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偏差値は1千万円でいくつ上がる? 「中高一貫校」と「公立コース」どちらがいい? コスパで見る東大合格戦略

2024年12月03日 22時03分50秒 | 受験のこと
偏差値は1千万円でいくつ上がる? 「中高一貫校」と「公立コース」どちらがいい? コスパで見る東大合格戦略

>あるデータによれば、英数国の平均で偏差値3くらい。つまり、大学受験の偏差値+3は1千万円で買える

11/24(木) 10:56配信
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東京大学
 子供の教育には多大な費用と時間を要する。限られたリソースでいかに効果的に果実を得るか? 親にとって切実なこの問題を最新刊『コスパで考える学歴攻略法』で「費用対効果」の観点から論じた作家・藤沢数希と、名門・麻布出身で歯に衣着せぬ発言が話題の経済学者・成田悠輔が語り合う。

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麻布出身で現在イェ―ル大学助教授の成田悠輔氏  


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――現代政治の問題点を鋭く指摘した処女作『22世紀の民主主義』がベストセラーになり、毒のあるコメントで、テレビ、ネット、ツイッターで大活躍の成田悠輔さんですが、経歴は麻布中学・高校から一浪して東京大学文科二類に合格、経済学部で最優秀卒業論文により大内兵衛賞を受賞。

その後、マサチューセッツ工科大学(MIT)でPh.D.(博士号)を取得と、日本人で最高峰の学歴を歩んでいるともいえます。あまり自らの受験体験についてお話しされたことはないと思いますが、

小学生の高学年の時に、かなり勉強されたんでしょうか? 

麻布の入試問題の特徴


成田 受験ネタには興味ないんですが(笑)、中学受験の時は受験前年の夏前から近所の塾に行った記憶があります。巣鴨だったか、ぼろっちいオフィスビルの2階分を借りてやってる小さな塾でした。半年は通っていたかな。当時は中学受験をする子が今ほど多くなく、3、4年生からみんなが塾へ行くというふうな雰囲気ではなかったです。 

藤沢 いやいや、確かに麻布に受かるのは中学受験が過熱している今のほうが大変かもしれませんが、成田さんが受験した90年代も、かなり難しかったことは間違いないですね。「男子御三家」のひとつに数えられる麻布の入試問題の特徴は、国語に顕著ですが、選択式の設問は少なくて、記述の比重がとても大きい。だから、成田さんは勉強しなかったと謙遜されていますが、持って生まれた国語力がそれにピタッとハマって、短期間の勉強で合格されたのだと思います。 

成田 大手の有名な塾には行ったことがないし、普通の模試を受けると全然駄目で、その結果からはE判定(=絶望的)みたいな感じでした。ただ、麻布などの実際の問題をみると、なんとなく答えがわかってくる、そんなようだった記憶があります。



学歴をコスパで考える


藤沢 日本で大学進学を目指すことになる子供の大半は、これは東京や大阪といった大都市圏に顕著ですが、中学受験を経て中高一貫校から大学受験するか、公立中学に進み、進学実績のある高校に入学してから大学に進学するかのどちらかになります。

私の最新刊『コスパで考える学歴攻略法』(新潮新書)では、各家庭が中学受験と高校受験のどちらを選択するべきか考え、それぞれの選んだ道で、子供が学歴獲得競争で勝つための戦略を論じています。日本社会においては、大学を出たか、どの大学かは、その後の人生において大きな意味を持ちます。知性というか仕事の実力があるかはさておき、世間にとってはわかりやすい「学力と真面目さ」の指標です。だから、それを獲得するのに親御さんがお子さんに多大な投資をするのはわかる気がします。それなら、費用対効果を考えて、うまくやろうよというのが本書の主旨です。 

〈藤沢氏の新刊は、中高一貫教育の利点、公立コースのコスパの高さとその弱点など、学歴を獲得するためのクールでドライな分析が読みどころのひとつ。たとえば、中高一貫教育の進学校に通うと、公立の中学、高校に行ったケースに比べて、いくら余計にかかり、どれくらい偏差値を上げることができたのかなどについても論じている。〉


