お父さんのマリポタ日記。
マリノスのこと、ポタリングのこと。最近忘れっぽくなってきたので、書いておかないと・・・
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2人の娘のお父さんです。孫も3人いるじーさんです。趣味はスポーツ観戦やサイクリング、読書など。ブルベは07年から走ってますが遅いです。仕事はリタイアし、「晴走雨読」の気ままな毎日です(^o^)
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自転車通勤
/
2007年07月26日
BD-1でチャリンコ通勤<7月26日=72>
目黒・権之助坂は8月5日に盆踊り
午後1時半ごろ、R246の荏田で最初の一滴がポツリ。この日は歯医者でスタートはいつもより1時間ほど遅い。やっぱり電車にすれば良かったか。
しかし、数滴落ちてきただけで、後は感じなくなった。助かった。雨のライドは当分はごめんだ。
スタート時点は暑かった。目黒駅前の目黒通りには、盆踊りを知らせる権之助坂の提灯。大山街道にも「高津区祭り」の提灯が飾られていた。夏本番を感じるなぁ。
なんて思っていたら、到着後、会社近くの隅田川べりで休んでいるときにポツポツ降り出した。で、会社に入ってしばらくするとザァーーー。ぎりぎりセーフ!
◆サイコンによる記録
距離 39.46km
平均時速 22.8km/h
走行時間 1時間43分31秒
最高速度 51.9km/h
※07年の通算 7051.75km
ロード 3771.33km
BD-1 3007.20km
MTB 0238.26km
ママチャリ 0035.00km
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標高2172mの渋峠へ <その2 埼玉へ>
サイクリング
/
2007年07月26日
<その2の前に>
より続きます。
スタート地点は大和橋
ここは境川とR246が交差するところ
午後2時47分、自作のキューシートを頼りに走る
前日までの天気予報だと、21日の土曜は自宅付近も群馬地方も雨。3連休だったこともあり、出発を1日スライドさせようかと思っていた。
ところが、土曜のお昼ごろに起きてみると晴れ間も広がってきている。天気予報は相変わらずの雨なのだが、雨雲レーダーを見ると雨雲なんて関東地方にいやしない。このまま家にいても何だか後悔しそうだし、できれば月曜はゆっくり休みたい。じゃ、行くか! 途中で雨が降り出したら、そのときに悩もう。
昨日準備したリュックに、レインシューズカバーとレインウエアを追加で突っ込み、午後2時半ごろに自宅を出発した。現金は少し多めに・・・と。もしかして前橋あたりで宿泊する羽目になるかもしれないッスからね。
自宅の目と鼻の先にある大和橋でサイコンをリセット。マップホルダーに自作のキューシートを入れ、午後2時47分に境川を走り出す。トラブルがなければ明日の朝、空が白み始めたころに渋峠へ登っているはずだ。登坂後は再び草津へ降り、羽根尾から北軽井沢まで上って軽井沢へ。そして碓氷峠を下りて高崎から輪行という予定にしていた。距離は約320キロ。「勝手にブルベ320」の始まりだ。
マップホルダー
はマジックテープでハンドルに付けるだけという取り外しが簡単なもの。お手軽なのだが、よく考えるとハンドルバーを持てないことにしばらくして気が付いた。登坂のときは外すことにしよう。
午後3時1分、境川の町田手前
雨はまだまだ降りそうにない。このまま明日の朝まで持ってくれ。
午後3時20分、境川を離れR16へ
境川橋で境川を離れ、ぐいっと上って古淵駅前を通り、R16へ出る。
橋本五差路は自転車も走れる立体交差。その先の横浜線を越え、R16旧道へ入ると町田街道と交差する相原交差点に出る。ここまでは町田街道をずっと走って来てもいいし、境川から戦車道経由という車の来ない道を走っても来れる。
