ニュースなはなし

気になるニュースをとりあげます

体温計や休憩室で感染の可能性 増える院内感染

2020年04月27日 12時00分13秒 | 医療のこと

体温計や休憩室で感染の可能性 増える院内感染

新型コロナウイルスの感染拡大は、病院という医療の最前線まで広がっています。2日、東京都で新たに感染がわかった97人のうち、21人が台東区の永寿総合病院の関係者で、13人は永寿総合病院から患者が転院した新宿区の慶應義塾大学病院の関係者だといいます。

神奈川県の横浜市立市民病院では、20代の女性研修医が感染していたことがわかりました。この病院は、クルーズ船で感染が拡大した時、その患者の治療を担った感染症指定医療機関です。女性研修医は、先月26日に鼻水の症状が出て、28日以降は味やにおいがわからなくなる症状が出たため、今月1日に検査し、陽性が判明しました。濃厚接触した指導医など49人は自宅待機しているといいます。女性研修医は、感染症病棟では勤務しておらず、横浜市は「感染症患者の診療は一切やっていませんので、院内感染の可能性は、ほとんどないのではないか」としています。

北九州市の新小文字病院では、医療スタッフ17人の感染が確認され、外来や新規の入院診療が当面停止となりました。甲斐秀信院長は「元来、新型コロナは受け入れず、救急医療、急性期医療に専念する方針で、『まさか』というのが正直な感想でした」とコメントを発表しました。

大分市の大分医療センターでは、最初の感染者が見つかった後、医師や看護師など次々と感染が発覚。大分医療センターから転院した患者も、のちに相次いで陽性と判明するなど、関連した感染者は24人となっています。

この病院に厚生労働省から派遣された感染症の専門家チーム『クラスター対策班』は、“休憩室”が感染を広げた可能性があると指摘していて、大分県は「我々も『あっ』って気付かされた部分です。医療現場では、医療スタッフも患者さんもマスクっていうのがかなり定着してきましたが、一つの落とし穴が休憩室です。休憩室で、例えばスタッフが密集した状態でご飯食べたり、少しお話をしたりするというのが、医療機関において意外な感染リスクでした。この点は新しい重要な留意点、気を付けるべきポイントではないかなと考えています」と話しました。大分医療センターは、入院患者や医療スタッフなど600人以上にPCR検査を実施。全員陰性でしたが、最後に出た感染者の2週間の経過を見るために、6日までの外来診療をストップしています。

これまでに新型コロナウイルス患者を20人以上受け入れてきた、大阪府の感染症指定医療機関・りんくう総合医療センターの倭正也感染症センター長は「数の面から言うと、本当にかなりいっぱいいっぱい。ICU(集中治療室)を一部閉鎖して、新型コロナ用に使っています。そこに救命センターのドクター、看護師、スタッフのマンパワーを注いでいます。最初は感染症センターの中で診ていましたが、それだけじゃマンパワーと患者の数がいっぱいいっぱいで、オーバーしています」と増え続ける患者に危機感を募らせています。

また、「マスクとか防護服も枯渇してきています。経済のことを考えて、緊急事態宣言とか、ロックダウンを出さないという道を日本が選ぶのであれば、それ相応の対応をするやり方を探っていかないといけません。今のままだと、医療者の負担がかかり、そこに防護服がなければ、医療者の二次感染は今後さらに増えます」と警鐘を鳴らします。

感染症対策が専門の順天堂大学・堀賢教授は、院内感染が起きる要因について『濃厚接触』や『飛沫による感染』『接触感染』の可能性があるとしたうえで、一般的に考えられるケースとして以下の4点を挙げます。

(1)感染した医療スタッフとの接触
(2)感染した面会者との接触
(3)患者同士の会話
(4)汚染した物品や環境のシェア

堀教授は(1)~(3)について「新型コロナウイルスは症状がはっきり出ない人が多い。そのため、本人が気付かないうちに起きている可能性があります」と説明。(4)については「新型コロナウイルスはしつこい。環境中に残っていても、金属だと2日、プラスチックだと3日そのうえで生きています。