1千万円で偏差値+3


公立コースor中高一貫校、大手受験塾or個人塾、東大理系or国公立医学部。

クールでドライな「損益計算書」。『コスパで考える学歴攻略法』藤沢数希/著

藤沢 いわゆる「受験エリート」がたどる典型的な道があります。幼稚園から公文(くもん)に入り、たとえば数学なら、小学4年生には中3の範囲まで終えてしまう。そして、小学校の高学年では、SAPIXとか浜学園といった有名塾に在籍してひたすら勉強し、開成、筑駒、灘、桜蔭なんかの名門中学に入るんですね。

その後、鉄緑会という東大受験専門塾に入って、中3までに高3の英語と数学の学習範囲をやっちゃう。それから、高1でもう1周、高2でさらにもう1周、受験の前の年までには、3周もして、東大の普通の学部に受かるようにする。そして、仕上げにもう1周して、東大理三に受かるようにする。

「受験エリート」は、特訓に特訓を重ねるアスリートみたいなもので、この超先取りとスパイラル方式のカリキュラムはやりすぎというか……。

 成田 日本の受験は「ペーパーテスト一発主義」だから、それに通れば他はなんでもいいんですよ。それなのに、そこに至る贅沢な時間の余白を、行きすぎた準備で埋めちゃって、もったいないなぁと。 

藤沢 中学と高校が公立でも、受かる人はちゃんと受かりますね。公立コースを進んだ子供たちは私立一貫校の生徒たちがやっている先取り学習をやっていないので、進度が遅い数学が弱点といえば弱点です。でも、逆にそれを克服すればいい。私立中高一貫校に通うと、公立中学→公立高校コースに比べて、約1千万円くらい余計に学費がかかりますが、学力がどれくらい変わるかというと、あるデータによれば、英数国の平均で偏差値3くらい。つまり、大学受験の偏差値+3は1千万円で買えるということかもしれません。





受験エリートは“過学習”


――麻布の生徒はがつがつ勉強するイメージがないのですが、成田さん、大学受験はどうでしたか?  

成田 中高6年間ほぼなにもやらなかったので、卒業するときに、一応センター試験は受けておいた方がいいと教師から教えられて受けました。結果は最悪で、ランダムに解答するよりも低い点数。有名国立大はみんな足切りされるという結果になって、不戦敗で受験終了となった記憶があります。高校ではそもそも学校の授業にもあまり行っていなかったので、高校卒業後しばらくふらふらしてから、ちょこっと大学受験の準備をしたという感じですかね。

 藤沢 私は地方の出身で、中高とほとんど勉強していなかったんですが、高3で一念発起し猛勉強して、大学入試はなんとかなったんです。それが日本のいいところ。一方、先ほどの「受験エリート」たちは“過学習”ですね。


東大合格で手に入るのは損なキャリア? 


成田 東大の試験問題って、ある種のセンスがあれば、全力で取り組めば半年でなんとかなるもんじゃないですか。東大に入っている人の上位4分の1くらいはそうなんじゃないかと思います。高1ぐらいで受けても受かる人もたくさんいるんじゃないでしょうか。 

藤沢 東大は1年に約3千人合格しますが、高1の時点で受かるような子は全国で100人、多くて200人前後かな。

 成田 東大生の5~10%という感じですかね。ただ、そういう人たちも含めて、「受験エリート」系の人たちは、なにかものすごい過剰な投資をしてるんじゃないかなという印象がありますね。それに、東大合格の最適化戦略によって手に入るのは、だいたい損なキャリアなんですよね。文系なら、少し前は官僚、ここ10年だとコンサルとか投資銀行ですかね。競争ばかり激しい高学歴コモディティ人材の墓場に突っ込んでいくのが典型的な東大生という、残念な印象があります。それに日本では、MITの博士号よりも、東大卒業のほうが断然評価されますが、Ph.D.に興味を持っている人なんて、人口の1%いればいいほうですね。「高学歴」が「偏差値の高い大学の学部を出た」という意味にすごく限定されてる。


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