鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.497 (胃がん撲滅を目指した除菌療法)

2015-03-31 15:54:33 | 日記
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鶴岡地区消化器病懇話会
「胃がん撲滅を目指した除菌療法:各世代における対応と対策」
北海道大学大学院医学研究科 がん予防内科講座
  特任講師 間部 克裕 先生
日時:2015年3月26日 19:15-20:30
会場:東京第一ホテル鶴岡2階
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間部先生は、彼が県立中央病院在籍の頃から、医療情報ネットワーク関連でお付き合いがありました。県立中央病院離職後は、KKR札幌医療センター消化器内科を経て、2010年から北海道大学へ移り、今や日本でトップクラスのピロリ研究者です。

胃がんの95%以上はピロリ菌感染によるというデータは、古い医学教育を受けてきた私にとっては晴天の霹靂であり、驚くべき事実です。まだ、半信半疑のところもありますが、胃がんは早期発見の時代から、撲滅の時代に入ったということを先生の話を聞きながら実感しました。

今後は、若年者に数%存在するピロリ保菌者を抽出し、除菌を徹底することでピロリ菌感染者のいない社会を目指すことになるのだと思います。そのための事業はすでに北海道を中心に行われております。この事業を例えば鶴岡市の中学2年生を対象に行った場合、1次検査(尿中抗体)で88万円、陽性者が5%として、除菌に76万円、トータル164万円でできる事業との説明がありました。是非、鶴岡の学校検診に入れるべきと感じました。

間部先生の研究プロフィール





ピロリ菌感染の経過


胃がんの原因はピロリ菌感染

1、1994年
 3つの疫学研究:WHO/IARCがピロリ菌を胃がんの確実な発がん因子に決定
2、1998年
 H.pylori感染スナネズミに胃がん発生→コッホの4原則を満たした
3、2011-12年 広島大学、北海道大学、韓国から
 胃がんの95-99%以上はピロリ菌感染が原因との報告

除菌治療 → 胃がん予防効果
1、2003年
 H.pylori感染スナネズミに除菌 →胃がん予防
2、2008年
 早期胃がんEMR後が対象のRCT →除菌で胃がん予防
3、2014年
 健常者対象のRCT,メタ解析 →除菌で胃がん予防

2014年 WHO/IARCが胃がん予防に除菌治療を勧告


診療、検診におけるピロリ診療、ピロリ菌感染者、全員除菌時代へ


胃X線検診の今後


内視鏡検診の今後


ABC検診


若年者における胃癌撲滅プロジェクト


H.pylori感染を考慮した効率的な胃がん検診


渡邊先生も一緒に三次会。
間部先生は県立中央病院時代、妻とはパス活動などでの同志でした。



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No.496 (スーパー総合医)

2015-03-28 10:54:08 | 日記

シリーズ「スーパー総合医」の「地域医療連携・多職種連携」に、鶴岡の先端的取り組みを紹介させて頂きました。

表紙・目次


本文


コラム:患者さんにとって連携メリット




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No.495 (松田先生の特別講演会(最終講義))

2015-03-26 16:20:24 | 日記
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松田先生特別講演会
日時:平成27年3月23日 18:30~19:30
場所:鶴岡地区医師会3F講堂
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松田先生が3月末で7年間在籍された庄内保健所を退官されます。先生には、庄内地区の公衆衛生、予防医学、地域医療などの分野で幅広くまた精力的に活躍頂きました。ついては、先生の業績を是非聴いておきたい、また聴いて欲しいという思いで、最終講義となる特別講演会を企画しました。以下は、講演内容の要約となります。

退官後は、いわき市の方で在宅医療を中心に活動する予定とのことです。先生の益々のご活躍を祈念し、また7年にわたる庄内地域でのさまざまなご尽力に心から敬意を表しまた感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。


○寿命の評価 
 山形県の男性の寿命は延びたが、庄内は山形市と比較して2-3歳短い。
 これは、がんと自殺が多いことによる
 また、若い人の喫煙率が高いことが肺がんの多さと関連していることも推測され
 若年者の禁煙対策は今後も課題。 

○胃の健康度診断(ABC検診)
 ハイリスクグループを内視鏡で、ではなく胃がん検診に組み込む
 ABC検診は胃がんの検診ではなく、あくまで胃がんのリスク検診との認識が重要
 したがって、従来のX線検診に替わるものではない
 ABC検診での死亡率低減効果等、有効性のエビデンスはまだ得られていない