八王子バイパスの鑓水ICからは少し上りになる。ピークは御殿峠で、標高190メートル。ただ、相原側からはそれほど上らず、下る方の距離が長い気がした。
後になって分かるのだが、高崎まではここの上りを除くと、感じとしてはほぼ平坦なルートが続くことになる。もちろん、実際はアップダウンがあるのだが、苦しんだという記憶がない。
午後4時12分、多摩川を拝島橋で渡る
八王子を過ぎ、浅川、川口川を渡り、R16を突き進むとやがて多摩川。このあたりの多摩川に来るなんていつ以来だろう、なんて思いながら拝島橋を渡る。
午後4時35分、横田基地
拝島駅を過ぎると、右手に広大な米軍の横田基地が広がってくる。左手には商店街。福生付近に来たのは初めてなのだが、商店街の雰囲気が違う。広々してまるでアメリカ。店の名前も○○'sなんて書かれている。国道の道幅も何だか広いような感じがした。
午後5時5分、R16を離れ坂戸を目指す
町田付近のR16は走りづらいのだが、古淵から入間あたりまではそれほどストレスも感じることなく走ることができた。
入間市駅付近の河原町交差点でR16に別れを告げ、R299に入って坂戸を目指す。
午後5時9分、入間川にかかる豊水橋
左折するとすぐに入間川にぶつかる。後で調べてみると、この豊水橋は入間川サイクリングロードの起点となっているようだ。
第1PC到着
豊水橋を渡り、根岸坂上交差点を右方向に走るとR407となる。R407に入ってすぐに第1PCとしていたコンビニに到着した。
※第1PC スリーエフ狭山根岸店
午後5時14分
54.39km
av26.7km/h
走行時間 2時間2分18秒
グロス 2時間27分
渋滞にも合わず、トラブルもなくここまではそこそこのスピードで来ることができた。補給はおにぎり、唐揚げ棒、飲料などで545円也。
時間は午後5時過ぎ。まだまだ明るい道を走れるぞ。
<その3>
へ続きます。
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標高2172mの渋峠へ <その3 群馬へ>
サイクリング
/
2007年07月26日
<その2>
より続きます。
午後5時43分、R407を走る
狭山を出発し、日高に入ったあたりだろうか。回りを緑に囲まれた気持ちのいいところに出た。後で地図を見ると右手にゴルフ場があった。ただ、路肩が狭いので、気持ち良く走るにはそれなりのスピードを出す必要があった。
午後6時9分、上野本交差点。左折してR245へ
鶴ヶ島、そして坂戸と駆け抜けていき、東松山に入る。上野本交差点を左折するのだが、彼方の山を見ると白く霞んでいる。湿度も高い。雨降るのかな、やっぱり。汗と湿気でウエアもかなり濡れ、気持ち悪くなってきている。
午後6時24分、東松山IC
東武東上線の陸橋を越え、下り降りると関越自動車道の東松山IC。このころから次第にあたりは暗くなってきた。
午後7時4分、日も暮れてきたR245を走る
R245はびっくりするほど直線が続く部分がある道路だった。背の高い樹木が点々と植えられ、周囲を見渡しても広々していて、いい雰囲気。上りも緩やかで、適度に下りが現れるので気持ちはいい。
ただ、路肩の白線部分がでこぼこしていたり、路肩寄りの車道に滑り止めのように斜めに溝が切られている部分がある。路肩がほとんどないので白線から車道側に少し入って走ることになるのだが、道幅もそれほど広くないのでちょっと辛かった。
午後7時18分、荒川を玉淀大橋で渡る
荒川を渡り、八高線を越えてR245をさらに進み、野中交差点を左折してしばらく走ると、第2PCが見えてきた。ここは埼玉県児玉郡。
※第2PC セブンイレブン美里町中里店
午後7時39分
105.27km
av26.8km/h
走行時間 3時間54分40秒
グロス 4時間52分
最初の50キロまでのスピードが維持できている。グロスの時間も105キロを5時間以内と、自分としては速いペースだ。信号が減ってきたせいだろうが、とりあえず順調順調。いなり寿司、飲料など補給して565円。ところが駐車場で食べようとしたら、明るいところは虫だらけ。これにはまいった。落ち着いて食べられない。休憩もそこそこに走り出した。
