厚生年金の一部が国民年金の一部分になりました。
これにより、国民年金は全国民を対象とした一本の制度となり、勤め人も自営業
者も専業主婦も、20歳から59歳までの人はすべて国民年金に加入して、「基礎年
金」と呼ばれる定額の年金を受け取る現在の仕組みになりました。学生について
は、1989年の改正で、これも20歳になれば強制加入の対象とされました。
現在の年金の仕組みについては、また改めてご紹介したいと思いますが、国民年
金法が成立する前、当時の政府が思い描いていたような全国民を対象とした一本
の国民年金制度が、四半世紀後に実現したともいえます。

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No.139 (情報システム委員会)

2013-07-18 16:00:15 | 日記
遅れましたが、7月12日に行われた情報システム委員会について、報告しておき
ます。

今回のおもな議題は、医師会長だよりNo.115にも書きましたが、厚生労働省補助
事業「ICTを活用した地域医療ネットワーク事業」に応募する件です。

事業の内容、応募の要件、予算概要、費用負担などの説明後、委員、事務局から
意見を頂きました。

 事業の要件
 ・防災上安全な地域での標準的な形式でのバックアップ機能
 ・診療情報後の相互参照
 ・センター型
 ・標準化ストレージの仕組み
 ・MEDIS-DSなどの標準化マスターの使用
  など

 とくに、復興予算が関連するのか、安全な外部でのバックアップ機能が
 必須の要件となっています。

 表記事業で、Net4U運用当初からの念願であったORCA(レセコン)との
 連携機能を実現したいと考えています。

ORCA(レセコン)との連携機能により、以下のメリットを考えられます。

 1、入力の手間軽減
 2、情報の質の向上
 3、Net4U普及の促進(当地区のみならず、他地域への展開)
 4、湯田川温泉リハ病院での電子カルテ的活用
  (湯田川温泉リハ病院ではORCA導入済み)
 5、外部保存によるデータの保全
 6、診療所~病院での独自検査システムのデータ吸い上げ


予算
 465~565万

委員会では、医師会として半額負担(200-300万)となることから会員への十分
な説明が必要、レセコンとの連動機能は受益者負担とすべきか、在宅医療連携拠
点事業がなくなることで医師会としての負担が大きくなるこの時期に更なる新規
事業は厳しい、などの意見を頂戴しました。

以上を踏まえたうえで、委員会としては応募するということで承認を頂きました。

そのほか、下記について、話し合いを行いました。

・ちょうかいねっとの利用状況
 登録
  荘内病院との共有患者数:月平均50-60件、
  日本海病院との共有患者数:月平均6-7件
  増加傾向にはない
  利用医療機関は15件、
   登録件数が多い(320)医療機関と少ない(1)医療機関に大きな差がある

・Net4U 要望事項の整理にについて(遠藤)

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