インフルエンザだと半日くらいでウイルスの活性がなくなっていきますが、新型コロナウイルスは2日前に使った体温計を使いまわすだけで感染してしまいます。そういう意味では、環境や物品の消毒を徹底しないと難しいという特徴があります」と話しました。さらに「院内感染が起きて、患者が増加すると、隔離するための部屋が不足し、患者を転院させる必要が出てきます。

また、医療スタッフが感染すると、人手が不足し、ベッドはあるがケアをするスタッフがいない状態となり、患者の転院が必要となります。こうして他の病院が切迫し、あふれてしまうと医療崩壊の危険が出てくる」と指摘しています。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

未曾有の国難”でも足元は安泰⁉︎ 失態続きでも安倍総理を支える人の心理とは

2020年04月27日 11時08分43秒 | 社会のことなど
未曾有の国難”でも足元は安泰⁉︎ 失態続きでも安倍総理を支える人の心理とは

>安倍総理は安泰だ。安倍総理の治世は永久(とわ)に続くことだろう。
千代に八千代に、さざれ石の巌(いわお)となりて、苔のむすまで。
もっとも安倍総理が安泰でも、我が国が安泰とは限らない


官邸近くのラーメン屋に、安倍総理の写真が
 
 4月24日、金曜日。前日発売の『週刊文春』で、森友事件の公文書改ざんで死に追い込まれた財務省近畿財務局の赤木俊夫さんの記事を6週連続で書いた私は、首相官邸周辺を訪れていた。

 と言っても安倍総理に用があったわけではない。あっても会ってくれないだろう。私が用があったのは、官邸のすぐ下にあるお店、「支那麺はしご 赤坂店」。ここの排骨担々麺(ぱいこうだんだんめん)が実においしい。大好物なのだ。

 私にこのお店を教えてくれたのは西岡研介さん。最近、JRと革マルの因縁を描いた『トラジャ』(東洋経済新報社)という著書で注目される、フリーのノンフィクションライターだ。元『神戸新聞』記者で兵庫県警担当。当時、私もNHK神戸放送局で兵庫県警担当。我々はライバルであり同志でもあった。

 西岡さんはその後、雑誌『噂の真相』や『週刊文春』で活躍。一昨年、NHKを辞めて雑誌に記事を書きたいと考えていた私に文春を紹介してくれたのは彼である。そのおかけで今、私は『週刊文春』で赤木さんの記事を連載できている。西岡さんは恩人だ。文春を紹介し、このお店も紹介してくれた。

 お昼時はいつも混雑して行列ができるこのお店も、今はお客が少ない。その店内の壁に、見慣れた顔写真が掲げてあるのがおわかりだろうか? そう、安倍総理。店の外にある官邸の今の主である。

  これは『リベラルタイム』という雑誌の記事。その名も我が国の首相にふさわしい。記事は《「安倍総理」が行った店》というタイトルだ。記事によると、安倍総理は5年前、2015年の1月12日の昼に秘書官ら10人以上とともにお店を訪れ、太肉担々麺(だあろうだんだんめん)と餃子を味わったようだ。
 “未曾有の危機”にある安倍総理
 
 私はお店の方に尋ねてみた。

「安倍さんはよく来られるんですか?」

「いや、さすがによくは……立場が立場ですからね」

「ここは首相官邸がすぐそばですよね」

「ええ、この時はSPさんも大勢来てたいへんでした」

 安倍総理は今、“未曾有の危機”にある。未曾有は「みぞう」と読む。「みぞうゆう」ではない。と書くと「何を失礼な」とお叱りを受けそうだが、中には読めない方もいるようなので。我が国の財務大臣のように。

 NHKのニュースは「義務教育を終えた方なら誰でもわかるようにわかりやすく」が信条だ。私はそこで31年間鍛えられた。義務教育どころか大学を出ても読めない方がいることを我が国財務大臣に教わったので、わかりやすく丁寧に。何事も勉強になる。

 それはともかく安倍総理は今、“未曾有の危機”にある。国難と言うよりむしろ総理の危機。アベノマスク。10万円給付の迷走。コラボ動画の炎上。コロナ拡大防止で「外出しないで」と呼びかけているさなかに妻の大分旅行が発覚。その数日後、再び「外出しないで」と呼びかけた。妻ではなく、国民に。

  すべて自分がしでかしたことではあるが、それでなくても頭が痛いのに、公文書改ざんで命を絶った赤木俊夫さんが書き遺した「手記」を、雑誌で記事にする輩がいる。でかでかと。しかも毎週。すでに6週連続で、どうやら次も出るらしい。なんてしつこいんだ!

