邇邇芸命と木花之佐久夜毘売の間に生まれた御子のうち
火照命(ほでりのみこと)は『海の獲物を獲る男』という意味の
海佐知毘古(海幸彦)
火遠理命(ほおりのみこと)は『山の獲物を獲る男』という意味の
山佐知毘古(山幸彦)
として色々な獣を獲っていました。
そしてある時、弟である火遠理命が兄である火照命に言います。
『兄様、たまには道具を交換しましょうよ』
そんな事を言い出します。
『私は毎日、野山を駆け回っているけど、たまには釣りもしてみたいです。兄様道具交換しましょうよ』
すると火照命が
『何を言ってんの?そんな上手くいくはずないって!だいたい大事な道具をド素人のお前には貸せないってば』
火照命は断ります。
『え〜!ちょっとぐらいいいじゃない!なんだケチだな』
火遠理命は食い下がる。
あんまり食い下がるもんで兄様、遂に折れて
『しょーがない、じゃちょっとだけだぞ。だけど絶対上手く行かないって。普段やってないだからさ、そんなチャッチャッチャッなんて魚は釣れないからな。』
兄様にすれば、一度やらせたら上手くいかずに納得するだろうと思ったのでしょう。
そうして道具を交換してみます。
そしたら結局一匹も釣れません。
そりゃそうでしょ?
だいたいド素人なんですからね。
釣れないどころか、地球釣っちゃって。
いわゆる根掛かりてやつで、火照命の大事な釣り針失くしてしまいます。
昔なんか釣り針て言うと高価なもんですよ!
それに、それで生計立ててますから、これはえらい事やらかした。
『うわぁ!えらい事やってしもうた...』
顔面蒼白でアワアワしてるところに、お兄さん登場。
だいたい、こういうタイミングに登場するもんですよ。
『どうだ?やっぱりダメだろ?』
と火照命。
『あ...はぁ、一匹も獲れなかった』
火遠理命。
『だから言ったじゃん!無理ってば』
『いや、兄様釣れないどころか大事な針を失くしてしまい...』
まあ、これ当然兄様は怒ります。
『だから言わんこっちゃねぇ!だいたい魚だってド素人のお前に釣れるわけねぇわ!しかも釣り針失くしたって?こっちも商売道具なんだからな!許さんぞ!探してこい!海潜って探してこい!バカ』
烈火の如くブチ切れ。
これは困りました。
普段は山を駆け巡り獲物を追いかけている山佐知毘古ですから、あんな広い海から小さな釣り針を見つけるなんて無理ですよ。
それで探しても探しても見つからなくて困ってしまいます。
しかし兄様は『返せ!』と怒っています。
仕方ないと自分の十拳の剣を打ち砕いて五百本の釣り針を作って兄様に渡しますが、海佐知毘古は受け取りません。
金属製の針ですよ!
動物の骨を削ったりして作ったものじゃありませんよ!
金属製の方が良いでしょうに!
でも海佐知毘古は『元のやつ返せよ!』です。
で、困って更に千本作ったのですが、それでも兄様は許してくれません。
だいたい、道具を借りたからダメなんで、釣り針作れるなら最初から作ったら良かったんですよ!
火遠理命・山佐知毘古はどうする事も出来なくなってしまいましたよ。
これは困りました。
ま、それでグスングスンと泣き出します。
すると塩椎神(しおつちのかみ)が現れます。
『どうしましたか?』
『いや、実は...』と火遠理命は事情を話します。
すると塩椎神は『ほ〜それはそれは、では私が力になってあげましょう』
そして目が固く詰まった竹籠で舟を作って『これに乗りなさい』と言います。
そして塩椎神は火遠理命が乗った舟を押しました。
『途中まで行くと潮の流れに乗るから、その潮に乗って行くと、魚の鱗みたいな屋根をふいた海の神の宮殿があります。そこに行きなさい』
そう言いました。
『そこで宮殿の門の前に井戸がある、その井戸の前に桂の木があるから、そこに座って待っていれば海の神の娘が出て来て、色々取計らってくれるだろう』
そして釣り針を見つけてくれるかもわからないから必ず綿津見神(わたつみのかみ)のところへ行けと言うのです。
『わかりました!ではお言葉に甘えて行ってきます』
と、いうことで向かいます。
船旅をしていると、確かに塩椎神の言う通り魚の鱗みたいな屋根の宮殿が出て来ます。
そこで桂の木の上にちょこんと座って待つことにしました。
桂の木に登ってちょこんと座っていると、海の神の娘豊玉毘売(とよたまびめ)のお使いがやって来ます。
お使いは水を汲もうと井戸を覗きます。
すると井戸に人が映っている。
あらびっくり!
