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第4回 庄内地域医療情報ネットワーク研究大会
日時:平成27年11月1日 14:00~17:30
会場:ホテルリッチ&ガーデン酒田
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4回目となる庄内地域医療情報ネットワーク研究大会が行われました。
この研究大会は、「ちょうかいネット」の運用を機に始まったものですが、庄内地域における医情報ネットワークの進捗状況や課題を確認する意味で、また、今後進む庄内全域での医療連携を考える上でも、重要な位置づけの会となっています。酒田と鶴岡で年1回交互に研究会を行っていますが、今回は酒田が当番で開催されました。
司会 保健所 保健企画課 田中氏
●開会セレモニー
あいさつ 酒田地区医療情報ネットワーク協議会 本間会長
酒田地区の病診連携の歩み
事業概況 酒田地区医療情報ネットワーク協議会 事務局 佐々木係長
ちょうかいネットの事業概況
●講演
座長 : 日本海総合病院 島貫院長代理
地域医療福祉連携ネットワークの将来像
~ あじさいネットの軌跡とこれから ~
NPO法人 あじさいネット 理事・運営委員会
市立大村市民病院 麻酔科 柴田真吾 氏
あじさいネットは、病院の電子カルテを他施設から閲覧可能した日本で最初の情報公開型の医療情報ネットワークですが、その中心的な役割を担ってきた柴田先生をお呼びして、あじさいネットの軌跡を例に、本邦における医療情報ネットワークの発展の歴史と今後の方向性について学びました。
あじさいネットは2003年に立ち上がっていますが、Net4Uは2001年より運用を開始しています。あじさいネットは、医療機関をITネットワークで繋ぎ、広げていくという、まさに医療情報ネットワークとして発展してきました。一方、Net4Uは、完成した情報共有システム(地域電子カルテ)を地域でいかに活用していくか、という視点で発展してきたと思っています。その意味で、人と人との繋がりを重視してきたシステムとも言えます。
事例報告は、酒田から4題、鶴岡から2題の報告がありました。
●事例発表
座長: 日本海総合病院 診療部長 菅原重生 氏
○ちょうかいネットの軌跡
さとう内科クリニック 院長 佐藤 顕 氏
日本海総合病院 院長代理 島貫隆夫 氏
病院に紹介することが多い診療所の医師にとって、ちょうかいネットを活用して病院の診療内容を知ることは、自分自身の生涯教育の一助にもなるという佐藤先生の話は、まだ、ちょうかいネットを利用価値を十分理解していない診療所医師に、是非聞いてもらいたい話でした。
○ちょうかいネットを利用した「在宅緩和ケア地域連携パス」の運用
日本海病院 がん診療サポートチーム 菅原 浩 氏
岡田内科循環器クリニック 院長 岡田恒弘 氏
訪問看護ステーションスワン 野沢 恵 氏
在宅緩和ケアにおけるがん拠点病院と在宅チームとの「在宅緩和ケア地域連携パス」に、ちょうかいネットを利用したという実演を交えた発表でした。当地区では、すでに6-7年前からNet4Uで実践していたことですが、ちょうかいネットではやはり使い勝手は悪そうです。Net4Uのような使いやすい双方向性のシステムの導入が期待されます。
○ちょうかいネットの活用法
カイエイ薬局 薬局長 富樫健一 氏
調剤薬局でのちょうかいネットの利用は、それほど進んでいるわけではないようですが、処方箋でしか患者の病態が分からないという現状は、今後医療情報ネットワークを利用することで、改善されていくことが期待されます。因みに当院では、必要な患者においては、Net4Uで調剤薬局でカルテ情報を共有しており、薬局にとっては、より質の高い服薬指導に役立っていると思います。一方で、当院にとっても、Net4Uを介して、患者さんの他院での服薬状況や薬の専門家である薬剤師の意見を聞くことができ、安全面も含め大変助かっています。
○ちょうかいネットを活用した未破裂脳動脈瘤の他施設間フォローアップ
くろき脳神経クリニック 院長 黒木 亮 氏
ちょうかいネットでは、DICOMのダウンロードを許可することで、病院で撮ったCTなどの画像を診療所側で、閲覧・保存が可能となっています。これを利用して、未破裂脳動脈瘤のフォローアップをしているという黒木先生の発表は、ちょうかいネットの活用事例として興味深いものでした。
事例報告
座長: 中村内科胃腸科医院 院長 中村秀幸 氏
○Net4Uを用い、在宅患者の排便障害を多職種の協力で解決できた症例
石橋内科胃腸科医院 院長 石橋 学 氏
石橋先生の発表は、職種間の密なコミュニケーションにNet4Uを活用することで、排便障害で困っていた事例を解決できたという報告でした。在宅緩和ケアに限らず、介護職を含む多職種チームで関わることの多い在宅医療においては、Net4Uは極めて有用なツールと感じています。
○ちょうかいネットを活用したセラピストの病院間連携
鶴岡協立リハビリテーション病院 理学療法士 新田俊介 氏
日本海病院から転院してきた脳卒中患者のカルテ情報をちょうかいネットで閲覧することの利便性、有用性についての回復期病院・理学療法士の立場での報告でした。一方で、ちょうかいネットの通覧性の悪さ(たくさんアイコンから必要な情報を探すのが煩雑)や回復期から急性期への情報伝達の困難さが挙げられていました。なお、来年度から、脳卒中地域連携パスは、鶴岡と酒田との統合ITパスに移行する予定です。しかも、Net4Uと連動するとのことで、さらなる発展が期待されます。
●閉会セレモニー
閉会のあいさつ
鶴岡地区医師会 三原会長