鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.480(鶴岡三師会)

2015-02-28 15:41:09 | 日記


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鶴岡地区三師会
平成27年㋁27日 19:00~
グランドエル・サン ローズルーム
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参加:44名


1、開会あいさつ
  鶴岡地区薬剤師会 小池 正純

休日夜間診療所運営委員会の報告で、200人近いインフルエンザ患者に対応した、
荘内病院の救急患者が減っているという報告があった、これは連携によるもの。
また、先日の庄内プロジェクトのスキルアップ研修会で、湯田川温泉リハ病院での口腔ケアで食べられるようになったり、話す様になった、うつ患者が明るくなったという話があった、これも連携のおかげである。
今後は介護との連携が必要だが、三師会が核になるべきである。
今日は、病院におる薬薬連携の話をしてもらうことになっている


2、プレゼンテーション
  「薬薬連携推進のために必要な病院薬剤師の役割」
  荘内病院 薬局 阿部和人

医療用麻薬における薬薬連携について

荘内病院の薬剤師数:19名、助手:11名

MSコンチンによる腎機能悪化という事故があった
その経験から、院内院外に関わらずオピオイド初回導入時に病院で指導すること
とした。また、指導内容は院外薬局にも周知した
指導内容:効果、副作用、副作用のチェック法などを含むくすり全般におよぶ
指導は医師からの指導依頼書で開始される
患者説明用資料を作成した、
過去約5年間で105名の患者に対応した(医師からのニーズが高い)

院外薬局への聞き取り調査を行った
 11調剤薬局のうち8薬局から回答を得た
 多くの意見、要望があり、薬薬連携に進捗がみられた

まとめ
 たくさんの情報を説明する必要があるため、患者の理解を確かめながらの丁寧
 な説明が重要
 薬剤師が、医師と患者の間でクッション的な役割を担っている
 聴きやすい環境と関係性が大切


懇親会




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No.477(超高齢社会における医療情報ネットワーク~病院への期待~)

2015-02-27 10:19:30 | 日記
新医療2015年3月号、総特集「IT連携ー病院が知るべき開業医の声」に寄稿した文書です。

ITによる地域連携が進まない要因のひとつとして、病院側と開業医側の参加要件に齟齬があるのではないか、というのが本特集の趣旨です。

当地区は、Net4Uを運用して15年、ITによる地域連携の先進地区と自負していますが、診療と病院とのIT連携については、ほとんど進んでいないというのが現実です。そもそも、診療と病院の間でITを使って情報のやりとりは極一部の医師が限られるという現状の中で、「病院が知るべき開業医の声」を書いてくれと言われても、医療の分野ではITって、まだまだその段階にはなんだけど~と思ったりはするのですが、折角の機会を与えてもらったわけなので、将来への期待を込めて書いたものです。

一方で、各地区のIT連携のトップランナーの人たちは、どうんなことを病院へ期待しているのか、今回の特集を楽しみにしていたのですが、多くは各地域の医療情報ネットワークの現状報告が主で「病院が知るべき開業医の声」が述べられていないのは少々残念ではありました。



超高齢社会における医療情報ネットワーク


特集全文

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ORCAとNet4U連動システム

2015-02-26 16:18:30 | 日記
Net4Uユーザーから、当医師会のMLに以下の書き込みがありました。

今年度開発された レセコンソフトORCA と Net4U の連動システムを使わせていただいてしばらくたちました。 当初は多少の不具合もあって何度か手直しをしてもらったのですが、そろそろ安定してきたので、このシステムによって変わったこと、特にNet4Uの登録~入力作業がいかに変化したかについて、皆様に報告したいと思います。

現在 ORCAとNet4Uを使っているけれど、まだつないでいない先生はもちろんですが、ORCAは使っているがNet4Uはまだという先生も、どちらもまだという先生も参考にしていただければと思います。

例えば新患患者の場合

1. 事務方(受付)がORCAに患者基本情報を登録し、発生した医療行為を入力して診療報酬を算定し、患者さんと保険者に請求する。

2. a.(当院の場合)看護師は別のPCで、改めて患者基本情報をNet4Uに手入力で登録し

  b.処方内容をカルテ(当院では紙カルテ)からNet4Uに手入力で転記し

  c.必要に応じて病名を登録する(実際はほとんどしていなかった)

......