危機にある安倍総理を指示する心理とは!?
 
 そんな安倍さんのことを、この方も心配している。亡くなった赤木俊夫さんの妻、昌子さん(仮名)のお母さん。俊夫さんにとっては義母にあたるが、お母さんは俊夫さんと仲良しで、よく一緒に旅行や行楽に出かけていたという。俊夫さんが手記で「大好きな義母さん」と書いている方だ。

 俊夫さんのことを「財務省に殺された」と語り、「財務省に鉄砲持って乗り込みたい」とまで怒り心頭のお母さんだが、安倍総理のことは今も「安倍ちゃん」と呼ぶ。「安倍ちゃんもかわいそうよね」と。

 ですが、安倍総理を支持している皆さん、ご安心ください。安倍総理の足元は微塵も揺らいでおりません! 首相官邸の足元にあるこのお店に、安倍総理の記事が掲げてある限り。

安倍総理は安泰だ。安倍総理の治世は永久(とわ)に続くことだろう。千代に八千代に、さざれ石の巌(いわお)となりて、苔のむすまで。

 誰が何を言おうと、どんなことがあろうと、安倍さんを断固支持する。それが草の根安倍シンパというもの。赤木さんの義母さんが「安倍ちゃん」を「かわいそう」と言う心理と似ているのだと思う。

 その草の根支持がある限り支持率は落ちず、安倍総理は安泰だ。安倍総理の治世は永久(とわ)に続くことだろう。千代に八千代に、さざれ石の巌(いわお)となりて、苔のむすまで。

 もっとも安倍総理が安泰でも、我が国が安泰とは限らない。コロナも、森友も、赤木さんのことも。こんなに深刻なのに、なぜか笑えることばかりする安倍政権。

 【文/相澤冬樹】




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

有事の今、日本国民を殺す政治家は誰だ?/倉山満

2020年04月27日 10時54分01秒 | 日々の出来事
今や日本国民は政府に殺されかねない有事である


(左から)吉村洋文大阪府知事と長野恭紘別府市長。首相も都知事もパフォーマンスに熱を上げる前に、日夜奮闘を続ける2人を見習うべきでは? 写真/時事通信社・別府市公式サイト


 アキエ・アントワネット! 安倍倒閣運動の急先鋒である。緊急事態宣言で国民が我慢して外出を控えているというのに、首相夫人の安倍昭恵は、コロナ警戒発言の翌日に大分に団体旅行に出かけていたとか。  

前回「アキエ・アントワネット」の所業について書いたら、今度は安倍晋三本人が「ルイ16世」とあだ名をつけられた。日曜日に優雅に犬と戯れ、芸能人とのコラボ動画を流して、国民の怒りに火をつけた。普通の国なら革命が起きてもおかしくない状態だ。  

では、こんな安倍自民党内閣を誰が守っているのか。枝野幸男である。この男、野党第一党党首に居座っている。この状況で、一切、安倍自民党を批判しないどころか、ことごとく正論に反対する。そして野党はまとまれない。今の日本政治は「安倍・枝野談合体制」だ。  

これでは国民は怒りの持って行き場が無い。平時なら選挙に行かないという選択肢もあるが、今や日本国民は政府に殺されかねない有事である。自分の身は、自分で守らねばならない。  

こまめに買い物をして生活必需品を買っておく、うがい・手洗い・入浴・太陽を浴びる運動など、日ごろ以上に免疫をつける努力をする、などできることは限られているが、やれることはやっておいた方がいい。新型コロナは8割の人にとってはタダの風邪だが、他の肺炎と同じく不治の病になりかねないし、伝染病だ。正しく警戒すべきだ。  