○自殺予防に関する科学的根拠 
 かかりつけ医の教育がもっとも効果が高いと言われている。
 積極的に「自殺する気じゃないの?」と聞くことが必要
 自殺対策は地域力!さまざまな人とのつながりが重要

○がん検診受診率向上
 職域のがん検診受診率の向上を目指したモデル事業を庄内町で実施

「クイック検診」、「レディース検診」、「子どもからの家族への受診勧奨」を実施、受診率の向上がみられた。

入浴事故対策
庄内地域に入浴事故が多いことに着目し、消防署と協力し実態調査を行った。
頻度:10万あたり、 14.1-24.5件、交通事故の4倍(冬季は9倍)、
「寒いとき」に、「高齢者」が、「家庭」でという特徴がある
対策として、入浴死・入浴事故予防リーフレット、動画配信など
よいふろプロジェクト、 New Yoku Times などを実施

大腸がん検診 精検受診率向上事業
 
 平時
  精検受診勧奨(啓発活動・講話など)
  内視鏡技術研修会(メディアへ掲載)
 受診時
  検診前精検受診勧奨(リーフレット)申込者への事前添付
 結果報告時
  ハイリスク者への早期に電話で受診勧奨(医療機関への予約代行も)
 その後
  3か月:文書
  4か月:夜間電話
  連絡未着へ文書

以上の実施で、精検受診率は、地域検診では1.8%増の82.4%へ、職域は、8.3%増の65.8%と向上した

○地域連携パス関連
 1イベント1登録を提唱、
 最初の集計のお手伝い、
 論文をひとつ書いた、

 鶴岡の特徴
 ・職種間のフラットな関係
 ・医師会の積極的な関与
 ・ほたる
 ・ストローハット社
 ・Net4U
 ・病院職員、看護師、療法士部門の活躍

 期待
  論文作成もシステム化で完成を!


○やり残した部分 (論文を目指す)

・入浴実態調査と今後の情報収集のありかた
・入浴習慣の行動変容
・がん検診情報
・ピロリ
・気候変動と事故

○失敗

・胃内視鏡検診が胃がんによる死亡率減少に果たした役割
・がん検診の精度管理
・慢性肝炎地域連携パス
・荘内病院と日本海総合病院の話し合い
・ベイズ理論による胆道がんの地域集積性の証明

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No.494 (日本オミックス医療学会)

2015-03-24 15:52:14 | 日記


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日本オミックス医療学会 
 田中 博 教授 退官記念シンポジウム
「生命・医療情報学の将来の発展へ向けて」
日時:平成27年3月21日 13:00-16:50
会場:一橋大学一橋講堂
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私が幹事を務める地域医療福祉情報連携協議会の会長である田中博教授の退官記念シンポジウム、祝賀会があり、出席して来ました。シンポジウムは、日本オミックス医療学会春季講演会でもあり、場違いの会ではありましたが、医療~医学の最前線を知る上で大変刺激になりました。

オミックスについては以下のサイトを参照下さい。

日本オミックス医療学会


「システムバイオロジ―」って何だろう


第1部 生命知を探求する

「複雑系数理モデル学の生命・医療情報学への応用」
 東京大学 生産技術研究所 最先端数理モデル連携センター センター長・教授 合原一幸氏

Early diagnosis by dynamical network biomarkers


「システムバイオロジーの今後の展開」
 NPOシステム・バイオロジー研究機構 代表 北野宏明氏


第2部 到来するゲノム医療

「ゲノム:個体から1細胞へ」
 東京大学先端科学技術研究センター ゲノムサイエンス分野 教授 油谷 浩幸氏

「次世代シークエンサーを用いた1細胞解析」
 東京大学大学院 新領域創成科学研究所 教授 菅野純夫氏

「ゲノム医療実現への展望」
 東京大学医学研究科 神経内科学 教授 辻 省次氏


退官記念特別講演
 「生命知とより良き医療を求めて」
 東京医科歯科大学難治疾患研究所 生命情報学 教授 田中 博氏



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日本医師会医療情報システム協議会報告

2015-03-20 17:56:22 | 日記
日本医師会医療情報システム協議会報告
日時:2月14-15日
場所:日本医師会館
三原一郎


2月14-15日、日本医師会館で日本医師会医療情報システム協議会(日医協)が行われ、土田副会長、総務の井上課長、ほたるの遠藤係長、ストローハットの鈴木社長と参加してきました。今年の日医協は参加者が400名を超えるという盛会で、医療情報ネットワークは、ID-LinkやHuman Bridgeの普及、医療・介護連携のニーズの高まりもあり、ホットな分野なのだな~と改めて認識しました。

