鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

全国在宅医療医歯薬連合会全国大会

2018-05-28 12:20:46 | 日記









日時:2018年5月26日~5月27日
場所:国立京都国際会館

http://www.waaint.co.jp/zaitaku2/


全国在宅医療医歯薬連合会全国大会

表記学会のシンポジウム「今後の在宅医療におけるICT」にて、講演してきました。

今後の在宅医療におけるICT

 京都府における医療介護連携SNS「京あんしんネット」の現状と課題

  京都府医師会 松田義和

 地域医療における多職種連携を支えるICTネットワーク(あじさいネット)
 
  長崎宝在宅医療クリニック 松尾 誠司

 医療と介護を繋ぐヘルスケアソーシャルネットワーク「Net4U」

  鶴岡地区医師会 三原皮膚科 三原一郎

<講演抄録>

医療と介護を繋ぐ!ヘルスケア・ソーシャル・ネットワーク「Net4U」
鶴岡地区医師会、三原皮膚科
三原一郎

山形県鶴岡地区では、2001年に全国に先駆けて地域電子カルテNet4Uの運用を開始し、今年で17年目を迎えた。Net4Uは、おもに在宅医療における多職種協働を支援するツールとして利活用されている。Net4U参加施設は医療機関、訪問看護ステーション、調剤薬局、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、老人施設など多岐にわたり、職種別でみると、ケアマネジャーなどの介護職の参加が最も多く、次いで看護師、医師の順である。Net4U利用患者は年々増加傾向にあり、地域の在宅医療に関わる医療・介護職にとって必須のツールとして定着しつつある。

また、在宅医療においては家族支援が不可欠なことから、患者・家族がサービス提供側である医療・介護と繋がる仕組みとしてNet4UNOTE(NOTE)が開発された。NOTEを利用することで、患者・家族はNet4Uの検査結果、処方内容を閲覧でき、一方で、患者・家族の思いなどを医療者側へ伝えることができる。利用した患者・家族からは、医療側といつでもコミュニケーションができることが安心感に繋がっているなど良好な反応も得ており、今後の展開が期待される。さらに、Net4Uは、ID-Linkを介して、地域の複数の病院とも繋がっており、Net4U画面からワンクリックで病院の電子カルテを閲覧することも可能である。

一方で、病院との連携が不十分、医師の参加が限られるなどの課題も残されている。







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郡山医師会:第2回在宅医療推進研修会

2018-05-24 16:18:32 | 日記



日時:平成30年5月23日
場所:郡山市医療介護病院3F大講堂

1、開会

2、挨拶
  郡山市医師会副会長 原 寿夫

3、講演

 郡山市の在宅医療の現状について

   ほし横塚クリニック 星 吾朗


  在宅療養支援診療所の数は減っている
  複数の医師による在宅専門の診療所が2件、在宅に特化した診療所などがあるが、
  在宅医療の受け皿として飽和状態にあり、在宅医療を行う診療所を増やす必要がある。
  やっぱり最期はいえがいいかない実行委員会を立ち上げ、検討を開始した
  いろいろ活動を行ってきたが、行き詰っているのが現状
 


 鶴岡地区医師会地域医療連携室「ほたる」設立の経緯と現状について

   鶴岡地区医師会地域医療連携室ほたる 室長 三原一郎


  ほたる設立の背景1:鶴岡地区医師会の存在

   鶴岡地区医師会は、健康管理センター(健診センター)の開設を筆頭に、
   高齢社会をにらみ、訪問看護ST、などの在宅サービスセンター、リハビリテーション病院、
   老健施設などを開設してきた。これは、地域の医療、介護を担保するのは、地域の医師会の
   責務であるという、歴代の先輩たちの高い志によるものである。
   医師会が多くの施設を運営し、その収益を地域に還元するという意味では、医師会の在り方
   としてのひとつのモデルになると考えている。

 
  ほたる設立の背景2:Net4Uの構築と人的ネットワークの芽生え
   
   Net4Uの歴史、その機能、事例、運用の実際について解説
   一方、Net4Uを地域で機能させるためには、人的ネットワークの醸成も並行して行ってきた。
    

  ほたる設立の背景3:OPTIMプロジェクト受託と多職種連携の基盤整備
  
   OPTIMプロジェクトを受託することで、
   理念の共有、年間アクションプランの必要性、会議の進め方、事業終了後のビジョン、
   誰が集まるかではなく、何のために集まるか、組織の作り方、運営のノウハウ、
   フラットな関係で議論を行える場など、各職種の交流の場ができてきた。
   事業終了後、南庄内緩和ケア推進協議会設立し、現在の活動を継続している