こういう時に大事なのは、心のありようだ。個人としては、貯金が目減りするのを覚悟しておくしかない。  そして、何が正しいことなのか、世の中を見極めることだ。  


今次コロナ対策で最も大事なのは、人心の安定である。もともと日本人は善良で、我慢強く、公共心があり、清潔で衛生的だ。現に、人口当たりの死亡者数が驚異的に少ない。初動で誤らず冷静に対処すれば、「日本だけコロナ騒動と無縁」の状況も可能だったはずだ。  

ところがクルーズ船は「コロナウイルスの生産地」と化した。感染者、死亡者ともに、クルーズ船は別枠である。また、武漢にいち早くチャーター機を飛ばしたまでは良いが、旅客を隔離せず解放した。これでは、政府がコロナウイルスを撒き散らしたようなものではないか。  

等々、政府の失態は数えだしたらキリがない。そして、「首相官邸が風評被害の発信源」という状況に陥った。東日本大震災の再現である。これでは、人心の安定どころではない。そして医療崩壊寸前の状況である。コロナ対策に追われ、多くの医療が停滞している。たとえば、不妊治療などは止まっている状況である。これが、「手術が行えない」などという状況にまでなったらどうなるか。


無力な安倍政権を支え続ける枝野幸男は政権担当恐怖症か、はたまた安倍さんの「男妾」か?
  事ここに至っては、これ以上の拡大を防ぐために、外出を減らすしかない。この効果は一定数あると言われているが、今の時点ではエビデンスが無くても、トライアンドエラーでやってみるしかない。しかし、実験にしては巨大すぎる。安倍首相は「このままでは、最大8万人の感染者が出る」と外出自粛のみならず、緊急事態を宣言した。仮にこの数字が正しいとしよう。新型コロナに感染した5%が重篤者となる。その4000人の為に、国民の自由を制限し、日本経済を止めるのか。しかも、そのすべてが死亡する訳でもない。これでは、経済苦による死者が上回りかねない。  ならば、十分な補償が必要である。たとえるならば金融緩和は輸血である。止めると即死だが、今の日本経済は輸血だけで支えられるほど甘くはない。そこで財政出動の出番となる。その要諦は二つ。消費減税と国民への一律給付だ。  

だが、自民党は、その二つにだけは徹底的に抵抗する。公明党に言われないと何もしない。自民党に投票した人間にだけ分け前を与える習性が、染みついて離れないのだ。国民全員に恩恵が行きわたるのでは、ありがたみが無いと信じ込んでいるようだ。そういった自民党やぶら下がっている業界団体、そして彼らを差配する官僚に、安倍首相は逆らえない。7年も政権を独占していて、この無力である。  

ここで普通の人間なら倒閣、政権奪取を考えるだろう。ところが、枝野幸男という人は、どうしても安倍内閣を倒したくない。政権担当恐怖症か、はたまた枝野さんは安倍さんの「男妾」なのか。真面目に分析する価値が無いが、一つだけ言える。安倍と枝野はグルであり、二人とも国民の敵だ。枝野は減税と一律給付に徹底反対だ。かくして反対勢力はまとまれない。絶望的だ。  

では、信頼できる政治家は、どこにいるか。こういう時は、地方の首長を見ればよい。  

嗅覚を発揮したのが、東京都知事の小池百合子だ。3年前に盗り損なった天下を、再び狙っている。「国がやらないなら、都がやる」と補償を明言した。これで7月の都知事選は再選確実の大人気、その次には首相を見据えている。  

人は、殺されそうになった時、手を差し伸べてくれる人に感謝するものだ。その人物が、自分を殺そうとした相手だとしても。そもそも不用意に「ロックアウト」などと口走って都民を地獄に突き落としたのは誰か。騙されない為には、その人間の過去を忘れないことだ。  

一方、大阪の吉村洋文知事は、誠実さで人気が急上昇している。バラエティー番組にまで出て「本当は補償したいんですけど、すいません」と頭を下げ続ける。官僚の書いた作文を朗読する首相や、自粛の要請を企業のプレゼンか自分の選挙活動と勘違いしている都知事とは大違いだ。  