 ところで、日医協の前身に、全医協(全国医療情報システム協議会)とCOMINESという2つの医療IT系の協議会がありました。鶴岡地区医師会は、1997年に全医協で「イントラネットによる地域医療情報ネットワークの構築」という演題で報告して以来、ほぼ毎年のペースで当地域でのIT化の活動をこれらの協議会で報告してきました。Net4U構築の4年前から地域の医療IT化へ取り組んできたことになります。

 さて、学会1日目は、地域医療連携(事務局)セッションが行われました。まずは、「さどひまわりネット」(佐渡市)、「おきなわ津梁ネットワーク」(沖縄県)、「ゆけむりネット」(別府市)、「道南MedIka」(北海道道南地区)の4地域から医療情報ネットワークの事例報告がありました。次いで、筆者を含む12名による「地域医療連携スペシャリストによるパネルディスカッション」が行われ、以下の5テーマにつき、活発な意見交換が行われました。筆者なりのまとめを記しておきます。
1.「連携の地域的範囲」について
ID-Link(ちょうかいネットが利用している仕組み)やHuman Bridge(仕組みはID-Linkとほぼ同じ、F社の製品です)を利用した全県的なあるいは医療圏を超えたネットワークが広まりつつあります。Net4Uは、ID-Linkを利用して2次医療圏にネットワークが拡大しました。今後は、医療・介護連携にはNet4Uのような使い勝手の良いローカルなシステムとID-Linkのような広域連携の仕組みが、混在していくのではないかと思われます。
 
2.「連携のためのデータ形式の統一」について
異なるシステム間の共通のデータ基盤として、SS-MIX2という仕様が標準化しつつあります。今後は、すべての電子カルテシステムが装備すべき機能ではないかという意見が支配的でした。


3.「地域医療連携は何を連携するか」
何を連携すべきかは、連携する相手や患者さんを中心に考えるべきことだと思いますが、このセッションでは、病院は何を開示すべきか、とくに診療録(医師の記載)の開示の是非について議論となりました。現状として、診療所医師は診療録の開示を望んでいるものの、多くの病院が開示をしていないことが多いようです。(ちょうかいネットは開示しています)
4.「日医認証局の利用」について
認証局の役割として、個人(ネットワーク)認証と電子署名がありますが、個人認証に関しては、多職種が参加する今の医療・介護現場での必要性は低いのではという意見が多く聞かれました。一方で、電子署名は情報提供書などの公文書の電子保存を可能するための仕組みとして、今後の普及が望まれます。
5.「運用資金の問題」 について
ほとんどの地域の医療情報ネットワークは、地域医療再生基金や補助金を利用して開発されていますが、運用費の負担に関しては、ユーザ負担、医師会負担などさまざまでした。どの地域も継続的な運用には課題も多いようです。個人的には、ネットワーク参加率をあげるためにも、公的資金を投入し、強制化が必要と考えています。

2日目午前は、「日医IT戦略セッション ~ORCA・日医認証局の今後の展開に向けて~」、というテーマで、日レセ(ORCA)と日医認証局をテーマに5名からの講演がありました。ORCAの稼働状況は、全国で14523件、山形県では138件、シェアー率は14.7%で3位の位置にあります。ORCA周辺ソフトとしては、電子カルテ、レセプトチェックソフト、診療支援システムなど多数ありますが、日医で独自に開発しているソフトとして、MI_CAN(みかん)の紹介がありました。みかんは、ORCAに入力された内容を活用して、診療情報提供書や診断書を作成するソフトで、オフィスや文書管理ソフトなど市販アプリなどとの連携も可能とのことでした。また、電子署名にも対応しています。