以上が従来の作業でした。それが、ORCAとNet4Uがリンクしたことで2.のa.b.c.の作業がすべて不要となりました。看護師の仕事はNet4Uの画面にORCA情報を呼び出してダウンロードするだけ。これまでは手が回らなかった

病名登録作業も、作業と呼べるほどの手間もなくできるようになりました。

うちのナースがNet4Uにかけていた手間が、どれだけ簡素化されたかお分かりですね。もしこれらの作業をご自身で行っておられた先生方にとっては、この福音は直接先生ご自身にもたらされることになります。

面白そうだな、使ってみようかなと思われましたら、医師会の地域医療連携室にお電話を。

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ORCA(日レセ)とNet4Uの連動システムの運用報告、ありがとうございます。

ORCA(日レセ)とNet4Uの連動システムについては、医師会長だよりNo.360で報告しておりますが、厚労省の「ICTを活用した地域医療ネットワーク事業」を受託し、ストロハット社が開発したものです。この度、厚労省で事業内容を報告予定です。

厚労省説明用資料

当院でもORCAを導入していますが、当院通院中の患者はほとんどが、すでにNet4Uに登録されているため、今回のシステムの恩恵はほとんどありません。しかし、当院は特殊なケースなので、土田先生のような一般的な運用では、面倒なカルテの”頭書き”部分が自動化されるので、かなり事務作業の効率化につながるようですでね。ORCAを導入している医療機関は積極的にシステムの導入を考えてみてはいかがでしょうか。

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No.475(在宅で”食べる”をささえるということ)

2015-02-23 15:24:46 | 日記


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在宅医療を考える会 講演会 
「在宅で”食べる”をささえるということ」
日本歯科大学教授 口腔リハビリテーション多摩クリニック 
院長 菊谷 武 先生

2月22日(日曜)13:30-16:30
慶応大学生命先端研 レクチャーホール
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配布資料


在宅医療を考える会は、庄内プロジェクトの地域連携WGに属し、在宅医療を担う医師を中心とした会で、年に3-4回のペースで研修会や勉強会などを行っています。今回は、在宅医療を担う医師、看護師、介護スタッフなどにとって必須の知識である「食べる」をテーマに、この分野では第一人者の口腔リハビリテーション多摩クリニック院長の菊谷 武先生をお呼びして、勉強会を開催しました。

菊谷先生の講演は、過去2回聴いたことがありますが、内容もさることながら、聴き手を飽きさせない、笑いをとれるという意味でも、大変参考になります。

まず、冒頭である医師会で講演したときの話がありました。その地域では、年間350の死亡例のうち、250人は医療機関で亡くなっていたが、100例は検死事例だったとのこと。すわなち、医療が介入しないままに亡くなっている例が1/3程度あるという衝撃的な数字だったとのことでした。そのような背景を踏まえ、「在宅医療は、医師としてのモラル」(医師は最期まで責任をもって診なければいけない)と、その医師会長は語っていたとのことです。

さて、高齢者では、食欲の低下や食べる機能(噛む力、飲み込む力)の低下などにより、十分な栄養を摂取できなくなり、低栄養から、体重減少、筋力の低下、骨折、認知機能の低下、病気になりやすい、歩けない、寝たきりなどの症状を引き起こします。

そこで、注目されているのが介護食(最近はスマイルケア食と呼ぶそうです)です。低栄養予防にもつながる豊富な栄養素はもちろん普通の料理と変わらない見栄え食べやすさ、そしておいしさを備えた介護食が注目されています。

スマイルケア食については以下のビデオをご覧下さい。
今回の演者である菊谷先生がゲストとして出演し、コメントを述べています。

徳光・木佐の知りたいニッポン!
~食べる喜びと笑顔を!新しい介護食品 スマイルケア食

http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg10939.html?nt=1

摂食・嚥下は、以下の複雑かつ精緻な運動で行われています。

・すりつぶす力(咀嚼)
・押しつぶす力(広義の咀嚼)
・まとめる力(食塊形成)
・送り込む力(口腔咽頭移送)
・飲む力(嚥下)

どの部分の障害かによって食形態が決まります。

一方で、「できること」と「していること」には開離が多いのが現実です。
例えば、食べる機能は残存しているのに食べることに全く興味がないため食べない人もいます。すなわち、心理的要素や患者自身の価値観に左右されることもあるのです。

