キラーワード、NGワード
これらは、接客研修の際に使っている言葉で、
キラーワードは、お客様をその気(「やってみようかなぁ」「買っちゃおうかなぁ」という気)にさせるとっておきの決め言葉。NGワードは、「それはお客様に言うたらあかんやろ」というダメダメ言葉のことを指す。
マニュアル通りの接客、パターン通りの声かけではなく、「それぞれのお客様にぴったりの」「その場に応じた」「絶妙のタイミングの」とっておきのキラーワードを投げかけられるような接客を目指そう!と研修では伝えている。
で、
久しぶりに受け取りました きらっきらのキラーワード
先日大阪市内のある地下街のセレクトショップにふらっと立ち寄った。パンツの裾上げのお直しが出来上がるのを待つ間の暇つぶしのつもりだった。
このショップでは以前に一度だけ購入したことがある(A4の書類の入るバッグ)。
ショップに入ってしばらくすると、あるスタッフがとびっきりの笑顔で声をかけてきた。
スタッフ「以前黒のバッグお買い求めいただきましたよね。ありがとうございました!」
(心の声・・・「覚えてくれてるんや」)
中村「そうやねん。あのバッグ気に入って結構使い込んでるんよ・・・」
(心の声・・・せやせや、前回もこの子に接客してもらったわ。感じのええ子やったなぁ)
という会話をしながら店内を見回り、以前からほしいと思っていたイメージ通りのニーハイブーツを見つけた。試着したらなんとサイズもぴったり。購入することに・・・。
ただし、購入を決めたのはキラーワードを投げかけられたからではない。確かに感じのよい接客で会話も楽しかった。その日の買い物の目的が「ブーツを買うこと」でもなかった(けど買う気になった)。とは言え、購入の決め手はあくまでも「以前からほしいと思ったいたイメージ通りの商品だったから」。少々接客の感じが悪くても買っていた(と思う)。
キラーワードを投げかけれらたのは、その後レジで支払いの手続きをしている際のこと。
レジ近くにディスプレイされている黒の大きめのバッグが目に留まった。
(心の声:ちょっと変わった形のバッグやなぁ。皮柔らかそうやし。私好み~)
軽い気持ちで声をかけた
中村「その黒のバッグ見せてもらってもいい?」
スタッフ「もちろんです。お試し下さい」
クレジットカードの処理のため下を向いていたスタッフが顔を上げ、笑顔でバッグを手渡してくれた。
バッグを手に取り、右肩にかけ、鏡に映して「はい、ポーズ」
(心の声:おおぉ~っつ!!いいじゃん、軽いし形もくったりした感じで可愛い。でも、A4の書類が入らないし仕事であまり活躍しないよなぁ・・・。まぁ、バッグは手持ちのもので間に合ってるし、いらんなぁ・・・)
この瞬間まで、買う気はなかった。
(その後)バッグをもとの場所に戻す⇒クレジットカード伝票にサインをする⇒ニーハイブーツを受け取る⇒ショップを出る つもりだった。
とその時、
絶妙のタイミングで、
「見とれてました」
で~ま~し~たぁ~っ。キラーワード
見ると、キラキラした目で私を見るスタッフのとびっきりの笑顔がそこにあった。
「お似合いですね」でも「素敵です」でもなく「見とれてました」
この言葉にぐっと きた。完全にノックアウト。
絶妙のタイミングで、自然な笑顔とキラキラした目で投げかけられた「キラーワード」・・・
かくしてこのバッグはニーハイブーツと共に私の持ち物になった。ニーハイブーツはともかくとして、バッグなんて全く買う気なかったのになぁ・・・
「中村さんってアホ(単純)やなぁ。そんなんお世辞に決まってるやん」と思うでしょ?
そんなことぐらいわかってる販売スタッフは「商品を売るのが仕事」。売るためにはそらいろんなこと言うわい! でも、同じ「お世辞」でも「そんなお世辞もうええねん(=しらじらしいねん)」と受け止められるか?「あらっ、そう?(=あなたもそう思う?)」と受け止められるか?
この差はは大きい
楽しくその気(買う気)になって、気持ちよく買い物できたんだからそれでええねん!!
たった一言でお客様をその気にさせる。
恐るべき「キラーワード」