鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.340 (会長就任のご報告)

2014-05-30 11:31:08 | 日記
5月28日、定時総会が行われ、25年度の決算を承認頂き、前年度役員の任期が終
了しました。引き続き、昨晩、先の臨時総会で選任された役員による定例理事会
が開催され、冒頭、武田憲夫先生司会のもと、定款第32条 第1項 第3号に基づい
て会長及び副会長の選任作業が行われ、満場一致で、会長に三原一郎、副会長に
土田兼史、福原晶子が選任されました。

以下、理事会に先立っての会長あいさつ要旨です。

2期目を向かえることになります。過去2年間は、副会長、役員の皆さん、また、
局長、次長をはじめ、職員の皆さんに支えられ、大過なく、会長としての重責を
果たせたことに対して、まずは感謝申し上げたいと思います。

また、今回新たに役員をお引き受け頂いた先生方にも、感謝致します。

昨日の総会でのたくさんの報告事項、膨大な資料に初めて総会に出席された先生
方は、少し驚いたかもしれません。言うまでもありませんが、当地区医師会は、
健診、居宅系サービス、病院、老健など多くの事業を展開し、また、地域におい
ては、庄内プロジェクト、地域連携パス、在宅医療連携事業、Net4Uの運用など
多岐にわたる活動を行っており、全国から「鶴岡モデル」としても注目されてい
る地域です。

活動が多岐にわたっているだけに、役員の先生方には、複数の委員会に参加頂く
ことになり、負担をおかけすることになるかもしれません。一方で、医師会活動
は、地域の保健・医療を支える屋台骨であり、われわれの本業である医師として
の仕事のほかに誰かがやらなければならない大事な活動です。大変だとは思いま
すが、患者さんのため、市民のため、地域のためという高い志をもって、しっ
かり取り組んで頂けるよう期待します。

これからの2年間、どうぞよろしくお願いします。

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No.339 (地域連携入退院支援)

2014-05-27 11:33:31 | 日記
隔月に発刊されている「地域連携入退院支援」という、おもに病院の地域連携に
携わる人たち向けの雑誌があります。

その5:6月号の特集2「連携パス・事務局機能パワーアップの秘訣」に、

「地域連携パスの分析から見える疫学的意味~事務局機能に活かす~」
  庄内保健所所長・松田徹、鶴岡病院主任看護師・三原美雪

「地域連携パス運用のための事務局機能の重要性」
  鶴岡地区医師会地域連携室係長・遠藤貴恵

の2つの論文が掲載されました。

松田氏からは、IT化された脳卒中地域連携パスのデータ分析の結果とその意義、
さらにデータの質管理を維持していくための事務局機能の重要性が述べられてい
ます。一方、遠藤氏からは、当地区のパス推進協議会設立の経緯、運営の現状、
ITパートナーの重要性、さらには運営費調達の困難感なども述べられています。

いずれにしろ、地域連携パス活動における事務局機能の重要性は日頃からは感じ
ていましたので、とてもタイムリーな企画だと思いました。また、当地区のパス
協議会の事務局機能が全国的にも注目されていることに誇りも感じているところ
です。

当地区の地域連携パスの現状報告でもあります。
目を通して頂ければと思います。


https://drive.google.com/file/d/0BzItwTwB_6zeR2YzNGsyY04zNFU/edit?usp=sharing

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No.338 (ユマニチュード)

2014-05-24 15:05:27 | 日記
“ユマニチュード”というフランス発祥の、認知症の人のためのケアメソッド、
NHKのクローズアップ現代でも取り上げられたので、ご存知の方も多いかも知れ
ません。2年間ベットから起き上がろうとしなかった90歳の女性が、実に楽しげ
に、歌いながら歩き始めたそうです。

メソッドの基本は、以下の4つの技術
1、見る
 同じ目の高さ:見下されていると感じさせない、関係が平等であることを示す。
 正面から:素直さを表し、信頼を得る。
 近くから長く:親近感を示す。アイコンタクトは0.4秒以上。
2、話す
 優しく:いらいらすると、声が高くなる。低めのトーンで柔らかな抑揚。
 ポジティブな言葉:自分が行っていることが、楽しく心地よいと感じてもらう。
 頻繁に:相手の反応がなければ、私たちは言葉を失う。
     言葉を返してくれない時にはauto-feedback(動作の実況)
     ↑沈黙にならないような工夫
3、触れる
 広い面積で:単位面積あたりにかかる力の軽減。痛くない。
 優しく:愛情を示す。
4、立つことを援助する