認知機能が低下すると以下のような現象がしばしばみられます。
右欄のような対応を試みます。

 食事がはじめられない → 行動提示
 口を開かない → 感覚刺激の導入
 一皿づつ食べる。食べ物を無視する → 促し
 食事に集中できない → 環境の整備
 食べるのが速い → 食形態の変更、介助導入
 口の中にため込む → 感覚刺激の導入、姿勢の調整
 食事中にうとうとする → 食事時間の検討、低栄養防止

こんな事例があったそうです。

特養入所中の90歳の食べなくなったルツハイマー患者。胃ろうをしないとあと1-2週間と施設から言われた。1-2週間程度なら自宅で看取ろうを連れ帰ったら食べ始め、6か月以上経つが今も存命。介護する側の家族はあてが外れたと(笑)。

食べる機能を改善することは難しく、食べることを支える環境を整備していくことが重要です。そのためには、適切な食形態の選択や、食べ方の指導、上手なスマイルケア食の選択などの工夫が大事になります。

まとめ

・「食べる」ことは介護に力を与える
・患者を取り巻く環境に目標や予後が左右される 新しい環境を作っていく努力
・地域における嚥下医療はシステム論である
 医学が進んでいないのではなく、システムが進んでいない 
 多職種連携が必要だが、その構築には苦労も多い
 川上(病院) から 川下(在宅)まで切れ目なくつながる必要性
・「できる」 より 「している」 を目指す (本人ではなく周りを変える)
・普遍性よりも個別性、物語を志向する。

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No.471(口腔ケアに関する講演会)

2015-02-19 17:22:34 | 日記
前のメールでも書きましたが、「口腔ケア」は在宅医療を担う医師にとって必須
の知識です。

例えば、

“毎日朝晩歯を磨く”、“口の中を清潔に保つ”こうした基本的な口のケアが、
糖尿病、腎臓病、心筋梗塞、さらには認知症など全身の疾病に深く関係している
ことが、最新の研究で明らかになってきました。

また、ガンなどの手術の前後に口腔ケアを行うと、副作用や合併症を減らし入院
日数も短縮、医療費抑制の効果が大きいこともわかってきました。

さらに、要介護の高齢者に口腔ケアを継続して行うと、“食べる機能”を回復で
き、栄養状態が改善することで起き上がれるようになった、認知機能が上がった
という報告も相次ぎ、口腔ケアは、健康長寿を伸ばす鍵として注目を集めていま
ます。

しかし、病院と歯科医との連携が進まない、在宅の高齢者の訪問診療が広がらな
いなど、課題は山積しています。継続的に口腔ケアを実践し、健康寿命を延ばす
体制をどうつくるか、今後の大きな課題です。

そこで、在宅医療を考える会では、口腔ケアで高名な日本歯科大学教授 口腔リ
ハビリテーション多摩クリニック院長 菊谷 武先生をお招きした、講演会を2月
22日に予定しています。この機会に、是非、口腔ケアの最新の知見を学んでみま
せんか。

多くの会員の参加をお待ちします。

日 時:平成27年2月22日(日)13:30~16:30
場 所:鶴岡市先端研究産業支援センター(鶴岡メタボロームキャンパス)
   レクチャーホール


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平成 26 年度 第 3 回 南庄内在宅医療を考える会開催のご案内
南庄内在宅医療を考える会
世話人:石橋学、土田兼史、中村秀幸、三原一郎

今年度3回目の「南庄内在宅医療を考える会」のご案内を差し上げます。

当地域においても、特に高齢者在宅医療においては不可欠な「口腔ケア」を含む
摂食・嚥下に関する知識がまだまだ十分ではなく、それらについて学ぶ場もだい
ぶ増えては来ているものの、もっと知識が必要とのニーズがあります。そのよう
な背景もあり、この分野においてご活躍中の日本歯科大学教授 口腔リハビリテー
ション多摩クリニック院長 菊谷 武先生をお招きしご講演を賜ることとしました。

テーマ 「在宅で“食べる”をささえるということ」

菊谷先生は以前にも歯科医師会でお招きしたこともあり、その際の講演内容は、
“目から鱗”のわくわくするものでした。今回は、歯科口腔ケアの重要性を多く
の方々に知っていただくために、医師、歯科医師をはじめとする医療職のみなら
ず、介護職など多職種を対象とする研修会形式の企画としました。
ぜひ、多くの皆様の参加をお待ちいたします。



