去る6月26日、鶴岡市長はじめ多くの関係者のご臨席のもと、「みずばしょう」の開所10周年記念祝賀会が行われました。以下、会長挨拶を引用しておきます。
<はじめに>
介護老人保健施設「みずばしょう」の開所10周年を迎えるにあたり当たり、一言ご挨拶を申し上げます。開所から 10年、課題も少なくありませんが、「みずばしょう」は概ね順調に運営されています。これも開所から今日に至るまで献身的にご尽力・ご支援・ご協力くださいました会員をはじめ、職員、行政機関、地域住民並びに関係者の皆々様の賜物であり、心から敬意を表するとともに、感謝申し上げます。
<建設までの経緯>
さて、平成 13年に当地区医師会は、鶴岡市より湯田川温泉リハビリテーション病院の管理・運営を委託された訳ですが、その頃から当時の会長である斎藤先生はじめ執行部は湯田川温泉リハビリテーション病院退院患者の受け皿として、医師会立の介護老人保健施設の必要性を痛感していました。一方で、建設に当たっては、立地が最大の案件となっていました。結果的に「やまぶし温泉ゆぽか」の隣地という自然に恵まれた好条件の土地を取得することできましたが、これはひとえに当時の羽黒町並びに地権者の皆様より厚いご支援・ご協力によるものであり、心から感謝申しあげる次第です。
<建設にあたってのコンセプト>
建設にあたっては、①利用者本位であること ②環境に配慮すること、③地域に貢献することの3つのコンセプトに掲げました。
1)利用者本位であること、
全室個室とし利用者さんのプライバシーに配慮しました。また、ユニットケアを導入し、10人程度の少人数で、家庭的な雰囲気で生活・療養できる環境を整えました。また、老健施設は生活の場でもありますので、歯科診療や理・美容のために、鶴岡地区歯科医師会、地域の理容組合・美容室のご協力を得て、歯科診療室、理・美容室も設置し、有効に利用されています。
2)環境に配慮すること、
暖房システムにはパネルヒーターを採用し、風のない輻射熱による居心地の良い環境作りを心がけました。また、太陽光パネルを積極的に導入し、エネルギーの省力化にもとりくみました。隣の「ゆぽか」からは、温泉を分湯して頂き入浴時に利用していますが、お湯は一部床暖房や消雪にも活用されています。
3)地域に貢献すること、
地域への貢献、地域との交流は、「みずばしょう」が大事にしてきたコンセプトのひとつですが、夜警業務委託をはじめ多くの地域の皆さんに協力を頂いております。また、食事は地元業者に委託し新調理法を導入し、可能な限り地元食材を使っています。また、ボランティア活動においても、生け花、動物介在活動、手踊りなどを継続的に行ってもらい、利用者さんのリハビリの一助となっております。
「みずばしょう」といえばなんといっても夏祭りです。弁天太鼓、子供太鼓、手踊り、職員による出し物、打ち上げ花火、各種露天など盛りだくさんの内容で利用者さんのみならず地域の皆さんが心待ちにするお祭りに発展しています。特に「打ち上げ花火」は医師会員、取引業者さんからご寄付を頂き、田んぼの所有者、消防、警察など関係機関の協力の元、地元の花火師に上げてもらっていますが、全く笑わなかった利用者さんが花火をみて最高の笑顔を見せてくれたというエピソードもあるくらい参加者全員が一体感のある一夜を過ごすまでの一大イベントになりました。今後とも地域への貢献を大事にしていきたいと思っています。
<みずばしょうの役割>
超高齢社会が進んでいます。80歳以上にもなると、脳卒中、がん、認知症など、なんらかの障害を抱えた人が多くなります。このような人たちをどのように支えていくのかが地域での大きな課題です。住み慣れた自宅での生活が続けられればベストなのですが、独居、老老など介護力が低下するなか、自宅での療養の継続は困難な場合が多いのが現実です。
そこで、施設(サービス事業所)を利用することになりますが、施設には、みずばしょうのような介護老人保健施設、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、小規模多機能、グループホーム、有料老人ホーム、サービス付高齢者向け住宅など多くの種類があります。自宅、施設、病院も含め、患者さんの状況に応じて、適切に施設を選択することが、ケアマナジメントとして重要です。
これらのなかでも、みずばしょうにような老健施設は、中間施設と呼ばれ、在宅復帰のための施設であり、また、在宅での生活を支援する施設でもあります。特養はすむ所、老健はよくするところ、とも言われています。
みずばしょうでは、在宅復帰へ向けてのさまざまな取り組みを行うことで在宅復帰率30%を確保しており、地域の中で、在宅医療を支える中間施設として十分に役割を果たしているのではないかと評価しているところです。在宅復帰へ向けて尽力頂いている職員には心から敬意を表するものです。
今後とも、障害を抱えていても、最期までその人らしく、生きがいをもって生きられる地域に貢献でき施設であるよう努力していく所存です。今後ともご支援・ご協力のほどお願い申し上げ挨拶といたします。