大阪はさすが、人情の街だ。のみならず、維新の会を嫌う京都人までが吉村知事の懇請に応え、外出が9割減だとか。吉村知事は後から補償金をひねり出した。立派ではないか。 

 金は心を支える最も大事な道具である。金が無ければ心も持たないが、心を忘れて札束で人の頬を叩いた人間を忘れてはなるまい。  

そしてもう一人、友人を紹介したい。長野恭紘別府市長だ。10億円以上を投じ、市役所臨時職員500人の雇用を確保した。この数、全国最大規模として話題になった。本人に聞くと、市の蓄えをほぼ全部吐き出すことになるそうだが、必死に捻出したそうだ。  探せば、未来の日本に希望を見つけられるはずだ。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安倍政権のコロナ対策、ますます「世界の常識」から遠ざかっている…!

2020年04月27日 10時23分57秒 | 医学と生物学の研究のこと

安倍政権のコロナ対策、ますます「世界の常識」から遠ざかっている…!

世界の一部では、新型コロナウイルスの感染拡大の抑制に成功し始めているところが出てきた。しかし、日本ではいまだ先行きが不透明で、安倍政権によるコロナ対策への不満が高まっている。「世界を比較すると日本政府のコロナ対応は不十分と言わざるを得ない」と指摘する専門家も少なくない。



【写真】安倍よ、ただで済むと思うな…菅官房長官「最後の逆襲」が始まった

 では、日本のどこが問題で、これからなにをすべきなのか――。公衆衛生のスペシャリストで、現在はキングス・カレッジ・ロンドンで教授を務める渋谷健司氏は、「日本ではより抜本的なコロナ対策が必要だ」と指摘する。WHO事務局長の上級顧問も務める渋谷氏が、世界のコロナ対策の最前線から日本の「いま」と「これから」について緊急提言する。
写真:現代ビジネス        
 


「検査」と「隔離」の基本が無視されている
 
 いま日本では新型コロナウイルス対策は正念場を迎えています。

 「非常事態宣言」が全国に広がったのは歓迎すべきですが、遅すぎました。そして、そこにどうしても政策がついていけていないように思います。

 ここに私がはっきりと申し上げたいのは、日本はすぐに厳格なロックダウンをして感染連鎖を抑えて、WHOが示している「検査」と「隔離」を徹底することです。これは私の住む英国が初動に失敗し、被害が拡大したことからの教訓です。

 また、「ステイホーム(家にいましょう)」のための強力なメッセージが必要です。東京オリンピックを1年後に開催すると決めた以上は、日本が国際的にもイニシアチブをとってほしいということです。

 私はWHO事務局長の上級顧問ではありますが、WHO職員でもありませんし、WHOの肩を持つつもりもありません。WHOにも色々と問題はあります。しかし、WHOがいまやっていることは感染対策の基本中の基本を示しているにすぎません。このことをご理解いただき、新型コロナウイルスにおける現状をしっかり踏まえて、今後のことに思いを巡らせてほしいと思います。

  私は「検査」を増やすべきだと訴えてきました。これまでは厚労省のクラスター対策班の尽力でどうにかこの数か月を持ちこたえてきましたが、フェーズが変わりました。

思い切った「PCR検査の拡充」を…!
 
 すでに感染者は日本が示している数字よりも、もっと広がっていることが予想されます。もう皆さんご存知でしょうが、この新型コロナウイルスは感染していても症状が出ない人も多く、そうした探知できていない感染者がいま感染を広げています。

 今後はますます感染が広がり、発症する患者も急速に増えていくことが懸念されます。

 医療崩壊を抑えるためには、もうクラスターだけを潰しに行くフェーズは終わり、誰がどのように感染しているのかを察知するために、検査を増やしていくフェーズに入っています。

 その体制を早急に整える必要があるでしょう。その中心になる政策は、医療機関の外に検査センターを設置することです。

 風通しを良くした大きなテントのようなものでもいいし、韓国などのようにドライブスルー方式でも可能です。これと遠隔診療の組み合わせで医療機関の院内感染も防げます。こうして感染者を割り出して、すぐに「隔離」することです。

 今までは、検査が陽性となればすべて入院させていたことから、病院のベッドが一杯でした。検査を増やす際に大切なことは、軽症者に自宅やホテルなどの代替施設で療養していただくことです。病院に入院する必要はありません。それによって、本当に治療が必要な方への病院での対応が可能になります。