日 時:平成27年2月22日(日)13:30~16:30

場 所:鶴岡市先端研究産業支援センター(鶴岡メタボロームキャンパス)
レクチャーホール(住所:鶴岡市覚岸寺字水上246-2 TEL:0235-29-1620)

対 象:医療、介護、福祉従事者、その他興味のある方どなたでも

主催 南庄内在宅医療を考える会
共催 鶴岡地区医師会 地域医療連携室ほたる.
庄内プロジェクト ,地域連携ワーキンググループ,鶴岡市(予定)

菊谷先生が出演したクローズアップ現代
長寿の鍵は「口」あり ~口腔ケア最前線~


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No.470(庄内プロジェクト スキルアップ研修会)

2015-02-19 09:27:57 | 日記
昨晩(2月18日)は、庄内プロジェクトの医療者教育WGの活動の一環として年4回行われているスキルアップ研修会の最終回でした。

 *庄内プロジェクト
   南庄内緩和ケア推進協議会が取り組む鶴岡・三川地区の緩和ケア普及のためのプロジェクト


今回は、介護支援専門員を対象とした「他職種連携への意識」に関するアンケート調査の報告があり、次いで、湯田川温泉リハビリテーション病院における口腔ケアの取り組みについての講演がありました。


湯田川温泉リハビリテーション病院が取り組んだ口腔ケアは、まずは、患者に関わるスタッフ全員が口腔ケアを実習を通して学び、次いで観察と評価を行うためのアセスメントシートを作成し、全での患者さんを対象に口腔アセスメント~ケアを行い、さらには週1回の口腔ケアラウンドで評価するというもので、まさにPDCAサイクルの実践でもありました。

臨床研究としては、100名の患者さんを4か月フォローしたところ、すべての観察項目(口腔乾燥、出血・腫張、歯石・プラーク、分泌物付着、舌苔、口臭)で右肩下がりで(やればやるほど)改善がみられたとのことでした。また、口腔ケアの導入で、ほとんど話をしなかった患者さんがコミュニケーションができるようになった、表情が明るくなった、食べなかった人が摂取可能となったなど、大きな成果がみられたとのことでした。

このような取り組みは、病棟一丸とならなければ実現できません。可能としたのは、多分、演者の熱意とリーダーシップが大きかったのではないかと思っていますが、院長をはじめ病院全体の高い志も、このような取り組みを実現できた要因だったのだろうと感じました。また、阿部先生をはじめ歯科の先生や歯科衛生士の皆さんの熱心な指導も励みになったのだと思います。

口腔ケア、恐るべし!と感じた講演でした。今後は、口腔ケアを病院全体、地域全体に当たり前のこととして普及していかなければなりません。今回の湯田川温泉リハビリテーション病院の取り組みがその契機、また原動力になることを期待したいと思います。

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庄内プロジェクト スキルアップ研修会
平成27年2月18日 18:30~
荘内病院 講堂
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配布資料

以下、講演メモ。

患者さんの笑顔に繋げる口腔ケア
湯田川温泉リハ病院 看護師 斎藤 千鶴 氏

病棟における口腔ケアの取り組み
口腔ケアが患者さんの笑顔へ繋がった

湯田川温泉リハ病院の紹介
 入院患者の80歳以上が60%以上
病棟独自の口腔ケアシステム
病棟全職員へのアンケートで口腔ケアできていない:62%
理由:
 時間がない、
 あきらかな異常以外、分からない
 拒否する患者がいる
 口腔ケアに対する意識が低い
対策
 1)実習を含む研修会
 2)アセスメントシート
 3)口腔ケアラウンドによる評価
高齢者の特徴
 1)唾液の減少 乾燥
 2)十分に磨けない
 3)咀嚼・嚥下機能低下
アセスメントシートにおける観察項目
 口腔内乾燥
 出血・腫張
 歯石・プラーク
 分泌物付着
 舌苔
 口臭
介護レベルによるケア
 全介助レベル
  セミファーラー位、必要なら吸入を行いながらブラッシング、洗滌吸引、保湿剤塗布
 一部介助レベル
  セルフケア、磨き残しの確認、あれば再ブラッシング、義歯はブラッシングのみ、就寝以外は義歯装着
 自立レベル
  グループで研修会、口の働き、細菌と誤嚥性肺炎、嚥下体操、ブラッシング指導
困難事例の紹介