日医認証局については「医師資格証の現状と今後の展開について」として講演がありました。医師資格証とは、日本医師会が発行する個人認証、電子署名に必要となるICカードです。現在、914枚発行しているそうで、月200枚程度のペースで伸びているとのことですが、運用費がペイするには6万枚の発行が必要とのことでした。医師資格証を利用するアプリケーションとしては、講習会や研修会の出欠管理、スマートフォンを用いた資格確認などがあるようですが、今後は、診断書、紹介状などの電子署名、専門医の証明などにも利用を拡大したいとのことでした。フロアーから、年額5000円は高い、無料で配布すべきではないかとの執行部への注文があり、拍手が起こっていました。まだ利用場面がほとんどないカードに年5000円払う会員は少ないと思います。まずは、全員に無償で配布し、普及してから利用法を考えた方が良いのではないかと思いました。

2日目の最後のセッションは、「医療情報の取り扱いはどうあるべきか?~医療におけるIDのあり方~」でした。いわゆるマイナンバー制度は、今年の10月に国民全員に個人番号(マイナンバー)が配布され、来年1月から運用が始まります。この番号は、おもに社会保障、税の申請に使われますが、日本医師会ではマイナンバーが医療に使われることを懸念しています。セッションでは、内閣府と厚労省から制度やマイナンバーの利活用についての講演がありましたが、マイナンバーの利用範囲は法律に厳密に明記されており、それ以外の利用は法律違反になる。医療にマイナンバーは使わないとの説明がありました。
なお、日医協の詳しい講演内容や資料については、日本医師会の会員向けホームページに掲載されておりますので、参考として下さい。

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No.489(鶴岡みらい健康調査セミナー)

2015-03-19 11:07:05 | 日記

鶴岡みらい健康調査は、慶應義塾大学生命先端科学研究所(先端研)が世界に先駆けて開発したメタボローム解析技術を取り入れた予防医学の実用化を目指した大規模コート研究です。本研究は、先端研、鶴岡市、鶴岡地区医師会が協働し取り組んでいますが、本年度(3月末)で3年間におよぶベースライン調査が終了します。想定した1万人分のサンプル収集は昨年11月に達成し、順調に推移しています。

今後は、25年およぶ追跡(フォローアップ)調査に移ります。成果がでるのは次の世代になりそうですが、メタボローム解析を活用することで、生活習慣による体内への影響を評価し、個人の生活習慣や体質に基づいた次世代型オーダーメイド健康診断が期待されています。

一方で、「どうしたら健康になれるか?」が分かっても、多くの人にとっては実際に生活にいかすのは難しいと思われます。その解決のキーワードは、「最新のことをわかりやすく」、「仲間と一緒に地域ぐるみで続ける」、「楽しく取り組んで幸せに生きる!」ことだと原田先生は講演で述べていました。この部分については、「からだ館」では、元気に生きるための交流の場として、勉強会、出前講座、料理教室、見学会、患者サロン「にこにこ倶楽部」などの活動を行っています。

今回で3回目を迎えた「鶴岡みらい健康調査セミナー」は、調査の活動状況、進捗状況、研究成果等を紹介するとともに、健康情報も盛り込みながら、市民と一緒に健康について考えることを目的として毎年開催されています。今回は「健康長寿研究最前線」と題して、いかに健康を維持しながら長生きするかをテーマに2つ講演とパネルディスカッションが行われ、最後に南東北地域のコホート研究の最新情報などにつき3名の先生から講演頂きました。

最後のあいさつとして、富田所長から「メタボロームとくもの糸で一大産業を~上場企業を生んだ慶応大鶴岡キャンパス~」と題して、先端研発の多くの成果報告と、鶴岡をアメリカのシリコンバレーのような、最新のサイエンスを世界へ発信する一大産業拠点に!、という壮大な話があり、ワクワクしてしまいました。


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鶴岡みらい健康調査セミナー
健康長寿研究最前線
日時:2015年3月15日 13:30~16:00
会場:生命先端研レクチャーホール
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講演「白寿者に学ぶ健康寿命」

◆「フレイル予防~超高齢期のからだの健康」
  新井康通氏(慶應義塾大学医学部 百寿総合研究センター 専任講師)

百歳を超える超高齢者(百寿者)がなぜ長生きできるのか?
遺伝、環境&生活習慣、疾患と生活機能障害、性格と心理、社会サポートなど多面的な研究を行った。

長寿に関連する因子として、
・生活習慣
・動脈硬化になりにくい
・喫煙、飲酒:適量なら問題なし
・高血圧、脳血管障害、がん、:百寿でも60%程度はある
・糖尿病:6% (糖尿病があると百寿は難しい)
・肥満:脂肪細胞が大型化→アディポネクチンの減→糖尿病の悪化
などあるが多様。 

