さとう陽子さんは個展に向けて、いつも自身の感情や覚悟をきっぱりとした言葉で書いて送ってくれる。
年を経るにつれ、激しい感情を洗い流されたような画面から、それでもなお強い決意を秘めつつ世界を受け入れようとする柔らかく暖かい気持ちがふくよかに伝わってくる。
毎年定期的に個展を開いて作品を発表することーー画家にとってそれが日常的な作業であっても、否応なく社会の動きの中で発表するには一方的ということはない。今、この時代に、何を考え何を表現しているのか。。。時には数行の言葉で、またある時はメッセージや散文として、さとう陽子さんが発する言葉は強く優しい。
毎年恒例の六本木s+artsでの個展に向けて、さとう陽子さんのメッセージです。
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生きたいと願うこと
文化芸術は衣食住足りてからとよく言われる。しかし生きたいと願うこと自体が豊かなことではないのか。
私は本当に生きたいから制作をする。効率や勝敗や損得のような価値観ではつかめない、世界の多面的な捉え方の面白さやその深さを作品で表現することが出来るから、生き生きと生きられる世界は現実に確かにあると感じられるからだ。その時私の存在は認められているとも感じる。
誰もが生き生きと生きられる世界をもてること。それは一人ひとり自分の存在が無条件に認められると実感できることだ。そして本来の安心あるいは幸福というものは人ひとりでは得られない、個人のままの他者とのそういった実感の共有だと思う。
全ての人にそれぞれの生き方がある。それでも私は本当に生きたいと願う一人として、ともに行く。一人ひとりの存在に光があたる、そんな作品をつくっていく。
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さとう陽子ーじげんー
会期:2021年10月8日(金)ー10月17日(日)会期中無休
会場:s+arts www.splusuarts.com tel.03-3403-0103