口腔ケアラウンド
 週2回、ケアプランの再検討
 伝達ノートで共有

データ解析
 入院患者:100名
 すべての項目で右肩下がりで改善

症例1
 ほとんど傾眠 → 話せるようになった

症例2
 開口しない 信頼関係を築くことで改善、経口摂取可能となった

症例3
 精神疾患あり、3食胃ろう注入、口腔ケアの実施で食べることが可能になった

取り組み2か月後、アンケート「口腔ケアできているか?」 86%が出来ていると答えた。

個別ケアプランを立案し適切なケアを行う。
口腔ケアは、口腔の清潔のみならず以下の効果があった=QOLの向上
 生活にメリハリができ、生活リズムを獲得できた
 味覚がはっきりし、美味しいと喜んで食べるようになった
 痰などの分泌物が減少することで吸引回数が減った


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No.469(日本医師会医療情報システム協議会)

2015-02-16 10:03:08 | 日記
2月14-15日、日本医師会館で日本医師会医療情報システム協議会(日医協)が行われ、副会長、事務方らと参加してきました。今年の日医協は参加者が400名を超えるという盛会で、医療情報ネットワークは、ID-LinkやHuman Bridgeの普及、医療・介護連携のニーズの高まりもあり、ホットな分野なんだな~と再認識ました。

ところで、日医協の前身に、全医協(全国医療情報システム協議会)とCOMINESという2つの医療IT系の協議会がありました。鶴岡地区医師会は、1997年に全医協で「イントラネットによる地域医療情報ネットワークの構築」という演題で報告して以来、ほぼ毎年のペースで地域でのIT化の活動を全医協や日医協で報告してきました。Net4U構築の4年前から地域の医療IT化へ取り組んできたことになります。

今の状況は、当時からみると隔世の感がありますが、さりとて地域医療の質が当時と比しどれだけ向上したのでしょうか。
むしろ、地域では、医師不足、超高齢社会などの影響もあり、医療を取り巻く環境はより深刻になりつつあるように感じます。
医療情報のIT化・ネットワーク化が、ホントに医療の質向上寄与できるのか、その評価にはまだまだ時間が必要に思います。


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日本医師会医療情報システム協議会
日時:平成27年2月14-15日
場所:日本医師会館
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プログラム

以下は、個人的メモと私見です。正確でない部分もあるかもしれません。

第1日目

Ⅰ.地域医療連携(事務局)セッション
座長/運営委員(川出委員、富田委員、牛尾委員)

WEBプレゼンテーション

1、佐渡地域医療連携ネットワーク「さどひまわりネット
  新潟県厚生連佐渡総合病院外科部長 佐藤賢治氏

 佐渡市の診療所、病院、歯科診療所、訪問看護、薬局、検査、検診機関などの情報を集約 し、地域で医療情報の共有、コミュニケーションを可能としたシステム
 レセコンのデータを利用することで情報の収集率が高い
 健診データも表示可能
 コミュニケーションボード機能で、相互のコミュニケーションを可能とした
 専門職のたこつぼ化 →すき間を埋めるシステムが必要
 中規模病院での電子カルテ導入が遅れている
 運営:NPO法人
 運営費:参加施設からの利用料
 課題:利用者の固定
 キーは、コメディカルと介護
 施設参加率66%、介護施設の参加率高い

2、おきなわ津梁ネットワークの取り組み
  -県民の健康をまもるための架け橋を目指して-
  沖縄県医師会事務局業務2課長 平良亮 氏
 
  目標:健康推進
  おきなわ津梁ネットワークデータベース
   =健診データ、検査データ、糖尿病、脳卒中、心筋硬塞のパスデータからなる
 1)パスシステム(脳卒中、糖尿病、急性心筋梗塞) 
 2)健診・検査結果参照システム
   健診データを活用した疾病予防、重症化予防 
   リスクがあるが医療機関に受診していない未治療者を保健指導や医療へ繋げる
   参加医療機関:127 / 803施設中
   登録者数:5195人
 3)ORCA等との連携(レセプトデータのデータベース化)
 4)ネットワークの展開
   薬剤師会との連携(調剤薬局からの調剤情報等を集積)
   在宅医療関係団体との連携
 
3、「ゆけむり医療ネット」の現状と未来
  別府市医師会事務次長 田能村祐一 氏

  ゆけむり医療ネット
   =医師会を中止とした地域医療・保健・福祉を連携するネットワーク
  human bridgeを利用
  あじさいネットを参考に構築
  診療録(所見)の開示はない
  検査データ、学童健診データとも連携
  介護との連携:Human Bridge在宅SNS)
  処方箋の電子化の実証実験を実施 まだ課題が多い
  公的個人認証実証事業に参画

4、シームレスな医療・介護統合の実現に向けて
   ~NPO法人「道南地域医療連携協議会(道南MedIka)」~
  高橋病院理事長 高橋肇 氏

  道南MedIkaの経緯
  ID-Linkの紹介
  情報を共有することでお互いが責任を持ちあえる
  担当者会議でタブレット端末で情報を共有
  年2回、研修会
  急性期(開示病院)ではサマリが期待される
  ほかの病院のカルテが目の前にある

  生活不活発病の早期発見・早期対応
  地域の質をあげる
  地域での指標: ADL,IADL
  ICFステージング R4システム
  ADLの変化を地域で見守る
  ぱるな(Personal Network)
  個人情報の保護:アクセス権の制御と職員のリテラシーが重要
  生涯カルテの構築(電子カルテ、介護ソフト、連携ネットワークによる)
   そのために、システムの標準化と相互の信頼関係が重要


◇パネルディスカッション

【地域医療連携のスペシャリストによるパネルディスカッション】

1.「連携の地域的範囲」について

ID-LinkやHuman Bridgeを利用した全県的な、あるいは医療圏を超えたなネットワークが広まりつつある。
地域に限定したNet4Uも、ID-Linkを利用して2次医療圏にネットーワークが拡大した。 

2.「連携のためのデータ形式の統一」

SS-MIX(2)というデータ共有基盤がが標準化しつつある。
今後は、すべての電子カルテシステムが装備すべき機能ではないか。

3.「地域医療連携は何を連携するか」

何を連携すべきかは、連携する相手や患者さんを中心に考えるべきこと。
一方で、病院は何を開示すべきかに関しては、診療所医師は診療録(医師の記載)の開示を望んでいるが、多くの病院が開示していないという齟齬がある。

4.「日医認証局の利用」

認証局の役割として、個人認証と電子署名があるが、個人(ネットワーク)認証については今の医療現場での必要性は低い。
一方で、電子署名は情報提供書などの書類の電子保存を可能する。今後の普及が望まれる。

5.「運用資金の問題」

ほとんどの地域が、医療再生基金や補助金を利用して開発。
運用費の負担はさまざまであるが、継続的な運用には課題も多い。

パネリスト
・登米祐也(宮城県医師会常任理事:MMWIN)
・石川広己(日医常任理事)
・牟田幹久(長崎県医師会常任理事:あじさいネット)
・小竹原良雄(松江市医師会理事:まめネット)
・三原一郎(鶴岡地区医師会長:Net4U)
・佐藤賢治(佐渡総合病院外科部長:さどひまわりネット)
・安里哲好(沖縄県医師会副会長:おきなわ津梁ネットワーク)
・比嘉靖(沖縄県医師会理事:おきなわ津梁ネットワーク)
・平良亮(沖縄県医師会事務局業務2課長:おきなわ津梁ネットワーク)
・矢田公裕(別府市医師会監事:ゆけむりネット)
・田能村祐一(別府市医師会事務次長:ゆけむりネット)
・高橋肇(高橋病院理事長:道南MedIka)

懇親会後、チーム鶴岡で二次会!

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No.468(認知症対策検討委員会)

2015-02-13 11:08:20 | 日記
認知症対策検討委員会
平成27年2月12日 19:00~
医師会2F会議室



◆鶴岡市 認知症ケアパスガイドブック(案)

 地域包括ケアセンターに相談にみえた人を対象に配布予定
 
徘徊SOSネットワーク構築検討委員会

 平成27年2月9日、鶴岡警察署を中心に委員会を開催
 徘徊のリスクのある人を対象に事前登録
 地域包括支援センターが申請の支援
 徘徊捜索事業所:町内会、民生児童委員、コンビニ、ハイヤー、ホテル、新聞社、
 介護サービス事業所、ガソリンスタンドなどを想定
 7月を目途に運用開始予定
 27年度は、25名の登録を見込む