フレイル(虚弱)
 活動低下、筋力低下、予期しない体重減少、疲れやすさ、動作の緩慢
 フレイルは、認知機能の低下と関連する
 長寿にはルレイルを予防することが大切
 その為には、十分な栄養と運動習慣をつくるのが重要


◆「老年的超越~70歳からの幸福感とこころの健康」
  増井幸恵氏(東京都健康長寿医療センター研究所 研究員)

高齢期の幸福感
 健康で、生きがいをもって、生涯現役

85歳以上を超高齢者と分類

超高齢期には、身体機能が大きく低下するが、幸福感をより一層感じるようになることが知られている。この高齢者の多幸感を老年的超越という。


◆パネル討議
「健康長寿の地域づくりを目指して」

 司会:秋山氏
 パネリスト:松田氏、新井氏、増井氏、後藤氏(老人クラブ連合会元会長)


健康長寿のひけつ:健康、生きがい、仲間、役割、目標

鶴岡地区の課題
 60-90歳台の生存数が山形市に比し低い
 がん、自殺が多い
 肺がん、ワースト 10位 喫煙率が影響?
 自殺予防には、地域のつながりが重要


【講演】
「健康長寿実現へ向けた南東北地域のコホート研究最新情報」

◆「東北メディカル・メガバンク地域住民コホート研究について」
 寶澤 篤氏(東北メディカルバンク機構 予防医学・疫学部門 教授/副部門長)


被災地に医療関係人材を派遣して地域医療の復興に貢献するとともに、15万人規模の地域住民コホートと三世代コホートを形成し、そこで得られる生体試料、健康情報、診療情報等を収集してバイオバンクを構築する

◆「山形コホート研究について」
 川崎 良氏(山形大学 公衆衛生学口座 助教) 

山形県下7市町村で、2万人の研究協力者大規模なゲノムコホート研究を行っている


◆「鶴岡を元気に!みらい健康調査の3年間と”みらい”への展望」
  原田 成氏(慶應義塾大学生命先端研・医学部衛生学公衆衛生学 助教)


◆閉会のあいさつ 



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No.488(地域シームレスケアネット研究会)

2015-03-17 16:42:44 | 日記


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第11回地域シームレスケアネット研究会
日時:平成27年3月14日 16:00~17:30
会場:福島市 ホテルサンルートプラザ 2F芙蓉の間
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表記研究会にお呼ばれしてNet4Uを中心に当地区のIT連携の取り組みの話をしてきました。

福島県では、県主導で、全県レベルでの医療情報ネットワークの構築が進んでいるようです。福島県でもID-LinkとHuman Bridgeを利用したネットワークで病院間を繋ぎ、在宅医療には独自にASP型電子カルテを導入するようです。しかし、行政、ベンダー、医療者間での意識のずれや温度差が大きく、順調に進んでいるとは言えない状況にあるとのことでした。そのような中で、IT先進地区の現状を知りたいということで呼んでくれたようです。

講演では、ビデオを多用し、Net4Uの実際の医療現場での活用を分かりやすく話をしたつもりです。また、ちょうかいネットとNet4Uの違い、それぞれの棲み分けなどについても解説しました。さらに、ITネットワークを機能させるためには、組織化、事務局機能、顔の見える関係づくりなども並行して行わなければならないということも強調しました。

懇親会のあいさつでは、私の話を1日早く聞いていれば、昨日の会議の内容も随分違ったものになったのに、との言葉も頂きました。また、以下のお礼のメールも頂き、少しは福島のお役にたてたのかなと思っています。

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先日はご多用の中、地域シームレスケアネット研究会でのご講演を賜わりまして誠に
ありがとうございました

非常に内容の濃い有益なご講演で、あっという間の一時間でした。

今まで、病病・病診間でのネットワーク構築のお話ししか聞く機会がなかったので、
在宅での実際をうかがえたことは、その目的を改めて考える機会となり大変感謝して
おります。