  ほたる設立の背景4:在宅医療連携拠点事業の受託:多職種連携の強化

   OPTIMの流れの中で、当初より在宅医療連携拠点事業(全国で10カ所)を受託。   
   厚労省も注目する成果をあげた。
   2013年には、在宅医療れ痙拠点事業室から地域連携室「ほたる」に改称
   国で示された8つの課題を網羅的に取り組んでいる。
   現在は、鶴岡・三川からの在宅医療介護連携推進事業の委託となっている。
  
  ほたるの活動について概説
     

4、ディスカッション

5、閉会




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高齢者糖尿病を考える会

2018-05-12 11:02:54 | 日記
表記の講演会を拝聴してきた。
高齢者の糖尿病は、フレイル、認知症、骨折などとの相関も高く、低血糖も含めその管理には十分な注意が必要であるとの内容でした。

以下、講義メモ

高齢者糖尿病のフレイル
血糖コントロール目標をどう考えるか
 鈴木 亮 先生
 東京大学大学院医学系研究科

1、高齢者糖尿病とフレイル

  高齢者糖尿病とは、実質的には75歳以上+機能低下がある一部の前期高齢者
  糖尿病は増えているが、予備軍は減っている
  男性60歳以上が増えている、一方で50歳以下は減少傾向
  女性は、高齢者においても減少傾向
  日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会
   健康、 HbA1c <7.5%
   中等度 <8.0%
 iADL 手段的ADL 買い物、電話、食事の準備、家事、洗濯、薬の管理、金銭管理
  糖尿病は、BADL、IADLが落ちる
  糖尿病では、加齢による筋肉の量が落ちやすい、筋力の低下が進みやすい
   サルコペニア 加齢による筋量、筋力の減少
  糖尿病の高齢者は骨折しやすい
   骨質の脆弱化、身体バランスの低下、
  フレイル:健康障害に陥りやすい状態
   体重減少、疲労感、活動量の減少、身体能力の減弱、筋力の低下 3項目でフレイルの診断
  フレイル > 身体的フレイル(自律神経ドメイン) > サルコペニア(筋骨格系ドメイン)
  糖尿病は認知症の発症リスクを上昇させる
  高齢者の糖尿病は、空腹時血糖が必ずしも高くはない
  高齢者の糖尿病、低血糖を起こしやすい
  低血糖、認知症のリスクを倍増
  認知症があると重症低血糖が倍増 とくにインスリン、SU剤使用時
  
2、高齢者糖尿病の評価と血糖コントロール目標

  どのカテゴリーか
   カテゴリーⅠ:認知機能正常 かつ ADL自立  
   カテゴリーⅡ:軽度認知障害~軽度認知症、または IADL低下、BADL自立  
   カテゴリーⅢ:中等度以上の認知症、または、BADL低下 または 多くの併存疾患や機能障害

   認知機能スクリーニング
   治せる認知症を見逃さない

  インスリン、SU薬を使っていないか

  食事療法は、高齢者の高血糖と脂質の改善に有効
  ライフスタイル介入は肥満の改善に有効、歳をとっても体重を落とせる

3、フレイル管理の課題

  高齢者糖尿病の体重減少は、低栄養のサインかも
  高齢者の食事、たんぱく質が不足しやすい、脂質の多い食事は、死亡リスクが3倍
  タンパク質摂取と筋肉量は、密接に関係する

  どんな運動をするか
   筋トレ(レジスタンス運動)
   有酸素運動
   併用が良い



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大腿骨近位部骨折における受傷前BIと認知症の程度による マトリックス分類と予後予測

2018-05-10 16:36:34 | 日記
前回のパス学会でも報告し、以前から取り組んでいる受傷前BIと認知症の程度による マトリックス分類です。
4年分のデータ700例程をエクセルをいじくり回して、分析してみまし
ADLが比較的保たれている群においては、認知症の存在がADL回復の大きな障害になっていることが良く分かりました。
一方、BI40以下の群は、受傷前よりADLが改善する例が多く、寝たきり状態においてもリハビリテーションが重要であることも証明できたと思います。

マトリックス分類することで、ある程度の予後の予測が可能となり、
分類ごとにアウトカムを設定することで、より効果的なリハビリテーションに繋がれ良いかと思っています。