午後9時2分、K71を走る。高崎まであと9キロ
児玉郡美里町を過ぎると本庄市児玉町。そしてまた児玉郡神川町となる。ややこしい。
神流川を渡る長い橋(藤武橋)を渡るといよいよ群馬に入る。藤岡市だ。だが、この頃にはもう真っ暗で、群馬に入ったことは気が付かなかった。標識あったのかな? 見逃したなぁ。
多野郡吉井町の川内でR245(西上州やまびこ街道)からK71へと右折する。高崎まであと9キロだ。鏑川を多胡橋で渡り、烏川を聖石橋で渡る。両方とも利根川の支流で、烏川は伊勢崎付近で利根川に合流する。
午後9時37分、高崎駅近くの和田橋で
聖石橋を渡るとR17(中山道)にようやく出る。次のでっかい交差点のところの橋が君が代橋だと思い込んでいた。「明治時代、天皇が北陸に行幸する際に架けられた」という君が代橋で写真を撮ったつもりが、実は手前の和田橋だった。そのため、少しミスコースし、高崎駅前まで行ってしまった。
駅前は結婚式の2次会らしい団体がレストランで気勢を上げる声が響くだけで、人の姿はほとんどなかった。午後9時を過ぎた地方都市の静けさだった。
高崎駅前通りで少し迷った後、K25ではなくK29へと繋がる「保健福祉所前」交差点を入ってみたら、やがてK25となりコース復帰することができた。
午後10時13分、K25を走る。目指せ渋川
ここまではほぼ平坦な道のりだったが、高崎を過ぎると緩やかに上っていくようになる。ただし下りもあるので、上り続けるというわけではない。
午後10時41分、ようやくR17。新潟まであと210キロ!?
前橋を通り抜け、渋川に入ってもK25をひらすら走り続ける。K25は吾妻線を越えた阿久津交差点でR17と合流する。そしてこの標識。新潟まであと210キロだ! って、新潟までは行きませんが・・・。
※第3PC ローソン渋川金井店
午後10時50分
161.24km
av26.1km/h
走行時間 6時間10分11秒
グロス 8時間3分
平均時速は少し落ちてきているが、まだ26km/hを維持している。この時点でかなり汗もかいてきた。ガリガリ君っスね。おにぎり、ソーセージ、飲料など補給で641円。ここで日本がオーストラリアにPK戦で勝ったことを知った。
ここまで160キロ。予定していた距離の半分を走り切った。ケツは多少痛いが、ヒザは何ともない。いい感じできているぞ。
<その4>
へ続きます。
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標高2172mの渋峠へ <その4 暗闇の吾妻川沿い>
サイクリング
/
2007年07月26日
<その3>
より続きます。
PC3を出発すると、すぐに吾妻川。吾妻橋でそれを渡り、その先の鮎沢交差点を左折しR353へと入る。
午後11時13分、鮎沢交差点。ここからR353で草津へ
「草津」がついに出てきた。ちょっと感動。
ここまでのナイトランは、街灯もあり周辺から漏れる光もあったので、楽に走って来れた。
しかし、R353に入ってしばらくすると道は真っ暗になってきた。街灯はないし、曇っているので月明かりもない。見えるのはEL520×2灯に照らし出される路肩の白線とセンターラインだけ。20メートル先は黒いベールが降りていて何があるか分からない。
ときおり車が抜いていく。ぼうっと明るくなって、しばらくすると目の前が急に明るくなる。しかし、それもつかの間。車がパッシングしながらセンターラインを大きく越えて抜き去っていくと、照らし出されていた前途に、まぶたを閉じるかのような黒いベールが降りてくる。一瞬、真っ暗になる恐怖感を覚えるが、かろうじてEL520のライトの薄明かりは残ってくれている。
道のそばには吾妻川が流れている。ざーざーという音が途絶えることなく聞こえてくる。昼間走ったらきっと気持ちのいい道だろう。上り基調ではあるが、傾斜は緩やか。そして上ったら必ず下りもある。ほんとに上っているのかと思うような道のりだった。