と、当たり前のものです。

(以下は、今度出版される本からのキャッチ―コピー)
しかし、これらの常識を徹底させると「革命」になります。
・見る:ただ見るのではなく、相手の視線をつかみに行きます。
・話す:話題がないときでも、会話が続く方法があります。
・触れる:飛行機の離陸・着陸のように触れましょう。
・立つ:40秒立つことができるなら、寝たきりは防げます。

詳しくは、以下をご覧ください。
看護師、介護士、あるいは介護する家族には、是非、身に着けて欲しいスキルと
思いました。

「魔法」の高齢者ケア◇フランス発、国境超える「ユマニチュード

「ヒューマニチュード/ケアする人の文化・意識革命を起こす」


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No.337 (南庄内緩和ケア推進協議会総会)

2014-05-23 12:31:57 | 日記
5月21日、19:00~、荘内病院講堂で、南庄内緩和ケア推進協議会総会を行いま
した。以下、報告します。

1、開会
2、会長挨拶(要旨)
OPTIM終了後、本協議会を設立し、4年目を迎えた、
WG毎に、年間アクションプランを作成し、それを着実に実行することで成果を
上げている。4地域のなかで、最も充実した活動を継続できている地域であり、
大変誇らく思っている。
鶴岡地区では、緩和ケア推進協議会のほかにも、地域連携パス推進協議会、在宅
医療拠点事業、地域電子カルテ「Net4U」など、全国でもトップレベルの活動が
できており、「鶴岡モデル」として、全国から注目される地域に成長した。
緩和ケア推進協議会の取り組みは、今後さらに加速する超高齢社会のなかで構築
していかなければならない地域包括ケアシステムの中核となる事業と捉えている。
がん患者ばかりでなく、認知症のひと、さまざまな障害者を抱える人々が安心し
て、そのひとらしく生活できる地域を目指して、今後とも活動を継続していきた
い。

3、議事
(1)第1号議案:規約の変更
(2)第2号議案:組織図(案)
(3)第3号議案:平成25年度事業報告(案)、収支予算書【案)
 各WG、緩和ケアサポートセンターから、多岐にわたる事業内容が報告された。
 (詳しい内容については、下記資料をご覧下さい。)
 収支の説明、監査報告があった。
(4)第4号議案:平成26年度事業計画(案)、収入支出予算(案)
 本年度も、同じ予算規模で、概ね同様の事業を継続する。

以上、いずれの議案も承認された。

4、報告
(1)OPTIM介入後の診療所調査報告
 OPTIM介入後の鶴岡・三川地域における在宅緩和ケアに関する人的・質的医療
 資源の変化ならびに意識調査の報告。
 調査医療機関:74(小児科、眼科を除く)
 アンケート回収率:78.4%(58医療機関)
 がん患者の在宅診療を行っている医療機関の数、在宅看取りの数、疼痛緩和の
 スキル【麻薬などの使用)、身体症状や精神心理的症状へのサポート、高度な
 治療などのすべての項目で、介入前に比し介入後で大きな進歩がみられた。
 (下記、配布資料の最後に詳しい内容があります))

(2)DVD「地域で支える緩和ケア~庄内プロジェクトの挑戦~」
 市民向けに、庄内プロジェクトの活動を紹介するDVDの視聴

5、その他
6、閉会

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No.336 (地域連携パス全体会)

2014-05-22 16:37:10 | 日記
5月20日 19:00~ 荘内病院講堂

今回の全体会は、運営委員会報告、各地域連携パスの進捗状況報告の後、大腿骨
近位部骨折地域連携パスの運用4年間のデータ分析の結果中間報告が、協立リハ
病院、荘内病院、湯田川温泉リハ病院からそれぞれありました。
(近日中に、集計表は発刊される予定です。)