 なお、26年度は警察に32名の捜索願いがあり、3名:死亡、2名:未発見、

Q、目標は25名とのことだが、徘徊はいつ始まるか分からない。登録は多い方が良いのではないか?
Q、捜索の届け出があった後に、家族に捜索事業所などに情報を提供して良いか問い合わせるとのことだが、情報を提供することを前提とした事前登録の方が良いのではないか。


認知症関係業務取り組み内容および年次計画

1、認知症家族支援事業

 認知症を理解する教室 年6回 (中目先生、丸谷先生)
 認知症の人と家族のつどい 年12回 第4木曜(10:00~12:00)
 徘徊登録・SOSネットワーク事業 登録25名見込
 認知症ケアパスガイドブックの活用
 認知症高齢者見守りサービス事業

2、認知症地域支援推進員の設置 1名、

3、初期集中支援事業
 
 対象:
  医療・介護サービスを受けていない人
  受けているがBPSDなどで対応に苦慮している人
 
 チームメンバー
  認知症サポート医:2名
  専門職8名(地域包括支援センター、長寿介護課保健師、鶴岡病院2名)
 
 初期集中支援チームを立ち上げ 初年度は20名への介入を見込む、
 
4、認知症ケア対応力向上事業
 専門職対応力向上研修会(対象:医師、医療従事者、介護職) 3回
 キャラバンメイト(183人)の組織化
 認知症サポータの育成拡大 目標:サポーター養成研修受講者数 8000人
 認知症予防手帳(多職種間の情報共有ノート)ケアパスガイドブックと併用?
  イメージは、患者用パス、私の健康ノート、オレンジノート

5、もの忘れ相談医登録事業
   もの忘れ相談医支援体制整備 支援体制(情報提供)のあり方を検討

6、認知症連絡せんの発行 申込み件数 30件を目標


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パス協議会 全体会

2015-02-12 11:08:43 | 日記


当地のパス協議会では、毎月全体会を開催し、10年近くになります。

今回は初の試みとしてグループワーク形式の事例検討を行ってみました。事例は、脳梗塞の再発を繰り返し、在宅療養中、大腿骨近位部を骨折してしまった80歳の患者さん。

骨折を防げなかったのか?、安全な在宅生活をおくるために、どのようにしたらよいのでしょかとの問いかけに、さまざな職種から多岐に渡る意見が出ました。

意識喪失発作だったのとこで、脱水への対応十分だったのか?  
(夏のできごと:脱水対策としてのエアコンの利用は?、水の摂取の具体的な指導は十分だったのか?)
訪問リハビリを導入し、自宅で生活状況を確認すべきでは
朝の覚醒の低い時期に、ヘルパーを導入しては?
転倒に備えヒッププロテクターやマット、床センサーの利用は
睡眠導入剤を服用しているが、調整が必要なのでは?
家族に対してのトイレ誘導の指導などより具体的な見守り指導が必要では
マニュアルの整備しては
試験外泊をすべきだったのではないか
血圧コントロールはどうだったのか
健康ノートを活用すべきでは
より安全なポータブルトイレの選択と設置場所
アセスメントは十分ではなかったのではないか?

など、考えるべきこと、やれることは一杯あるんだなと、改めてチームで関わることの重要性に気づかされました。

事例の患者さん、パスに登録されているので、発症前、急性期・回復期退院時、あらに維持期でのADLの推移がレトロスペクティブに評価できるのですが、実はBIが退院後10以上下がっていたのです。パスデータをより有効に現場にフィードバックできり仕組みづくりも課題になりました。

参加職種

作業・理学療法士・言語聴覚士:25
看護師:17
ケアマネ:12
医師:4
保健師:2
MSW:1


丸谷先生の最後のまとめ

・再発・重症化予防は、地域でチームを組まなれば絶対できない
・目標を「暮らす」を軸に急性期・回復期のスタッフの意識をパラダイムシフト
 していく
・介護が医療を知る以上に、医療が介護を理解しないといけない
・患者の視点に立って、医療と介護の融合をすることが地域連携の最終的な目標

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山形新聞に紹介されました

2015-02-12 11:06:37 | 日記
山形新聞に、当地区で運用している地域連携パスが紹介されました。
上手にまとめてもらいました。
ご一読頂ければ、幸いです。

山形新聞記事


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