 医師会の方々が頑張ってくれて、初診から電話・オンライン診療が始まっていますし、自治体レベルで検査の拡充するところも増えてきています。いまこそ思い切った検査拡充をするときだと思います。

 一方で、「家にいましょう」を徹底するために、政府はもっと徹底的な休業のための補償を組み立てるべきです。

 また、日本で言われているように「外出禁止」の法的要件が日本にないことが盛んに指摘されていますが、実はあまり関係がないと私は思っています。

  たとえばイギリスではまず、最初にパブやレストランなどの店舗を補償付きで閉鎖した後、ロックダウンを宣言しました。パブやレストランを閉めることで社会的隔離を進めると同時に、さらに「家にいましょう」を徹底させたのです。店が閉まったことで国民に危機意識が芽生え、そこにロックダウンと畳みかけていったことは、強力な一貫したメッセージとなりました。

3月の休校措置」はあまり効果がなかった 
 一方で日本では自粛をお願いしたり、非常事態宣言を出したあとに、どの店は開けてもいい、どの店はダメという議論をしています。

 国民に家にいてほしいなら、一気に店は閉めてしまったり、交通も制限したりしないと明確なメッセージにはなりません。また店のほうも政府が売り上げの補償をしないから、閉めたくても閉められない。この問題をクリアにしていかないとならないでしょう。

 強力なメッセージを発するために、一貫した政策をどの順で繰り出していくか。戦略的な見地が必要です。

 たとえば、学校の3月時点での休校はあまり効果を示しませんでした。いまの日本政府の対策を見ていても変わらずちぐはぐでスピードが遅く、政府に長期的な戦略があるようには見えません。

 この要因は、国家非常事態にもかかわらず平時のペースでやっていること、そして、政治と科学が独立していないことから起こっているように思います。

  専門家会議の位置づけが不明瞭で、政治的判断に強く影響されているように見えます。的確な政治決断のためには、正しいデータと科学的知見に基づいて提言を行い、またそれをどの優先順位で実行していくか戦略を練る独立した組織を作る必要があるでしょう。
     
写真:現代ビジネス        
 


科学的データを信用すること
 
 中国の武漢の例を見ても、2~3ヵ月で感染爆発を終息させている。ロックダウンと徹底した「検査と隔離」があったからです。

 もう皆さんは忘れているかもしれませんが、この武漢や中国で起こった状況をWHOと中国政府が調査した『WHO-中国合同ミッション報告書』が出されたのは、2月下旬のことでした。その調査には日本の感染症研究所の専門家も参加しました。

 そこにはアウトブレイクのある国の取るべき政策として「積極的かつ徹底的な症例発見、即時の検査と隔離、綿密な接触者追跡、および濃密接触者の厳密な隔離を優先する」ことと示されています。つまり、「検査と隔離」の徹底が一番大事であると明記されています。

 この新型コロナウイルスについては、少なくともいま得られる確実かつ大規模な調査によるデータはこの報告書しかありません。実に累計7万5000件もの症例をもとに示されており、これ以上の実証データは存在しないのです。

 ところがこの「報告書」は、「中国寄り」とか「数字が疑わしい」という理由で、データを疑問視する論調もあります。

  しかし、見誤ってはならないのは、ここで示されている対策を実施することで、武漢はもとより、韓国、台湾やドイツの例のように確実に効果が見られてくるということです。

東京五輪」と「グローバルヘルスリーダー」 
 いまスケープゴートのようにWHOは相次ぐ批判を受けていますが、いま世界中が協力してこの感染対策に取り組まなければならないときです。もちろんWHOも完璧ではありません。しかし、WHOにイニシアチブをとってもらうことなしには、その見通しは立ちません。

 実は2014年に起こったエボラ出血熱のアフリカでの大流行のときもWHOの初動が遅れたことが批判されました。そこで、当時の塩崎恭久厚労大臣の尽力で日本を含む、7か国やマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏の財団、「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」などが資金を出して、G7伊勢志摩サミット後にCEPI(Coalition for Epidemic Preparedness Innovations感染症流行対策イノベーション連合)というパンデミック・ワクチン開発の基金を作りました。