以下、協立リハ、茂木先生の報告の概要です。

骨折前の日常生活自立度と認知機能障害程度で、6つのカテゴリーに分類し、さ
まざまな視点で分析を行っています。このような分類を使っての分析は、過去に
ないとのことです。この層別化(カテゴリー分類)は、適切な入院日数やバリア
ンス分析をする上でとても有用だと感じました。大変すばらしい報告だったと思
います。

プレゼンファイル

分析データ:
 2009年4月から2012年3月までの4年間のパス登録患者945名

在院日数:
 急性期:14-16日
 回復期:61-73日
 回復期転院率:74%-79%

受傷年齢:
 男性:78.0
 女性:83.4
70歳までは男性に多く、80歳以降は女性に多い

骨折型
 頚部骨折:34%
 転子部骨折:66%

居住形態と同居者数
 同居:67%
 施設:24%
 独居:9%

介護保険利用状況と介護度
 保険有:65%
 保険無:34%

受傷月
 11月に多い

受傷月と骨折型
 どのつきも、転子部骨折が多いが、
 2月のみ、頚部骨折が多い (雪かき作業が要因?)

受傷場所
 屋内:54%、屋外:21%、その他:25%
 屋内(居室:29%、廊下:11%、トイレ風呂:9%、玄関5%)

受傷前の病態(ADLと認知機能)による層別化(数字は症例数)
 カテゴリ 1 ADL自立×運動・認知機能問題なし(概ね障害がない群):231
 カテゴリ 2 運動機能問題あり・認知機能問題なし:173
 カテゴリ 3 運動・認知機能著しい問題なし:202
 カテゴリ 4 歩行自立・認知機能低下:92
 カテゴリ 5 屋内生活中心×運動・認知機能問題あり:157
 カテゴリ 6 骨折前より歩行不能:84

このカテゴリ―で
 術後の行動症状と抑制、BI推移、パス転院率、退院先、在院日数、MMSE推移、
 カテゴリー推移、などを分析

まとめ

退院時、受傷前より身体・認知機能の増悪を認める例が多い
 →生活期における活動の維持向上の取り組みが必要

認知症・骨粗鬆症の診断、治療の実施率が低い(骨折して初めて病気に気付く)
 →早期の診断、治療にむすびつける対策が必要

カテゴリー分類(受傷前の病態を層別化)することで、回復期における適切な退
院目標の設定、バリアンス分析が容易となる。

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No.335 (薬剤師会とのミーティング)

2014-05-22 16:34:33 | 日記
昨日昼(19日 13:00~)、ほたる主催の本年度1回目となる薬剤師とのミーティ
ングを行いました。在宅医療(地域包括ケア)における薬剤師の活用は、地域で
の課題のひとつですが、当地区では、庄内プロジェクトの活動もあり、薬剤師の
在宅訪問服薬指導を含む地域での活用は、徐々にですが進んでいます。


1、在宅訪問などに関するアンケート

歯科医師会で行っている、在宅訪問対応の一覧表が4月に更新されました。
積極的に在宅訪問する薬局は、10施設
実績のある薬局は16で、昨年比 +4 とのことです。

2、26年度の活動計画

25年度は多くの活動を行いました。

26年度活動計画 

25年度の取り組みを継続・発展させ、以下を実施する。

①地区医師会との在宅ミーティング参加継続。

②医師会『南庄内在宅医療を考える会』で薬剤師の訪問について紹介:時期は調
整中。

③多職種参加型の意見交換会【継続事業・助成あり】1回:11月

④他職種講師の在宅勉強会 【継続事業・助成あり】2回(在宅医・ケアマネジャー)
:7月・10月

⑤薬局マップ作成:アンケートを4月実施後、印刷は6月予定。【助成金事業】

⑥他職種(ケアマネや訪問看護)の個別施設内勉強会への出張講演機会を増やす。
→包括の叶野さんにケアマネと薬剤師会の主要メンバーで、今後の連携について
打ち合わせに機会を持ちたいと相談中。ケアマネからも薬剤師と意見交換の機会
を持ちたいとの意見が出ているとのこと。具体的なスケジュールなどは返事待ち。

⑦庄内PJの介護職対象研修会『緩和ケアを学ぼう会』(和泉先生主催)で、薬剤
師から介護職への宣伝・ミニレクチャーの時間をいただけることに。(6/27・
9/1・1/30)→6/27の1回目は、篠田から『薬剤師の在宅訪問』について宣伝予
定。