それはそれは麗しい男神がいる
『どうなされたのですか?』
お使いは尋ねます。
『いや、ちょっと水が欲しくて』
火遠理命は答えます。
そこで玉器に水を入れ『どうぞ』と差し出します。
ここで『あ、どうも』なんて水飲んでたら、豊玉毘売には会えないかもしれません。
そこで火遠理命は自分の首飾りをバラバラに解いて、玉を口に含みます。
それをモゴモゴやって吐き出したら、玉が器にくっついてしまったのです。
お使いの侍女はどうしてよいかわからず、豊玉毘売に話します。
豊玉毘売は『どうしたの?』と。
侍女は『外に水を汲もうと出てみたら、それは麗しい男性が居られて、水を差し出しましたら玉がくっついてしまって...』と事情を説明しました。
豊玉毘売も『え?一体どういう事かしら...』と外に出てみるわけです。
そんなこんなで火遠理命は豊玉毘売と会うことが出来ました。
邇邇芸命(ににぎのみこと)は木之花佐久夜毘売に一目惚れしてしまいましたが、今度は逆です。
豊玉毘売が火遠理命に一目惚れ。
『あ!このお方、素敵!』
と、まあこんな感じでしょうかね。
しかし火遠理命もビビっと来たのか、お互い見つめ合って暫く動けず。
豊玉毘売『まあ、この方素敵だわ』て事で、直ぐにお父様のところへ行きます。
『門のところに、麗しいお方がいらしたのお父様!』
『なんだと?よし!じゃあワシが見てきてやろう』
お父様と言うのが綿津見神(わたつみのかみ)と言う海の神様です。
そして火遠理命を見るや
『おぉ!天津日高(あまつひこ)の御子、虚空日高(そらつひこ)ではございませんか』
日の御子である事を一発で見抜いてしまいます。
『おい!豊玉毘売よ!このお方は大変高貴なお方だ!天照大御神様の系譜であらせられるぞ!』
と、まぁコレでお父つぁんは舞い上がる舞い上がる。
『大変だ!大変だ!こりゃ大変だ!』
大興奮状態です。
そんでもってどうしたかと言うと、アシカの皮の敷物を何枚も敷き詰めまして、アシカの皮ですからこれは超高級品ですよ!
そこに絹の織物を幾重にも重ねて立派な席を用意しました。
で、もってなんだかんだあったのですが結局、結婚させてしまいます。
そんでもって飲めや歌えやの大宴会ですわ。
そんな事やってたら三年も経ってしまいます。
『うわぁ楽しいな!』とか『これ美味いね!』とか言ってるうちに三年ですよ!
宴会やりすぎ!