午後11時32分、道の駅おのこ
ぼんやりと彼方に明かりが見えてくると町がある。私にとって、その光は希望の光だ。先が見えるぞ。
光を求めて走る旅は続く。
途中にあった道の駅「おのこ」はうすぼんやりとした光の中にあった。手打ちそばが人気のようだが、開いているのは当然ながらトイレだけだ。暗いなかじゃゆっくり休むこともできない。早々に退散した。
午後11時45分、小野上温泉への分岐
民家もこの時間では明かりを消して寝静まっている。そんな暗闇のなかで出会ったでっかい看板。強烈な光が当たっていた。ふう~とひと息ついて止まってみたが、虫だらけ。ここも長居はできない。
R353は中之条付近でR145と分岐する。
顔に雨粒を少しだけ感じるようになった。最初は汗かと思ったが、路面は濡れていた。いつ頃から濡れていたのか暗くて分からなかった。気が付くと、「あれ、濡れてる」という感じだった。
雨がこれ以上強くなったら・・・。しかし、そのうち顔にあたる冷たいものも感じなくなってきた。路面は相変わらず濡れているが、雨はとりあえずは上がってくれたようだ。
※第4PC セブンイレブン群馬吾妻原町店
午前0時17分
181.88km
av25.5km/h
走行時間 7時間6分29秒
グロス 9時間34分
いくつかあった光のなかで、特に明るかったのが、ここ群馬原町駅周辺。吾妻川沿いに入ってからの道中で一番でっかい町だ(たぶん)。心底ホッとして第4PCへと吸い込まれていった。
ここで本日のメーンディッシュのカップヌードルほか飲料など補給。541円也。ちょっと駐車場に座ってまったりした時を過ごす。
<その5>
へ続きます。
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標高2172mの渋峠へ <その5 吾妻峡~草津>
サイクリング
/
2007年07月26日
<その4>
より続きます。
午前0時53分、吾妻線郷原駅(たぶん)
群馬原町を出発してからが、真の暗闇だった。周りは樹木。本当に危なそうな急カーブのところにだけある街灯。たまにある信号の光でさえ、有り難かった。車も追い越してこなくなった。しかし、雨が降っていないだけこのときは良かった。後になってそう思う。
駅らしきものがあったので寄ってみたが、駅舎は明かりもなく真っ暗で、駅名も判別できない。明かりは駅前にある自販機から放たれるものだけだったような気がする。
目の前をタヌキが2度、通り過ぎていった。ライトの光に吸い寄せられたのか。でも、わざわざ前を横切らなくてもいいじゃないか。2度目は慣れたけど、1度目は心臓が止まりそうになったぞ。
午前1時24分、吾妻狭
真っ暗闇に光が見えてきた。何かあるのか?
トンネルだった。ただし反対車線がトンネルで、こちら側の車線は切り立った川べりをそのまま続いていた。その分岐にあったのがこの看板。ここがどうやら吾妻峡らしい。街灯はその看板を照らし出していた。近くに遊歩道がありハイキングが楽しめるようだが、今の私には関係ないッスね。渓谷美も奇石もまっくらで何も見えやしない。
午前1時50分、長野原草津口駅前
再び闇の世界へ突入する。目をこらして10メートル先のほのかな明かりを見つめ、慎重に走る。この辛さは渋峠の絶景が癒してくれる。そう信じて・・・。
※長野原草津口駅
午前1時50分
202.81km
av25.1km/h
走行時間 8時間4分32秒
グロス 11時間7分
一気に前が明るくなった。うわっ、でっかい駅だ。ここまでの駅の様子を見慣れてくると、自然とそう感じる。ここは大都会だ(たぶん)。駅舎に明かりもついている。すげ~ぇ。タクシー乗り場もあるぞ。
当然ッスね。ここは「草津温泉下車駅」だ。
自宅からここまで距離は約200キロ。一番短いブルベを完走したことになる。
ここまできつい上りは1個所もなく、緩い上りが延々と続くだけだった。平均時速は1キロほど落ちたが、体力的にはまだまだ余裕が残せている。でも、これからが勝負だ。
午前2時19分、大津交差点