3、南庄内在宅医療を考える会

薬剤師会から、在宅服薬指導の普及を目指して、南庄内在宅医療を考える会にお
いて広報していきたいとの要望があり、すでに計画は決まっているが、会の冒頭
などで広報の時間を設定できるか検討することとする。

以上、

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NHK山形でNet4Uが紹介されました。

2014-05-22 16:32:28 | 日記


先日は全国版で紹介されたNet4U。先日、NHK山形で放映されました。

今回は、後半の内容が異なっており、情報共有システムを活用するには、理念を
共有した顔の見える関係が前提になることが強調されています。ご覧ください。

http://youtu.be/BbF-F5gj2VY


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No.334 (認知症の医療的対応と地域連携)

2014-05-20 07:44:06 | 日記
認知症のe-learning受講中。今回は「 認知症の医療的対応と地域連携」のテーマで、
認知症の直面する課題とタイプ別の症状を学びました。

認知症の問題は、認知症の人に対し不適切な対応をすること(適切な対応をしな
いことで)で、病態が複雑、重症化し、本人、家族、周囲の人々、ひいて地域、
国が不幸になっていくことです。

したがって、

「認知症が重症化(複雑化)する前に、住み慣れた地域のなかで認知症疾患の診
断・アセスメントを実施し、情報を共有し、これに基づいて必要な予防、医療、
介護、住まい、生活支援などのサービスを統合的に提供し、認知症の人と家族が
生活の質を保持し、穏やかで安全な生活を継続できるようにする。」

これが認知症対策の基本的な考え方となります。
すなわち、認知症のひとへの対応は、地域包括ケアシステムの概念そのものでも
あるのです。

---------------------------------------------------
認知症の医療的対応と地域連携
東京都健康長寿医療センター研究所 粟田 主一
---------------------------------------------------


◆認知症とは何か

脳疾患 - 認知機能障害 - 生活機能障害
  ↑
  ↓
 身体疾患 ←→ 行動・心理症状

が複雑に関連して、病状を悪化させる (性格が悪いわけではない)
・一人暮らし、社会的孤立
・生活困窮、ゴミ屋敷
・受診拒否 サービス利用の拒否
・悪徳商法被害
・近隣トラブル
・居住地、施設、病院、地域おける差別や排除
・介護者の負担・心理的苦悩
・介護者の健康問題
・虐待、介護拒否
・老老介護、認々介護
・自殺、介護心中

☆認知症の複雑性

認知機能低下 →社会的孤立 →生活機能低下 →健康状態不良 (認知症に限らない)

精神的健康度が低下(抑うつ、不安、睡眠障害、妄想、怒りっぽい、興奮、暴言、暴力)
=>BPSD、家族疲弊

☆認知症の早期診断、早期対応

「認知症が重症化(複雑化)する前に、住み慣れた地域のなかで認知症疾患の診
断・アセスメントを実施し、情報を共有し、これに基づいて必要な予防、医療、
介護、住まい、生活支援などのサービスを統合的に提供し、認知症の人と家族が
生活の質を保持し、穏やかで安全な生活を継続できるようにする。」

◆アルツハイマー型認知症
 近時記憶、視空間認知、言語理解の障害
 頭頂葉、側頭葉、海馬の萎縮
 記憶機能 - 時間のつながり
 空間機能 - 場所のつながり
 言語機能 - 人とのつながり
 →不安、混乱 →不眠、うつ、妄想、幻覚、徘徊、興奮

あるひとり暮らしの認知症の人

ある日、娘夫婦が家を訪ねたところ、玄関に座り込んだまま立ち上がれなくなっ
ている母親を発見して、救急車を呼んで病院を受診したところ、医師から腰椎圧
迫骨折といわれ「鎮痛剤を飲んで安静にしていれば回復しますよ」と説明された。
しかし、娘夫婦は、本人が一人暮らしであり、最近認知症を疑わせる症状がある
ので「入院させてもらえませんか」と頼んだ、その直後・・・