 安倍晋三首相はサミットでグローバルヘルスを主な課題として取り上げ、CEPIを「積極的にバックアップする」と言ってくれた。実は日本は世界からは「グローバルヘルスのリーダー」として高く評価されているのです。

  日本は1年後に東京オリンピックを開催することを念頭に置いています。しかしワクチン開発はWHOも、そして、今新型コロナウイルスのワクチン開発に全力を注いでいるビル・ゲイツ氏も早くても18ヵ月という見通しを示しています。
 一刻も早く鎮静化させるために
 
 新型コロナとの戦いは、厳格な対策をとって先進国で武漢のような成果を見ても、まだ新興国に広がっていきます。

 先進国のような対策が取れない、アフリカ諸国ではまだまだ長期間の対策を強いられることになるでしょう。

 そうすると世界から人を集める五輪を開くためには、世界規模で感染が抑制される状況を何とか作っていかないとなりません。

 そのとき東京オリンピックを開催したいと願う日本は動機も鮮明で、グローバルヘルスリーダーとして国際的にもイニシアチブをとれる立場にあります。是非そうしてほしいと願ってやみません。

  そのためには、いまの状況を一刻も早く鎮静化するために、抜本的な感染対策を行う必要があると思います。日本にはそれができる力があると信じています。
     
渋谷 健司(英キングス・カレッジ・ロンドン教授 WHO(世界保健機関)事務局長上級顧問)



コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

看護職に感染集中 33人陽性の神戸・中央市民病院「現状はぎりぎり」

2020年04月27日 08時53分48秒 | 社会のことなど
看護職に感染集中 33人陽性の神戸・中央市民病院「現状はぎりぎり」

兵庫県が新型コロナ対応で3本柱の一つに位置づける神戸市立医療センター中央市民病院(同市中央区)で、新型コロナウイルスの院内感染拡大が収まらない。4月9日以降、看護師や入院患者ら計33人に広がり、県内の病院では最大のクラスター(感染者集団)になった。感染症の指定病院を揺るがす事態に、同院の医師の一人は「なぜこうなったのか。皆非常にまずいと感じている」と明かし、不安を募らせる。

【写真】児童養護施設の支援続ける「伊達直人」さん 今度は3市役所にマスク贈る

 感染者は18病棟中半数の9病棟に広がる。コロナ感染対策などについて同院の職員らにはメールで通知されるが、看護師らがどの病棟でどう感染したかの連絡はなく、報道を通じて内容を知るという。ある医師は「一番の不満は院内感染の情報を詳しく知らされていないこと。自分がうつるかもしれないと危惧し、家族も心配している」と語る。

 同院のクラスターの特徴は看護師らへの拡大だ。感染した職員26人のうち、看護師、看護助手が20人を占める。医師より感染者と接触する時間が長く、リスクが大きいという。感染者と接するときは防護具を着けるが、「脱衣時が一番危ない」と同医師。休憩室で感染が広がった可能性も指摘する。

 日本看護協会(東京都)によると、看護師は常にフェースシールドを着けて対応するとは限らず、高齢者を抱きかかえた際に感染した疑いのある事例も報告されている。同協会の福井トシ子会長は「防護具の脱衣は相当時間がかかる。完全に感染を避ける方法をとるには、時間的に切迫している中では厳しい」と話す。

 一方、神戸市は22日の会見で、感染経路は調査中としながら「脱衣には問題がなかった。休憩室は厳格に運用している」と感染につながった可能性を否定した。

 同院は一般の病気でも重症患者を広く受け入れる3次救急を担っているが、救急外来と手術は原則中止し、一般外来の診療も制限した。一方、新型コロナの重症患者の受け入れは継続しており、現在約10人が入院しているという。

 自宅待機の職員は22日の約240人から26日は108人まで減ったが、感染症科や呼吸器内科の職員は激務にさらされており、ほかの診療科の若手医師らで結成したチームが2週間交代で診療している。

  同医師は「現状はぎりぎり持ちこたえているが、重症者病床が満床になれば医療崩壊が始まるかもしれない」と語った。(井川朋宏)




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする