干物女

私はマンションの２階に住んでいます。
近くに大学があるため、学生の住人も何人かいて、お休みの前日には、
夜遅くまで楽しそうに酒盛りが続いています。（若くて、楽しそうでいいなぁ...）

先日の休日、私の部屋のチャイムが鳴りました。
休日は、チャイムが鳴っても、私は居留守をつかって出ないことがあります。
何故かというと....休日、私は ”干物女”に変身するからです。

注）ヒモノオンナとは、平日の日中は働く女性として真面目に美しく？生きているが、
家にいる時にはノーメイク、洗ったままの髪でくたびれたジャージなど他人に見られては
困る装いをしている生き物

その日も初めはドアを開けるつもりはなかったのですが、何度も何度も
チャイムを鳴らし、帰ろうとしない来訪者にちょっと苛立ち、ついにインターホン越しに
話をしました。

すると、いつものセールスではなく、私の真上のお部屋に引越してきた人が、
その挨拶に来たのでした。

「ちょっとお待ちください」とは言ったものの、このまま顔をだしては、私が”干物女”だと
いうことがばれてしまうし...かと言って、挨拶となると、顔を見せなければ失礼だし...
着替えている時間もないし...私は１５秒位考えてから、覚悟を決めました。

相手は小さな女の子が一人いる３人家族でした。
お互いに挨拶をして、ドアを閉めましたが、とうとうこのマンションの住人にも、
私の事がばれてしまいました。
”あの姿は本当の私じゃな～い”

３人の記憶を消し去ることもできずに困っています。