本人は娘に対して「むりやり私を病院へ連れてきた私を入院させるつもりか!お
前たちは私をボケ扱いして私の家をのっとるつもりか!」と大声をあげて興奮し
はじめた。娘夫婦の話では、夫と死別してから、ひっきりなしに娘夫婦の家に電
話をかけてきて、「財布をどこに隠した!」、「通帳を勝手に持って行っただろ
う!」、「私を追い出して家をのっとるつもりか!」と激しく攻撃するようになっ
たという。こういう状態なので、娘夫婦は、「自分たちの家へ連れて行くことも
できない。どうか入院させて欲しい」と医師に懇願した。

ここで、アルツハイマー型認知症のことを良く知っている看護師がいると

(一体どうなさったのですか?)
娘夫婦に無理やり病院に連れ来られたのです。
(無理やり連れてこられたのですか?)
そうです。無理やりです。
(玄関で動けなくなっていたのですか)
そんなことはありません。仏壇をかたづけていただけです。そしたら娘たちが来
て、いきなり私を自分たちの車に押し込んで連れてきたのです。
(仏壇をかたづけていたのですね)
そうでう
(ご主人の仏壇ですか)
そうです。夫が突然死んだもので、その後始末がいろいろあって・・
(それはたいへんでしたね)
ええ、突然だったもので
(それからずっと一人暮らしをされていたんですか)
そうです
(後片付けも一人でされていたんですね)
そうです、夫が突然死んだもので、仏壇を片付けていたんです
(それで腰を痛めたのですね)
だと思います
(腰の痛みは今もあるんですか)
ええありますよ
(重いものをもったせいか、腰の骨が潰れてしまっているようでうよ)
そうだんですか

という具合に、本人が現状を理解してくれるようになる。
要は、病気を知って、それなりの対応(スキルは必要)することが大事

◆血管性認知症
脳梗塞は起こっていないが、脳の中心部での血流が悪くなっている。
酒飲みの男性に多い
前頭葉が障害される
実行機能障害
 自発的、計画的、効果的、合目的的に 行為を遂行する能力
著しい意欲低下
一日中炬燵に座っている
すべてに無頓着
平然としていることもあるが、・不安・心気症状や抑うつ症状が目立つことが
ある
↑ 認知症とは分かりにくい症状
リハビリで軽快することが多い

◆レビー小体型認知症
後頭葉、脳幹の障害
視空間認知、視覚認知の障害、パーキンソン症状、意識レベルの変化
・混乱しやすい
・抑うつ症状や妄想が現れやすい
・夜間行動異常が現れやすい
・錯覚や幻覚が出現しやすい
・症状が変化しやすい
・日中うとうとしやすい
・パーキンソン症状
・歩行障害
・嚥下障害
・動作緩慢
・脱水症、尿路感染症に注意

◆前頭側頭型認知症
前頭葉、側頭葉にピック小体が沈着
実行機能障害、脱抑制(感情をコントロールできない)症状
・立ち去り行動 GOING MY WAY
・反社会的行動
・常同的行動
・時刻表的行動
・多幸的行動
・衝撃的行動
・攻撃的行動

◆認知症の総合アセスメントの重要性
限られた時間のなかで、優先度の高い順に、効率的に

◆認知症の初期支援の重要性

家族介護者は、日常生活支援を提供するケアラーである。
・寂しい時にそばにいてくれる
・病気に気がついてくれる
・病院に連れて行ってくれる
・介護保険サービスの手続きをしてくれる
・お金を管理してくれる
・決った時間に決った分量の薬が飲めるよう手伝ってくれる
・私が好きな桜の花を見るために一緒に出掛けてくれる

したがって、家族を支えることが重要
一方で、独居認知症を家族のように社会が支える仕組みが必要

◆日常生活支援とは何か
ふるさとの会
頻度の高い日常生活支援(家族的支援)
 1、困った時、寂しい時の相談
 2、病気になったときの相談、受診予約、通院同伴
 3、制度利用についての相談、手続きの支援
 4、食事の準備
 5、居住環境の保持(掃除、ゴミだし、室温・換気)
 6、日常的な金銭管理
 7、服薬管理

◆初期集中支援チーム

◆地域包括ケアシステムにおける認知症アセスメント
(医療者でなくともできる認知症アセスメント)
DASC21 

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No.333 (在宅医療支援フォーラム)