また、医療職だけではなく地域の医療機関のSE達からも、

「システムを実際どのように使っているのかイメージがついたのでとてもよかっ
た。」という感想もきかれ、

出席者に大変わかりやすいご講義 助言を頂戴いたしましたこと深く感謝いたします。

本当にありがとうございました。

福島の県北地区は、震災以前の生活にほぼ戻っているのに、

何か町や人の様子が変わってしまったように感じています。

医療も、大学にはいろんな意味で人もお金も入り潤っているようですが、

地域の医療機関や在宅スタッフの不足はますます深刻になる一方で、

このままの状況でいつまで踏ん張れるのか危惧しております。

そのためにも、IT化は効率をよくするだけではなく、人と人とのつながりを大切にす
るためにも、できるところから始めていかなければと思いました。

どうか、この度のご講演を機に、今後ともご指導賜れたらありがたく存じます。

まずは取り急ぎお礼申し上げます。


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No.487(地域包括糖尿病対策「Project8」新潟県魚沼地域の取り組み)

2015-03-16 16:57:18 | 日記

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鶴岡地区糖尿病講演会
鶴岡地区糖尿病連携パス勉強会

地域包括糖尿病対策「Project8」新潟県魚沼地域の取り組み
医療法人社団上村医院 院長 上村 伯人 先生
平成27年3月13日 19:00~
ベルナール鶴岡 3F ベルカント
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糖尿病地域連携パス推進協議会が共催する鶴岡地区糖尿病講演会で、魚沼地域で活躍されている上村先生の講演を拝聴しました。地域が一つになって取り組めば、こんな素晴らしい成果がだせるのだという意味で、私にとっては、とても感動的な内容でした。
なお、上村先生は私の出身大学の3年後輩に当たります。

☆プロジェクト8

魚沼地域では、すべての糖尿病患者のHbA1c(JDS値)8%以下に!という目標を定め「プロジェクト8」という活動を展開してます。

プロジェクト8の4本柱は以下

1、医療者プロジェクト8、「ヘモグロビンA1C8%の患者を放っておかない」

2、連携プロジェクト8、「ヘモグロビンA1C8%が続いたら、病院で精密検査を実施する」
 
3、患者プロジェクト8、「ヘモグロビンA1C8%の自分や家族を放っておかない」

4、健診プロジェクト8、「地域・職域保健の取組」

地域の医師、看護師、薬剤師、保健師などが連携し、地域住民のHbA1cを8%以下を目指します。そのために特にHbA1c8%以上の方へ受診をすすめ、検査結果を医師だけでなく看護師や薬剤師も情報を共有し(地域連携パス)、健康指導を行います。こうした取り組みの結果で、糖尿病の悪化を防いでいます。

その結果2012年に、195人いたHbA1c8%以上の人が2013年には65人まで減少しました。およそ7割減少したことになります。




☆アラーム6

また、アラーム6という低血糖予防のための取り組みも行っています。

除雪作業では、男性の10%近くが低血糖を自覚しているそうです。
低血糖対策のひとつとして、低血糖の危険性が高いSU剤は、なるべく使わない啓発活動を行い、3医療機関で採用を中止し、地域でのSU剤の使用量が60%から10%程度に下がりました。

☆積極的な多剤併用

血糖をコントロールすには、積極的に多剤を併用することが勧められるとのことでした。

☆職域検診での積極的な介入


職域検診では、HbA1c8%以上の人の78%が無治療という状況を
積極的な介入で7%まで減少させました。


☆当院での糖尿病治療戦略


 1、ドロップアウトさせない(とにかく継続)
   食事、運動療法だけでは、継続は難しい
 2、血圧・脂質もしっかり下げる
 3、動脈硬化も評価
 4、低血糖をおこさない
 5、行動変容を一緒に考える(とくに運動)

 6、SU剤を第一選択にしない。インスリン非分泌型薬剤を中心に
 7、HbA1c7%以上が3か月以上続いたら治療を強化
 8、HbA1c7%未満でも食後高血糖があったら治療を検討する
 9、服薬コンプライアンスをみて処方検討


以上の治療方針で、上村医院でのHbA1c8%以上の患者は2.4%!


☆糖尿病と認知症


☆総合型スポーツクラブの立ち上げ
 NPO法人エンジョイスポートクラブ魚沼
 NPO法人スノーパーク小出


☆地域医療魚沼学校
自立と連携 学び続ける

わたしたちは、地域を守る術を「学ぶ文化」を作り、地域を支える人を育てるために、「住民こそ地域の健康を守る資源である」を合言葉に、互いに学び、支えあい、健康をも盛る人材を育成するための学校を作る決心をした。

これが、ヘルスケアセクター・行政・住民参加による新たな構想「地域医療学校である」


☆まとめ



☆懇親会
上村先生を囲んで和やかな時間を過ごしましたが、その間も、上村先生は在宅患者さんの看取りを電話で指示するなど忙しそうでした。魚沼では在宅医療の連携もしっかりできているようです。

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No.486(鶴岡市自立支援型地域ケア会議)

2015-03-12 17:02:25 | 日記
鶴岡市で、来年度から始める予定の自立支援型地域ケア会議にオブザーバーとして参加してきました。

自立支援型地域ケア会議というのは、比較的介護度の低い人を対象に、「自立」を目標により適切で、実効性のあるケアプランを作成するための会議です。市がコーディネーターとなり、サービス提供側(ケアマネ、ヘルパー、介護用具の販売所など)からの事例報告に対し、薬剤師、理学療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、管理栄養士などが専門家としての視点からさまざまなアドバイスを行い、より質の高いケアマネジメントを目指すという内容です。この会議の目的のひとつは介護給付の適正化にありますが、このような会議を通して、ケアマネを含むサービス提供側のスキルアップも期待されています。

この方式は和光市で始まったもので、和光方式とも呼ばれています。和光市では、要支援の人全てのケアプランをケア会議で検証し、自立支援型マネジメントを徹底することで、要介護認定率を10.2%に抑えています(全国平均17.4、鶴岡市は20%程度)。なるべく、要介護にならないようにすることは健康寿命を延ばすことに繋がりますので、自立支援型のケア会議は、介護給付の適正化という財政的な意義だけでなく、高齢者が生き生きと地域で暮らし続けるために有用な取り組みだと思います。

一方で、地域全体で要介護認定率を下げるためには、年間数例程度では問題になりません。全てとは言わないまでもかなりの事例を検討する必要があります。鶴岡市の本気度が試されているように思います。

ケアマネジメント質向上の取り組み


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鶴岡市自立支援型地域ケア会議
平成27年㋁11日13:30~15:30
鶴岡市役所 6F大会議室
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1、開会

2、あいさつ

26年4月高齢化率40%
要介護認定者 増加傾向
自立支援のケアプランになっているのか
専門家の意見が気づきの場になることを期待

3、自立支援型地域ケア会議について
  山形県長寿安心支援室 地域包括ケア推進主査 石井克明氏

自立支援型地域ケア会議は、県内で10市町村目となる
DVD鑑賞、説明(東内さんの講演と和光市のケア会議の様子でビデオ鑑賞)

4、地域ケア会議

アドバイザー:
 薬剤師、理学療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、管理栄養士、

1)A事例
81歳、女性、独居、要支援2
パニック障害の既往あり、
不感感が強い、薬管理できない、筋力低下、短期間での体重減少(栄養?)、転倒が多い(筋力低下)
大腿骨骨折、歩行器で移動
ヘルパー:週2回、買い物、掃除、(ほとんど援助必要なし)、薬の確認(きちんと飲めていない)

以下、アドバイザーからの質問、コメント
・栄養 管理栄養士
 食事内容は不明、パニック症候群との関係、
・通院医療機関は5箇所(精神、整形、内科など)
 薬を飲めているのか → ほとんど飲めていない?
 精神科の薬がふらつきの影響である可能性がある
・転倒の原因を検討すべき(薬、筋力低下、うつ症状?)
・嚥下機能の低下が懸念、補助栄養も検討の余地がある
・精神科の薬が、食に影響していないのか
・食の確認が必要
・デイサービスで、食のアセスメントができないか

個人的な感想
この事例の課題は、体重減少、薬の服薬管理などと分かっていながら、サービス提供側(とくにケアマネ)が、どのくらい食べているのか、薬の服用状況などを把握できていない。したがって、アドバイザー側からは質問が多くなり、今後どのように対応すべきかの提案にまでに至らなかった。
 
2)B事例
89歳、女性、独居、要支援2
左肩骨折、腰椎圧迫骨折など転倒が多く、骨折を繰り返している
趣味:畑仕事

痛み軽減、自立へ向けて回復傾向にある
ヘルパー、週1回、掃除に入る
手すりの設置
デイサービス:週1回、入浴(見守り)、交流、特別な機能訓練は行っていない
近所の知人(独居)との関係は?:毎日会っている関係、食事のアドバイスをしている