長野原草津口駅から標高約679メートルの大津交差点までは厳しい上りだった。
地図上では大津交差点にコンビニはなかったのだが、実際行ってみるとセブンイレブンがあった。ここで補給しようかどうしようか迷った。予定ではあと10キロ上って、標高約1196メートル草津温泉のコンビニで大休憩することにしていた。
悩みながらコンビニをぼんやりと見ていると、店員が駐車場に豪快に水をまき始めた。うわ、座れないじゃん。や~めた。
で、反対側の店の前の自販機で水分補給だけとした。さあ、いよいよ標高2172メートルの渋峠へ向かって最初の本格的な登坂が始まる。
<その6>
へ続きます。
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標高2172mの渋峠へ <その6 無念のUターン>
サイクリング
/
2007年07月26日
<その5>
より続きます。
午前2時25分、R292で草津温泉へ
時間は午前2時25分。ここから約10キロ先の草津温泉まで、たぶん1時間ぐらいはかかるだろう。すると午前3時半。草津温泉のコンビニでゆっくり休んで、夜が明け始める午前4時ごろから登坂開始。そして明るくなったころには、yuzitoさんのエントリーで見たあの風景に出会えるはずだ。
おぉ、なんと計画通りに事は運んでいるじゃないか。素晴らしい! よっしゃぁ、距離30キロ、標高2172メートルの世界への登坂開始だ。
ところが!!!! 大津交差点から真っ暗な道を上り始めた途端、雨が落ちてきた。愕然とした。「ここでくるかぁ?。信じられないよ」。
ここまで自宅から自走200キロ。途中からは暗闇の中を走ってようやく渋峠登坂のスタート地点に着いたというのに。天は我を見捨てたのか。
だが、幸い雨はまだ霧雨だ。諦めるのは早い。上ろう。
でも、あ~だめだよ、雨がだんだんと強くなってきた。とにかくレインウエア着なきゃ。でも、路肩は狭いし、明かりのある場所もない。困った。
雨に耐えて約2キロぐらい上ったあたりだろうか。自販機の明かりが見えてきた。少しスペースもある。あそこで着よう。
レインウエア、レインシューズカバー、そして半ズボンにした100均のカッパを着て、さあ! って、土砂降りじゃん。一応走り出してはみたものの、こりゃダメだ。モチベーションは一気に下がった。上っても怖くて下りられないよ。雨宿りするところもない。
諦めるか・・・。悔しいけどUターンだ。あぁ、2172メートルの渋峠へのヒルクライムは、草津温泉へもたどり着けず、無念のDNFとなった。
今日はブルベでもヒルクライムレースでもない。たったひとりのツーリングだし、無理はしたくない。傷口を広げる前に降りるんだ。自分に言い聞かせる。でも、大変なリベンジネタを残したもんだ。スタート地点まで200キロだぜ。おいそれとは来れない。あ、いや、来年の「ツールド草津」に出ればいいのか。レース前なら車で来ても、文句は出ないだろう。それで行こう。
大津まで一気に下り、そのまま右折して羽根尾へ向かう。下りはずっと続く。
すると、雨を感じなくなってきた。やんだ? ホントかよ。もう一度、チャレンジするか? いや、待て。下へ降りてきたからやんでいるんだ。山の上はきっと雨だ。上り返しても、また雨だったらもう走る気力もなくなってしまう。今日は渋峠は諦めて、碓氷峠を下りて高崎へ出よう。少しは気分が良くなるはずだ。
羽根尾交差点手前の街灯の下でレインウエアを脱ぐ。この先から北軽井沢までは上りが待っている。登坂にレインウエアは暑すぎる。
午前2時46分、羽根尾からR146へ
羽根尾交差点を左折し、R146に入ってもしばらく下りは続く。そして、真っ暗闇の世界がまた始まった。
やがて上りになった途端、また雨だ・・・。やっぱりこうなる運命だったんだ。でも上らなきゃ軽井沢へ行けない。草津方面へ帰ったとしても闇夜のダウンヒルが待ち構えているし、雨が降っていない保証もどこにもない。