2014-05-19 11:40:18 | 日記
昨日(5月18日)は、日本医師会館で開催された第2回在宅医療支援フォーラムに
出席して来ました。427名の参加申し込みがあり、在宅医療~地域包括ケアが地
域でホットなテーマになっていることが伺えます。

さて、このフォーラムの目的は、

「日医では,これまで在宅医療に携わる医師向けの研修会を開催してきたが,今
回のフォーラムは,地域包括ケアシステムを構築するに当たって,都道府県・郡
市区医師会に在宅医療・介護等が連携していく上での核となるリーダーを育成す
ることを目的として行われたものである.」

とあり、地域包括ケアシステムの構築へ向けて、地域の医師会も積極的に取り組
んで欲しいというのが日医の考え方です。

今回のフォーラムのプログラム

座長:日本医師会常任理事 鈴木邦彦

◆基調講演「地域包括ケアシステムの本質と展望」
 慶応義塾大学 田中 滋

◆教育講演「在宅医療におけるリハビリテーションの役割」
 昭和大学医学部リハビリテーション医学講座 教授 水間 正済

◆先進事例報告 「地域包括ケア時代 -地域医師会の役割ー」

・京都府における地域ケアへの試み
  京都府医師会副会長 北川 靖
・地域包括ケアシステムにおける福井県板井地区医師会の役割
  坂井地区医師会理事 坂井健志
・長崎市包括ケアまちんなかラウンジ
  長崎市医師会副会長 藤井 卓

今回のフォーラムの内容は、いずれ、動画で配信されるようです。

以下、田中先生の講演メモ

基調講演「地域包括ケアシステムの本質と展望」
慶応義塾大学 田中 滋

海外では、在宅医療 = 訪問看護、
これだけ多くの医師が在宅医療に参加しているのは日本だけ

地域包括ケアシステムとは
日常生活圏(生活の場)で、医療、介護などのサービスを包括的に提供すること
 生活の場=医療、介護の場
あたらしい施設やサービスを創設するという話ではない
既存のリソースをネットワーキングする、ネットワークをソフトでつなぐ
キーワードは 統合 = 理念の共有
臨床的統合、組織的統合、規範的統合
日本だけではなく、どの国もおなじような取り組みをしている

直面している課題 :健康寿命後の余命の延長 = 高齢人口の増加
波は2つある (2025-2040と2040以降)
2040年以降をどうするのかは大問題だが → 次の世代へ任せる
 (現時点では2040年までを考えている)

4つのヘルプ (カッコ内はヘルプの財源のイメージ)
・自助:基本!自助がない国は滅びる、一方で自己責任だけの市場経済を持ち込
  むと社会がぎすぎすする (私の財布)
・互助:インフォーマルな自発的な助け合い、権利 (誰かの財布)
・共助:自助の連帯制度、保険制度 (私たちの財布)
・公助:弱者保護(政府の財布)

・住まいと住まい方

・生活支援
家事支援だけではない
買い物、美容、理髪など
配食より会食

・プロフェッショナルの仕事
 +社会福祉
 日本は経済格差が大きい、貧困、権利擁護、成年後見
 +リハビリテーション
 +認知症対応
 +予防と健康管理

・追加した要素
 ケアマネジメントはケアマネじゃだけの仕事ではない
 地域マネジメント
 地域ケア会議 + 地域包括支援センター
 緩和ケア
 End of Life Care
 (安心感に支えられた) 本人・家族の選択と心構え

進化2
◇ケア論 (経営マネジメント、政策)

セルフケア、セルフマネジメント
 お世話から 自己能力の支援へ
 利用者との協働 協働により生産性向上へ
 介護職 :キャリア段位制度活用

◇地域看護
地域看護 (Social Community Nurse)機能
訪問看護・在宅医療という業務
業務としての訪問看護師 、 専門のステーションに所属しなくてもいい
業務単位と経営単位を考える、 経営単位は大きいほど効率的

◇自治体の責務
 ニーズ調査、回答がかえってこない場合は個別訪問
 →実態把握、課題分析
 介護保険統合データベースやDPCデータ解析
 基本方針の明確化と共有 = 規範的統合

□フロアからの質問
・地域包括ケアにおける地域包括支援センターの役割
1、ワンストップ相談窓口
2、地域ケア会議の主催者

・今やっている多職種連携会議を地域ケア会議にできないか
 そのような要望が多いのであれば、検討する

・地域包括ケアのエンドポイント(達成)は?
 在宅死の数、プロの介護職が食べていけるか、人口減少に歯止めがかかある 
 か、などが指標になる

・医師会の自治体に対する役割、
 医師会が行政の尻を叩いて欲しいというが、結局、医師会が手取り、足取りに
 なるのでは

・大都市の高齢者の地方移動に対する考えは?
 本人が希望しないのであれば、 あってはならない

・北海道の厳寒の地、人材がいない、どうしようもない
  特別な手当を考えて欲しい

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No.332 (脳卒中地域連携パス集計表3号)

2014-05-17 12:11:48 | 日記
脳卒中地域連携パス集計表第3号が完成しました。

今回の内容については、冒頭の「ごあいさつ」に書いておきましたが、2012年1
月1日から12月31日までに鶴岡市立荘内病院に入院した502名のデータを解析した
ものです。さらに、回復期リハビリテーション病院での入院経過における各種障
害の推移分析、また、昨年度盛岡で行われた日本クリニカルパス学会で報告した
3つの論文も掲載しました。

脳卒中地域連携パス集計表第3号

脳卒中地域連携パス集計表第2号

脳卒中地域連携パス集計表第1号

武田先生にあとがきを引用します。すばらしい文書ですので、是非、お読み下さ
い。先生のいつもながらの情熱と前向きな姿勢には感動させられます。

あとがき

鶴岡地区の、脳卒中に携わる多くの職種の方々の情熱と努力、英知と汗の結晶で
ある、「庄内南部地区、脳卒中地域連携パス集計集、第3 号」が発刊されました。
鶴岡へ来て未だ1 年しか経たないこの私に、この重い集計集の「あとがき」を書
くよう指名されることになるとは、いささか冷や汗ものであります。急性期医療
一筋、必死に脳神経外科医療を行ってきた私は、手術の世界からきっぱり足を洗
い、この1 年、回復期医療に向き直して身を献げ、急性期脳卒中に罹患した患者
さんの、その後の経過を診せて頂きました。見慣れた急性期のデータはさておき、
実はこれまではそれほど大きく関心を持って見てこなかった、回復期の経過に目
が惹かれている自分に気付き、少し患者さんを診る視野が広がったのかも知れな
いなと思いながら感慨深く見せて頂きました。

さて、本地区のパスの特徴は、1)当初からIT 化され、全データが集積されて
おり、2)この地域で発生する脳卒中を荘内病院に集中させることにより、殆ど
の症例が網羅(悉皆(しっかい)化)されており、3)さらには、急性期病院から
回復期病院、回復期病院から維持期となる診療所と患者さんの治療の流れに沿っ
たデータの連携,蓄積が図られていることでしょう。そして、その後のフォロー
アップの仕組みも用意されており、脳卒中に関しての重要な予後因子である再発
に関しての監視の目も備わっています。改めて、この地域連携パスの、作成、運
用に携わってきた様々な職種の方々に、敬意を表します。

この膨大なデータは、3 号の中にも掲載されているように、再発に関する分析、
回復期の症状経過の分析、社会生活に欠かせない車の運転再開に関する応用など
に利用されております。ただ、それぞれは未だ道半ばの分析であり、今後、これ
らの分析、応用を更に掘り下げて行くことが重要です。一方、今後このデータが
整理,集積されてくことを考えますと、将来、治療の因子をどう組み込むかも議
論に載せたいところです。

また、同じ脳卒中と言っても、脳出血、クモ膜下出血と脳梗塞、さらには心原性
脳塞栓症は、それぞれ病態、危険因子や予後因子に異なったものがあります。こ
のデータを再発や予後、病態解明に繋げようとするなら、脳卒中をひとつの疾患
として捉えるだけではなく、それぞれの疾患毎にサブクラス化した解析も必要と
なるでしょう。

何はともあれ、今のこのデータを更に解析し、このパスシステムのバージョンアッ
プに向け思いを巡らせることも、楽しみなことです。

鶴岡市立湯田川温泉リハビリテーション病院
武田 憲夫

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