自立できるか? → (アドバイザー)できるのではないか
敢えて、デイサービスを利用しなくとも、社交的性格もあり、公民館などで活動してはどうか?一方で、転倒を未然に防ぐ手立ては必要

個人的感想
自立できそうな人を敢えて選んだのではないかと思った事例。でも、89歳の独居高齢者をあえて自立と認定する意義があるのか?むしろ、ある程度の介護サービスを使って、公的に支援していくべきではないか。

5、全体討議

6、講評

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No.485(山形県医師会特別講演会:日本医師会の医療政策)

2015-03-12 15:21:05 | 日記

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山形県医師会特別講演会

「日本医師会の医療政策」
日本医師会 副会長 今村 聡 氏
日時:2015年3月7日 16:00~
場所:山形国際ホテル
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配布資料


皆保険制度の維持には、医師会が必要
現場の医師を支えるのが地域医師会

医療提供体制、 保険制度、 患者(国民) のバランス

経済成長、医療をエンジンとするのは問題、 医療の市場化は問題

税制を基本に話す

日本の医療の特徴
 世界の医療の評価で、日本の評価はダントツに高いが、自己評価は低い
 → いい医療が提供されているのに、国民の医療への評価は低い 問題視すべき

1、医療保険制度

医療費の負担構成
 保険料(共助):49%、公費(公助):38%、患者負担(自助):12%

日本医療制度の問題点
 ・患者負担が先進諸国と比べてかなり高い
  一部負担割合が重い イギリス、カナダ、イタリア、フランスは無料、
  保険料を払いながら、なぜ自己負担? という課題
 
 ・対GDP総医療費がG7より低い
  一人当たりの医療費は、14位程度、高くはない(平均を下回る
 
・被用者保険の保険料率に大きな格差がある
 保険料率が異なる、協会けんぽ、組合健保、共済組合 揃えべきというのが日医の主張

国民医療費の財源別構成
 公費、自己負担が増加傾向、保険料は減少傾向、

国民負担率 
 日本:40%、(フランス:62%、スエーデン:58%、ドイツ:51%)

公的医療保険を支える財源
 消費税:輸出を促進するために考えられた税 輸出の補助金という考え方

2、消費税率10%引き上げ延期

医師会は、消費税引き上げ延期に反対した

消費税収の使途:高齢者3経費から社会保障4経費に

10%延期、は単なる延期ではない

プライマリーバランスをとるためにには
税を増やすか、 政策的経費(社会保障など)を減らす しかない

次期に診療報酬はかなり厳しい状況になる

3、控除対象外消費税問題

社会保険診療は非課税

消費税、付加価値税
事業所者に負担はない

医療機関には納税の義務がないが還付の権利もない

医療機関が支払う消費税:2.27%
診療報酬に上乗せされ補てんされてきたが、補てん不足が残っている

なお、初診料:12点、再診料:3点の上乗せは消費税の補てんのため

設備投資などへは、診療報酬では対応できないとう認識は共有されている

4、地域における地域医療・介護の促進に向けた取り組み

消費税率アップ分は「基金」で対応することで、患者、保険料の増には影響しない。

地域医療構想、地域支援事業、などは、基金を活用する

*地域支援事業

医療(904億)
1、医療従事者の確保・養成
2、在宅医療の推進
3、医療提供体制の改革に向けた基盤整備

介護(724億)
1、介護施設などの整備
2、介護従事者の確保

介護保険 地域支援事業(公費26億:国13億、地方13億)

5、地域医師会の役割

地域支援事業との関わりが重要
医療・介護の総合的な窓口機能として、鶴岡の「ほたる」の紹介

8つの地域支援事業
 1)地域の医療・介護の資源の把握
 2)在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討
 3)切れ目のない在宅医療と介護の提供訂正の構築推進
 4)医療・介護関係者の情報共有の支援
 5)在宅医療・介護連携に関する相談支援
 6)医療・介護関係者の研修
 7)地域住民への普及啓発
 8)在宅医療・介護連携に関する県警市区町村の連携

(ほたるは、以上のすべての事業に取り組んでいます!)

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