三年程経過しますと、さすがに火遠理命も
『まてよ!何しに来たんだ?なんか大事な事を忘れているような...』
邇邇芸命は山の神の娘を嫁にしました。
火遠理命は海の神の娘を嫁にしました。
これが実はとても重要なんです。
邇邇芸命とて、葦原中国にはご縁がなかった訳ですね。
しかし山の神の娘を嫁にする事でご縁が一つ出来ました。
これ地上世界の山の神の神通力を頂いた。
その息子の火遠理命は海の神の娘を嫁にしました。
これにより海の神の神通力を頂いた。
そしてこの子孫は山の神、海の神の霊力を受ける事になります。
そしてその子孫である日の御子も正当な血統。
山の神、海の神に守られた正当な血統の御子がいよいよ統治する為の準備が出来たと言う事になります。
この時点で地上世界を統治するなど、まだまだです。しかも天皇にすらなっていません。
しかし、こうやって徐々に地上世界とのご縁を一つ一つ重ね、ご縁が固まって、準備万端となって神武天皇が即位するのです。
邇邇芸命や火遠理命などが初代天皇とならなかった理由は、実はこれにあるのだと言う事です。
地上世界ではまだまだニューカマー。
だから一つ一つご縁を固めて、やっと神武天皇の代になって即位するのです。
火照命(ほでりのみこと)は『海の獲物を獲る男』という意味の
海佐知毘古(海幸彦)
火遠理命(ほおりのみこと)は『山の獲物を獲る男』という意味の
山佐知毘古(山幸彦)
として色々な獣を獲っていました。
そしてある時、弟である火遠理命が兄である火照命に言います。
『兄様、たまには道具を交換しましょうよ』
そんな事を言い出します。
『私は毎日、野山を駆け回っているけど、たまには釣りもしてみたいです。兄様道具交換しましょうよ』
すると火照命が
『何を言ってんの?そんな上手くいくはずないって!だいたい大事な道具をド素人のお前には貸せないってば』
火照命は断ります。
『え〜!ちょっとぐらいいいじゃない!なんだケチだな』
火遠理命は食い下がる。
あんまり食い下がるもんで兄様、遂に折れて
『しょーがない、じゃちょっとだけだぞ。だけど絶対上手く行かないって。普段やってないだからさ、そんなチャッチャッチャッなんて魚は釣れないからな。』
兄様にすれば、一度やらせたら上手くいかずに納得するだろうと思ったのでしょう。
そうして道具を交換してみます。
そしたら結局一匹も釣れません。
そりゃそうでしょ?
だいたいド素人なんですからね。
釣れないどころか、地球釣っちゃって。
いわゆる根掛かりてやつで、火照命の大事な釣り針失くしてしまいます。
昔なんか釣り針て言うと高価なもんですよ!
それに、それで生計立ててますから、これはえらい事やらかした。
『うわぁ!えらい事やってしもうた...』
顔面蒼白でアワアワしてるところに、お兄さん登場。
だいたい、こういうタイミングに登場するもんですよ。
『どうだ?やっぱりダメだろ?』
と火照命。
『あ...はぁ、一匹も獲れなかった』
火遠理命。
『だから言ったじゃん!無理ってば』
『いや、兄様釣れないどころか大事な針を失くしてしまい...』
まあ、これ当然兄様は怒ります。
『だから言わんこっちゃねぇ!だいたい魚だってド素人のお前に釣れるわけねぇわ!しかも釣り針失くしたって?こっちも商売道具なんだからな!許さんぞ!探してこい!海潜って探してこい!バカ』
烈火の如くブチ切れ。
これは困りました。
普段は山を駆け巡り獲物を追いかけている山佐知毘古ですから、あんな広い海から小さな釣り針を見つけるなんて無理ですよ。
それで探しても探しても見つからなくて困ってしまいます。
しかし兄様は『返せ!』と怒っています。
仕方ないと自分の十拳の剣を打ち砕いて五百本の釣り針を作って兄様に渡しますが、海佐知毘古は受け取りません。
金属製の針ですよ!
動物の骨を削ったりして作ったものじゃありませんよ!
金属製の方が良いでしょうに!
でも海佐知毘古は『元のやつ返せよ!』です。
で、困って更に千本作ったのですが、それでも兄様は許してくれません。
だいたい、道具を借りたからダメなんで、釣り針作れるなら最初から作ったら良かったんですよ!
火遠理命・山佐知毘古はどうする事も出来なくなってしまいましたよ。
これは困りました。
ま、それでグスングスンと泣き出します。
すると塩椎神(しおつちのかみ)が現れます。
『どうしましたか?』
『いや、実は...』と火遠理命は事情を話します。
すると塩椎神は『ほ〜それはそれは、では私が力になってあげましょう』
そして目が固く詰まった竹籠で舟を作って『これに乗りなさい』と言います。
そして塩椎神は火遠理命が乗った舟を押しました。
『途中まで行くと潮の流れに乗るから、その潮に乗って行くと、魚の鱗みたいな屋根をふいた海の神の宮殿があります。そこに行きなさい』
そう言いました。
『そこで宮殿の門の前に井戸がある、その井戸の前に桂の木があるから、そこに座って待っていれば海の神の娘が出て来て、色々取計らってくれるだろう』
そして釣り針を見つけてくれるかもわからないから必ず綿津見神(わたつみのかみ)のところへ行けと言うのです。
『わかりました!ではお言葉に甘えて行ってきます』
と、いうことで向かいます。
船旅をしていると、確かに塩椎神の言う通り魚の鱗みたいな屋根の宮殿が出て来ます。
そこで桂の木の上にちょこんと座って待つことにしました。
桂の木に登ってちょこんと座っていると、海の神の娘豊玉毘売(とよたまびめ)のお使いがやって来ます。
お使いは水を汲もうと井戸を覗きます。
すると井戸に人が映っている。
あらびっくり!
