2月14-15日、日本医師会館で日本医師会医療情報システム協議会(日医協)が行われ、副会長、事務方らと参加してきました。今年の日医協は参加者が400名を超えるという盛会で、医療情報ネットワークは、ID-LinkやHuman Bridgeの普及、医療・介護連携のニーズの高まりもあり、ホットな分野なんだな~と再認識ました。
ところで、日医協の前身に、全医協(全国医療情報システム協議会)とCOMINESという2つの医療IT系の協議会がありました。鶴岡地区医師会は、1997年に全医協で「イントラネットによる地域医療情報ネットワークの構築」という演題で報告して以来、ほぼ毎年のペースで地域でのIT化の活動を全医協や日医協で報告してきました。Net4U構築の4年前から地域の医療IT化へ取り組んできたことになります。
今の状況は、当時からみると隔世の感がありますが、さりとて地域医療の質が当時と比しどれだけ向上したのでしょうか。
むしろ、地域では、医師不足、超高齢社会などの影響もあり、医療を取り巻く環境はより深刻になりつつあるように感じます。
医療情報のIT化・ネットワーク化が、ホントに医療の質向上寄与できるのか、その評価にはまだまだ時間が必要に思います。
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日本医師会医療情報システム協議会
日時:平成27年2月14-15日
場所:日本医師会館
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プログラム
以下は、個人的メモと私見です。正確でない部分もあるかもしれません。
第1日目
Ⅰ.地域医療連携(事務局)セッション
座長/運営委員(川出委員、富田委員、牛尾委員)
WEBプレゼンテーション
1、佐渡地域医療連携ネットワーク「
さどひまわりネット」
新潟県厚生連佐渡総合病院外科部長 佐藤賢治氏
佐渡市の診療所、病院、歯科診療所、訪問看護、薬局、検査、検診機関などの情報を集約 し、地域で医療情報の共有、コミュニケーションを可能としたシステム
レセコンのデータを利用することで情報の収集率が高い
健診データも表示可能
コミュニケーションボード機能で、相互のコミュニケーションを可能とした
専門職のたこつぼ化 →すき間を埋めるシステムが必要
中規模病院での電子カルテ導入が遅れている
運営:NPO法人
運営費:参加施設からの利用料
課題:利用者の固定
キーは、コメディカルと介護
施設参加率66%、介護施設の参加率高い
2、
おきなわ津梁ネットワークの取り組み
-県民の健康をまもるための架け橋を目指して-
沖縄県医師会事務局業務2課長 平良亮 氏
目標:健康推進
おきなわ津梁ネットワークデータベース
=健診データ、検査データ、糖尿病、脳卒中、心筋硬塞のパスデータからなる
1)パスシステム(脳卒中、糖尿病、急性心筋梗塞)
2)健診・検査結果参照システム
健診データを活用した疾病予防、重症化予防
リスクがあるが医療機関に受診していない未治療者を保健指導や医療へ繋げる
参加医療機関:127 / 803施設中
登録者数:5195人
3)ORCA等との連携(レセプトデータのデータベース化)
4)ネットワークの展開
薬剤師会との連携(調剤薬局からの調剤情報等を集積)
在宅医療関係団体との連携
3、「
ゆけむり医療ネット」の現状と未来
別府市医師会事務次長 田能村祐一 氏
ゆけむり医療ネット
=医師会を中止とした地域医療・保健・福祉を連携するネットワーク
human bridgeを利用
あじさいネットを参考に構築
診療録(所見)の開示はない
検査データ、学童健診データとも連携
介護との連携:Human Bridge在宅SNS)
処方箋の電子化の実証実験を実施 まだ課題が多い
公的個人認証実証事業に参画
4、シームレスな医療・介護統合の実現に向けて
~NPO法人「
道南地域医療連携協議会(道南MedIka)」~
高橋病院理事長 高橋肇 氏
道南MedIkaの経緯
ID-Linkの紹介
情報を共有することでお互いが責任を持ちあえる
担当者会議でタブレット端末で情報を共有
年2回、研修会
急性期(開示病院)ではサマリが期待される
ほかの病院のカルテが目の前にある
生活不活発病の早期発見・早期対応
地域の質をあげる
地域での指標: ADL,IADL
ICFステージング R4システム
ADLの変化を地域で見守る
ぱるな(Personal Network)
個人情報の保護:アクセス権の制御と職員のリテラシーが重要
生涯カルテの構築(電子カルテ、介護ソフト、連携ネットワークによる)
そのために、システムの標準化と相互の信頼関係が重要
◇パネルディスカッション
【地域医療連携のスペシャリストによるパネルディスカッション】
1.「連携の地域的範囲」について
ID-LinkやHuman Bridgeを利用した全県的な、あるいは医療圏を超えたなネットワークが広まりつつある。
地域に限定したNet4Uも、ID-Linkを利用して2次医療圏にネットーワークが拡大した。
2.「連携のためのデータ形式の統一」
SS-MIX(2)というデータ共有基盤がが標準化しつつある。
今後は、すべての電子カルテシステムが装備すべき機能ではないか。
3.「地域医療連携は何を連携するか」
何を連携すべきかは、連携する相手や患者さんを中心に考えるべきこと。
一方で、病院は何を開示すべきかに関しては、診療所医師は診療録(医師の記載)の開示を望んでいるが、多くの病院が開示していないという齟齬がある。
4.「日医認証局の利用」
認証局の役割として、個人認証と電子署名があるが、個人(ネットワーク)認証については今の医療現場での必要性は低い。
一方で、電子署名は情報提供書などの書類の電子保存を可能する。今後の普及が望まれる。
5.「運用資金の問題」
ほとんどの地域が、医療再生基金や補助金を利用して開発。
運用費の負担はさまざまであるが、継続的な運用には課題も多い。
パネリスト
・登米祐也(宮城県医師会常任理事:MMWIN)
・石川広己(日医常任理事)
・牟田幹久(長崎県医師会常任理事:あじさいネット)
・小竹原良雄(松江市医師会理事:まめネット)
・三原一郎(鶴岡地区医師会長:Net4U)
・佐藤賢治(佐渡総合病院外科部長:さどひまわりネット)
・安里哲好(沖縄県医師会副会長:おきなわ津梁ネットワーク)
・比嘉靖(沖縄県医師会理事:おきなわ津梁ネットワーク)
・平良亮(沖縄県医師会事務局業務2課長:おきなわ津梁ネットワーク)
・矢田公裕(別府市医師会監事:ゆけむりネット)
・田能村祐一(別府市医師会事務次長:ゆけむりネット)
・高橋肇(高橋病院理事長:道南MedIka)
懇親会後、チーム鶴岡で二次会!