以下、現時点での取り組みのまとめ。



大腿骨近位部骨折における受傷前BIと認知症の程度による
マトリックス分類と予後予測
~マトリックス分類による退院時アウトカム設定~

<はじめに>

大腿骨近位部骨折患者の受傷前の状態は多様である。とくに、認知症の有無はリハビリテーションの阻害因子とされており、受傷前の状態を考慮したアウトカム(到達目標)設定が望まれる。

<分析の目的>

受傷前のBIと認知症の程度で、回復期病院退院時のBIを予測し、アウトカムを設定する。また、そのために必要なマトリックス分類を確立する

<分析の対象>

2014年~2017年の4年間で回復期病院退院時のBIが入力されている患者524名
(N:708)

<分析の方法>

受傷前BIと認知症の程度(認知症日常生活自立度)により試行的にマトリックス分類し、BIの推移(受傷前BI-退院時BI)を検討した。マトリックス分類は、受傷前BIの区切りを変えたり、認知症を3群や2群に分類するなどし、各群の例数やBIの推移を比較検討した。結果として、受傷前BIを90、40で区切る3分類とし、認知症は、その判定が必ずしも正確ではないことも考慮し、Ⅱa以下とⅡb以上の2群に分類することとした。

最終的なマトリックス分類と、想定される適切なバリアンス閾値(平均値+標準偏差+α)、その際に生じたバリアンス数、バリアンス率を図に示す。




各群の名称は、以下のA群~F群とする。
 
認知症:自立~Ⅱa  認知症:Ⅱb以上
90-100 A B
85-45 C D
40以下 E F

<分析の結果>

受傷前BI:90-100(ADLが概ね保たれている)群(A-B群)
自立~認知症軽症群(A群)の喪失BIの平均値は13.6、認知症重症群(B群)の平均値は40.0と大きな差があり、認知症の有無はADL取得に大きく影響する。

受傷前BI:45-85の群(C-D群)
認知症自立~軽症群(C群)の喪失BIの平均値は10.7、認知症重症群(D群)の喪失BI平均値は15.0であり、認知症の有無はADL取得に影響するが、A/B群ほどでない。

受傷前BI:40以下の群(E-F群)
認知症の有無に関わらず、平均すると退院時BIは受傷前BIを上回る。とくに認知症自立~軽症群(E群)でのBI獲得率が高い。

<大腿骨近位部骨折連携パス運用におけるマトリックス分類の活用>

該当患者が、どの群に位置するかを関係する職種間で共有することで、予後予測や目標設定に役立てる。

退院時のアウトカムとして以下を設定し、バリアンス発生例についてその要因を分析することで獲得BIの向上を目指す。

退院時のアウトカム(到達目標)

  A群で、退院時BIが受傷前より30点以上低下していない
  B群で、退院時BIが受傷前より60点以上低下していない
  C/D群で、退院時BIが受傷前BIより40点以上低下していない
  E/F群で、退院時BIが20点以上低下していない

表:受傷前BIと認知症の程度によるマトリックス分類
2014年~2017年の4年間での分析結果 (n:退院時BI入力済患者524名)
  認知症
    自立、Ⅰ、Ⅱa Ⅱb以上
受傷前BI
90-100 例数 175 20
喪失BIの最大値 75 75
喪失BIの最小値 -5 10
喪失BIの平均値*1 13.6 40.0
喪失BIの標準偏差*2 14.0 17.7
アウトカム想定値(*1+*2+α) 30 60
表記想定時の発生バリアンス数 27 3
バリアンス発生率 15% 15%
45-85 例数 85 113
喪失BIの最大値 80 70
喪失BIの最小値 -35 -40
喪失BIの平均値*1 10.7 15.0
喪失BIの標準偏差*2 21.3 21.0
アウトカム想定値(*1+*2+α) 35 40
表記想定時の発生バリアンス数 15 19
バリアンス発生率 18% 17%
40以下 例数 7 58
喪失BIの最大値 15 40
喪失BIの最小値 -50 -70
喪失BIの平均値*1 -8.6 -1.7
喪失BIの標準偏差*2 21.5 20.5
アウトカム想定値(*1+*2+α) 0 20
表記想定時の発生バリアンス数 1 9
バリアンス発生率 14% 16%

喪失BI = 受傷前BI – 退院時BI
 数字が大きいほど、ADL回復が悪いことを示す。
 マイナスは、受傷前以上にADLが改善したことを示す。

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