自販機の明かりを頼りに再びレインウエアを着る。時間は午前3時前後。今回のツーリングの最大の目的を達成することができず、張りつめていた心の糸は切れそう。それでも走らなければ、帰還できない。頑張ろう。あと10キロ上ればいいーーそのときはそう思っていた。
<その7>
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標高2172mの渋峠へ <その7 雨の北軽井沢>
サイクリング
/
2007年07月26日
<その6>
より続きます。
本格的な雨のなかを走り出す。道は真っ暗。回りには樹木があるだけで何もない。ただくねくねした上り坂があるだけ。車もまったく通らない。ブルベだったら、前にも後ろにも人がいる。同じルートを同じ条件で走っている仲間がいる。しかし、今はひとりきりだ。こんな天気のこんな時間に、この道をツーリングしている自転車海苔がいるとは思えない。
後ろを振り返ってもいけない。そこには誰もいないはず。なのに誰かいたら非常に困る。
雨が強くなってきた。ライトの明かりで浮き上がっていた路肩の白線が消えた。センターラインも消えた。あるはずなのに見えない。道がどう続いているかも判別できなくなってきた。右へ曲がっているのか、それとも左? 路肩にガードレールはない。突っ込んだら、助けが来るまで何時間待てばいいのだろう。ゆっくりと慎重に上っていく。
道の真ん中を走っていても、幸か不幸か車がまったく来ないので安全だった。それに急な傾斜もない。ここも緩やかに緩やかに上っていく道だった。
困ったことに気が付いた。こういう状態で果たして降りられるのだろうか。一寸先は闇。路面は濡れている。ブレーキは効かない。降りられないじゃん。
上れども上れども、ピークはやってこない。もう10キロほど上ったはずだぞ。
そして、腹が猛烈に減ってきた。当初の予定ではこのあたりの時間帯で補給のはずだった。それが、途中で引き返したために補給のタイミングを失った。水も底をつきかけている。非常食は何も持っていない。コンビニはこの峠を越えた先の中軽井沢まで行かないとない。大津で補給すれば良かったと後悔しても後の祭り。だんだんと足に力が入らなくなってきた。ハンガーノックだ。ペダルを回すのが面倒になってきた。でも雨宿りするような場所はない。走り続けるしかないのだ。
羽根尾から北軽井沢のピークとなる峰の茶屋までは、実は約20キロあった。それを知ったのは帰宅後。渋峠の詳細は調べていたが、この道は軽く考えていた。渋峠に比べればなんてことないさとなめていた。
午前4時28分、とある別荘の入り口にて
1時間半近く上ったところで力尽きた。もうダメ。上れない。
幸いに雨は小降りになり、回りも明るくなり始めていた。これほど朝が来るのが待ち遠しかったことは未だかつて無い。だが、明るくなったことで道の先が見えるようになり、逆に気力が萎えてきた。行く手には、いつまでたっても上りしかないのだ。
狭い路肩では休めない。やっと別荘の入り口を見つけ、自転車が立てかけられるところもあったので、ひと息つく。「関係者以外立ち入り禁止」とあったが、緊急時だ。許せ。
ここからは数百メートル上っては休憩の繰り返し。腹減ったよ~。
午前4時39分、鬼押し出しへの入り口
幾多の艱難辛苦を乗り越えて、鬼押ハイウエーの入口にたどり着いた。羽根尾から何もない真っ暗な道を延々と上ってきたが、ようやく人の臭いを感じる所に出てきた。レストランもあったが、当然営業してない。「ハンバーグ」と書かれたのぼりがうらめしい。
午前4時54分、雨宿りした焼とうもろこし屋
その先にあったとうもろこし屋は最高だった。何たって屋根がある。ようやくゆっくり腰を下ろして休むことができた。これでとうもろこしが食べられればもっと幸せなんだが・・・。
午前5時13分、峰の茶屋
とうもろこし屋の軒先でのんびり過ごし、体力を回復させる。そして「峰の茶屋」の標識。ここがピークだと思ったのだが、世の中、甘くない。
実は鬼押ハイウエー入口あたりからはアップダウンが続くようになる。「これを上れば・・・」。そう何度も思うのだが、希望は常に打ち砕かれる。一体、どこまで上ればいいんだ?
