ヨーロッパの限りない大地

ヨーロッパの色々な都市を訪問した思い出をつづっていきたいです。

ピョートル大帝の夜(フォンテーヌブローにて)

2007-03-17 23:40:28 | フランス物語
建物内部を見学し終わり、外に出る。
入り口と建物の配置から考えると、いわゆる「裏庭」になってしまうが、もちろんヴェルサイユ宮殿などと同様、そんなちゃちい所でない。
本当に立派な庭園である。
建物と同時に、庭園にかけた手間も計り知れないものがある。
写真は「鯉の池」とその中のあずまや(パヴィヨン)だが、緑の中ぽつんとあずまやが浮かんでいるようにしか見えない。
ホロホロ庭園内を歩いている時に「いい景色だ」と思って撮ったのだろうが、どうもさえない。
見学ガイドの写真を見ると、フォンテーヌブローの建物と共に写された「鯉の池」とあずまやの写真がある。
さすがにいい構図を使っている。
残念ながら、そちらの方がよっぽどきれいである。

この池の名前は、アンリ4世の時代にここに鯉を持ってきたことに由来している。
そして16世紀から、この池は祝祭の舞台になり、水上槍試合や花火大会が行われたとのこと。
あずまやはルイ14世時代に建造された。
そしてナポレオンの時代に修復されたという。
1717年にはロシアのピョートル大帝もここを訪問している。
このあずまやでは夜食が用意されていたらしいのだが、「大帝らはそれまでに既にたらふく食べかつ飲んでいた」という記録がある。
当時の貴族はそんなものだったんだろうが、大帝のエピソードとして、改めてわざわざ記録に残しているのが面白い。
本当に当時の人も驚くほど、豪放磊落に痛飲し、暴食したんだろうな、と勝手に想像してしまう。

フォンテーヌブロー 二つのキーワード

2007-03-17 00:06:11 | フランス物語
写真の「ルイ15世の翼館」から建物の中に入っていく。
内部の装飾を一言で言うと、「イタリア、ルネサンスへの憧れ」となるだろう。
豪華絢爛な装飾はその強い気持ちをよくあらわしている。
面白かったのは、百合の花飾りをつけた象の絵だ。
この象はフランソワ1世の象徴とのこと。
全土にわたり他の全てのものよりも優れている権力をイメージしているとのことだ。

内部のことでもう一つキーワードを言うなら
「勤勉なナポレオン」くらいだろうか。
「ディアナの回廊」という見事な天井画と、地球儀が印象的な図書室がある。
ここの蔵書はもともとナポレオン1世の蔵書であった。
また地球儀も彼がチュイルリー宮殿で使用していたものだという。
あとナポレオン関係では、「浴室の通り抜け」も印象に残った。
ここに小さな浴室がある。
彼は深夜にまで執務した後、陽光が射してくると、風呂を要求した。
そして5時に再び横になり、遅くとも7時には目を覚ました、という回想録がある。

そんな勤勉な彼も、「皇帝の私室」(別名「退位の間」)で1814年4月6日、退位証明に署名し、同年4月20日、馬蹄形の階段そばでの儀式のあとエルバ島に向けて出発する。
そう思うと、この部屋の、これまた小さな丸テーブルが、物悲しくなってくる。