感動と興奮で眠れぬ夜を過ごした。6月10日、横浜F・マリノスが後半ロスタイムの劇的2発で柏レイソルに4-3で大逆転勝ちした。決勝ゴールは大けがから復帰したFW宮市亮。現地観戦では03年に久保竜彦のゴールで完全優勝を決めた雨のジュビロ磐田戦以来の感激を味わった。帰宅後に鍋をつつきながらDAZNでもう一度フル観戦。2ゴールを決めた得点王FWアンデルソン・ロペスが言う「優勝するチームの勝ち方」を堪能した。
第17節柏レイソル戦
柏ゴール裏
6月7日は横浜と柏に所属した柳想鐵さんの命日
この背番号8は喜田ではなく柳想鐵さんだった
前半は横浜がアンデルソン・ロペスとエウベルのゴールで2-1とリードして折り返したが、後半開始早々にこぼれ球をMF戸嶋祥郎に押し込まれて追いつかれ、同28分には交代出場の193センチ長身FWフロートに頭で流し込まれてまさかの勝ち越しを許した。残りは20分ぐらいか。今季初めて日産スタジアムで黒星を喫するのか。時計の針は無情に進んでいく。
流れが変わったのは同41分。宮市の抜け出しを手を使って倒したDF立田悠悟にイエローカード。さらにレッドカードが出された。あれ、1枚目じゃね? 一発レッド? そこまでじゃないと思うけど。後で見たDAZN(西岡明彦アナ、解説中田浩二)も「一発レッドのようです」。しかし、映像をよく見るとファウルの後に立田がボールを蹴り出し、遅延行為で2枚目が出ていた(と、翌日の新聞報道で知る)。観戦中はそんなことは分からない。とにかく相手に退場者が出たことだけは明白だ。チャンスが出てきたと一気に盛り上がる。
ロスタイムは7分。そう、本田圭佑も驚く「ななふぅん!?」。時間はまだあるぞ。だがボールをキープし攻め込みながらも得点は奪えない。じりじりした時間が過ぎたが、ようやくロスタイム3分過ぎ、FW水沼宏太のダイレクトクロスにアンデルソン・ロペスが頭を合わせ、3試合連続13得点目を決めてついに同点に追いついた。
だが喜びもつかの間。同5分過ぎ、自陣右サイドのルーズボールをGK一森純がサイドライン付近まで大きく出てクリアしたボールが相手に渡り、センターサークル内からMF高嶺朋樹に無人のゴールに向かってミドルシュートを放たれる。あ〜万事休す。負けを覚悟した。ところが、ボールは乾いた音を立ててクロスバーを直撃。ふわりと上がり、落ちてきたところを一森がキャッチした。この試合2つ目の枠によるセーブだ。よっしゃ! まだ勝利の女神に見放されてないぞ。
そして迎えた試合終了間際の同6分過ぎに歓喜が訪れる。FWマルコス・ジュニオールのマイナスのパスをエリア内で受けた宮市が1トラップから右足を振り抜くと、ボールは相手DF2人に当たって方向が変わり、ゴール右スミへ向かってゆっくりとスローモーションのように転がっていく。「入れ!」。その祈りは通じ、ボールはサイドネットを軽くだが確実に揺らした。「魂が乗ってくれてゴールに入った」と宮市も言う。逆転だ! 2万人超を飲み込んだスタンドは興奮のるつぼとなり、選手と一体になって雄叫びを上げ、大拍手がスタジアムを包み込む。それに水を指す「ゴール確認中」。おいおい、どこで? 大型画面の映像では永戸勝也が細谷真大を倒したシーンが映し出されたが、どの時点かは不明(後で確認すると得点の起点付近だった)。しばらくいやな間があったが、結局ノーファウルで得点は認められ、横浜が勝利し4連勝。ナイトゲームでヴィッセル神戸が敗れたため首位に浮上した。
決勝ゴールは宮市
勝ったぞ
宮市のインタビュー
宮市はインタビューで感極まり「こういう景色を待っていた。勝ちを分かち合えて本当に良かった」と涙をぐっとこらえながら喜びを表した。「チームの総合力を最後の最後まで見せられた。諦めなければ何か変わるというものを感じ取ってもらえれば嬉しい」。その言葉通り、宮市自身も2度の左膝前十字じん帯断裂などのケガが続き引退勧告も受けたが、22年7月に10年ぶりに日本代表に選出。直後の韓国戦で今度は左膝前十字じん帯断裂し再び絶望の淵に立たされたが、諦めずにリハビリをこなし、5月のルヴァン杯札幌戦で10カ月ぶりの復帰を果たしていた。
これで今季日産スタジアムは6勝1分け。ニッパツも1分けで、ホーム不敗神話は続く。
ところで柏の10番マテウス・サヴィオは巧かったね。右足アウトのクロスでエドゥアルドのオウンゴールを誘い、2点目も左足クロスを一森がこぼし、それを押し込まれたものだった。元ファジアーノ岡山のDF片山瑛一も良かった。前半に決定的なクロスを送り、一時勝ち越しとなったフロートのゴールを右足のピンポイントクロスでアシストした。
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