それはそれは麗しい男神がいる
『どうなされたのですか?』
お使いは尋ねます。
『いや、ちょっと水が欲しくて』
火遠理命は答えます。
そこで玉器に水を入れ『どうぞ』と差し出します。
ここで『あ、どうも』なんて水飲んでたら、豊玉毘売には会えないかもしれません。
そこで火遠理命は自分の首飾りをバラバラに解いて、玉を口に含みます。
それをモゴモゴやって吐き出したら、玉が器にくっついてしまったのです。
お使いの侍女はどうしてよいかわからず、豊玉毘売に話します。
豊玉毘売は『どうしたの?』と。
侍女は『外に水を汲もうと出てみたら、それは麗しい男性が居られて、水を差し出しましたら玉がくっついてしまって...』と事情を説明しました。
豊玉毘売も『え?一体どういう事かしら...』と外に出てみるわけです。
そんなこんなで火遠理命は豊玉毘売と会うことが出来ました。
邇邇芸命(ににぎのみこと)は木之花佐久夜毘売に一目惚れしてしまいましたが、今度は逆です。
豊玉毘売が火遠理命に一目惚れ。
『あ!このお方、素敵!』
と、まあこんな感じでしょうかね。
しかし火遠理命もビビっと来たのか、お互い見つめ合って暫く動けず。
豊玉毘売『まあ、この方素敵だわ』て事で、直ぐにお父様のところへ行きます。
『門のところに、麗しいお方がいらしたのお父様!』
『なんだと?よし!じゃあワシが見てきてやろう』
お父様と言うのが綿津見神(わたつみのかみ)と言う海の神様です。
そして火遠理命を見るや
『おぉ!天津日高(あまつひこ)の御子、虚空日高(そらつひこ)ではございませんか』
日の御子である事を一発で見抜いてしまいます。
『おい!豊玉毘売よ!このお方は大変高貴なお方だ!天照大御神様の系譜であらせられるぞ!』
と、まぁコレでお父つぁんは舞い上がる舞い上がる。
『大変だ!大変だ!こりゃ大変だ!』
大興奮状態です。
そんでもってどうしたかと言うと、アシカの皮の敷物を何枚も敷き詰めまして、アシカの皮ですからこれは超高級品ですよ!
そこに絹の織物を幾重にも重ねて立派な席を用意しました。
で、もってなんだかんだあったのですが結局、結婚させてしまいます。
そんでもって飲めや歌えやの大宴会ですわ。
そんな事やってたら三年も経ってしまいます。
『うわぁ楽しいな!』とか『これ美味いね!』とか言ってるうちに三年ですよ!
宴会やりすぎ!
三年程経過しますと、さすがに火遠理命も
『まてよ!何しに来たんだ?なんか大事な事を忘れているような...』
さて、とても重要な部分
邇邇芸命は山の神の娘を嫁にしました。
火遠理命は海の神の娘を嫁にしました。
これが実はとても重要なんです。
邇邇芸命とて、葦原中国にはご縁がなかった訳ですね。
しかし山の神の娘を嫁にする事でご縁が一つ出来ました。
これ地上世界の山の神の神通力を頂いた。
その息子の火遠理命は海の神の娘を嫁にしました。
これにより海の神の神通力を頂いた。
そしてこの子孫は山の神、海の神の霊力を受ける事になります。
そしてその子孫である日の御子も正当な血統。
山の神、海の神に守られた正当な血統の御子がいよいよ統治する為の準備が出来たと言う事になります。
この時点で地上世界を統治するなど、まだまだです。しかも天皇にすらなっていません。
しかし、こうやって徐々に地上世界とのご縁を一つ一つ重ね、ご縁が固まって、準備万端となって神武天皇が即位するのです。
邇邇芸命や火遠理命などが初代天皇とならなかった理由は、実はこれにあるのだと言う事です。
地上世界ではまだまだニューカマー。
だから一つ一つご縁を固めて、やっと神武天皇の代になって即位するのです。