午前5時22分、やっとピーク到着
朝も完全に明けたころ、待望のピークに到着した。標高は約1400メートル。約20キロで約750メートルを上った。長かった・・・。
ここにもレストランがあったので、その入り口付近でレインウエアを脱ぐ。雨はいつの間にかあがっていた。これで上りはおしまい。後は下って、軽井沢駅で駅弁でも買うか。「もし渋峠に登っていたら」と思うとちょっと恐ろしい。帰りにこの道は上れなかっただろう。20キロの上りはやっぱり辛かった。
※峰の茶屋
午前5時22分
231.75km
av22.0km/h
走行時間 10時間29分40秒
グロス 14時間39分
午前6時34分、中軽井沢へ
降りるにしたがって路面は濡れていないところが出てくる。やっぱり標高の高いところしか降っていなかったのか。
明るい中を気持ちよく降りていたら、路肩に何かいる。何だろう?
もしかして、サル? お~! サルだよ。5~6匹いるぞ。周囲にはレストランやホテル、別荘が現れ始めたところ。なのに野生のサルがいる。やばいよ。目を合わせないようにしなきゃ。いや、引き返そうかな? あ、でも上りだからいやだな。写真も撮れないぞ。下手な動きをしたら狙われる。困ったな~。多勢に無勢だしどうしよう。
「軽井沢がサル被害に遭っている」という事実をその時点では知らなかったのだが、自転車を漕いでいて野生のサルに出会うなんて、48年の人生で初めてのシチュエーションだ。車だったらどうってことないが、自転車だしなぁ。それにひとりだし・・・。
悩みながらゆっくり降りていたら、下から車が数台上ってきた。でもサルたちは悠然と路肩を歩いている。人が通っても気にしないようだ。え~い、行っちゃえ。下りだし、追いかけられても逃げ切れるだろう(ホントか?)
サルたちの間を何事もなかったように降りていく。緊張の一瞬。
サルは私に見向きもしなかった。良かった。無事、脱出した。
危機を乗り越えてしばらく降りるとセブンイレブンがあった。やっと食料にありつける。日本のコンビニはまさに地獄に仏、ナイトランの自転車海苔のオアシスだ。
※セブンイレブン中軽井沢店
午前6時14分
グロス 15時間31分
おにぎりと玉子スープで生き返る。518円也。
午前7時14分、軽井沢駅
中軽井沢からは路面のまったく濡れていないR18を軽井沢まで走る。碓氷峠から高崎と思っていたが、この天候だと霧の可能性が高いし、走る気力も萎えてきたのでここでゴールにしよう。「勝手にブルベ320」は、「勝手にブルベ246」で終了だ。
※ゴール 軽井沢駅
午前6時46分
246.06km
av22.1km/h
走行時間 11時間5分33秒
グロス 15時間59分
コンビニ費用 合計2810円(プラス自販機での補給500円ぐらいかな)
渋峠へのチャレンジは雨に流され、暗闇の中を走った印象しか残らなかった今回のツーリングだったが、闇夜の雨のライドや補給のタイミング、そして不測の事態に対する準備など、いろいろ経験になった2日間だった。
軽井沢からは東京、新横浜と新幹線で輪行。新横浜からの自走帰宅がまだあるので、ビールは飲めない。これが一番辛かったりして・・・。
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●月日 07年7月21日(土)~22日(日)
●天気 曇り~雨~曇り
●ルート 自宅(21日午後2時半ごろ)~境川~橋本~八王子~拝島~狭山~坂戸~東松山~藤岡~高崎~渋川~吾妻峡~長野原草津口~羽根尾~北軽井沢~軽井沢~(輪行)~新横浜~自宅(22日午前11時半ごろ)
※
ルートマップ
◆サイコンによる記録(自宅~軽井沢、新横浜~自宅)
距離 264.39km
平均時速 21.9km/h
走行時間 12時間2分12秒
最高速度 52.1km/h
※07年の通算 6926.67km
ロード 3771.33km
BD-1 2882.12km
MTB 0238.26km
ママチャリ 0035.00km
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