こないだ、椎葉観光協会から、九大演習林で行われる公開講座の案内が来たのである。これは、椎葉観光協会が運営する、「椎葉すき人」というファンクラブ(会費等無料)に入っているので、定期的にイベント情報を送付してくれる。
定員先着20名ということなので、早速電話してみた。
「あの~、九大公開講座の空はありますか?」
「はい、大丈夫ですよ」
「椎葉すき人、会員番号3〇〇のN村ですが、申し込みをお願いします」
「ファンクラブの方は、割引があります」
ということで、申し込んだ。あとは、天気だけだな。山靴・防寒着・雨具(天候次第)は必須である。ヘルメットは、貸してくれる。
福岡⇒椎葉は車で4.5Hくらいかかる。12:30までに椎葉村に到着しないとならないので、早朝6:30に出発した。途中で飯を食べたり、交通事情で延着も考えられるからな。
幸い渋滞等なく、若干早めに椎葉村観光駐車場に到着した。ここは、水洗トイレも完備されているので助かる。
ここで受付・支払いを行った後に、マイクロバスで演習林付近にある、九大の研究棟に移動する。
車で50分ほどかかる、山の中である。ここには大学職員(教授・准教授等)が常駐し、演習林でいろいろな実験・観察・研究を行っている。
シカがお出迎え。左はエゾシカで北海道に生息しています。右はキュウシュウジカで一回り小さいですね。
単なる観光ではないので、森林に関する授業があります。ノートを熱心にとる人、じっと聞いている人、さまざまです。
九大は椎葉村内に広大な演習林を持っていますが、一般人は立ち入り禁止となっています。このようなインストラクターがついての場合は立ち入りが許されますが、すべての地区(林班という)に立ち入ることができるわけではなく、指定された林班内で活動が許されるということです。今回は、栂の木歩道コースと、郵便歩道コースを歩きます。
「恒例の自己紹介をやります。一人一人一言、お願いします」あー、やっぱりきたか。
「F岡から来たN村です。演習林というのはどういう所か知りたかったので参加しました」
ぱちぱちぱち~、みたいな。その後、1時間ほど講義があってから現地に移動です。久しぶりに、大学の教授らによる講義を受けました。
「では、演習林に移動します、バスに乗って下さい。今日は、栂の木歩道コース(35林班)に行きます」
参加者13人+観光協会引率者+大学関係者4人(だったかな)で歩きます。緊急事態に備えて、AEDも準備されています。
「山ヒルがいるので、靴にヒルよけスプレーをした方がいいです」
「貸して下さい」たまに、ヒルに食われる人もいるようです。
この立入禁止の看板の所から入山します。
シカネットが張っています。一番問題になっているのは、野生のシカが増えすぎて生態系が崩れていっているということだそうです。オオカミの絶滅、ハンターの減少、温暖化による個体数の増加(小鹿の生存率が非常に高くなっている)のため、笹が食べつくされ木の芽も成長する前にすべて食べられてしまうとのこと。ネットの向こうは下草も多く、森が成長しているように見えますが、手前のシカ生息域では老木しか残っていません。このままだと森がなくなってしまいます。
これは、シカ生息域に植林した木の芽に取り付けていた個体識別用のリングです。本体はとうに食われて、金属のリングだけが残されています。こういったリングが無数にあります。
「シカの増加を抑えられないのですか」
「天敵がいないので、増加の一途ですね。殺鼠剤みたいなシカの毒を開発した企業もあったみたいですが、同じ生息域の天然記念物ニホンカモシカも殺す可能性があるので、採用されていません」
「オオカミを放すとか」(ちなみにニホンオオカミは絶滅している)
「アメリカの国定公園では、そういう実証実験も行っていて、効果が出ていますが日本では難しいでしょうね。なにかあったら、それを許容できるかという問題があります」
「アメリカは国土が広いからできるのでしょうね」
ということで、決定的な解決策は無いようである。
ヘルメット軍団が森を進んでいきます。道はありますが、ハイキング用ではないので、急な斜面や道幅の狭い個所も多く、気を付けて進んでいきます。みなさん、それなりの山靴を準備しているので、難なく登っていきます。
時々停止して、木の名前や生態系などについての説明があります。熱心にメモを取っている人が数人いますが、あまり知識のないN村は、感心しながら聞いています。(メモとらんのか)
いろいろな種類を植林し、その成長過程を調べます。
「この木は、何の木か分かりますか?」
「たぶん、白樺じゃないかと」
「そうです、北海道の白樺を移植して成長過程を調査しています」
「なんか白い部分が少なくて、綺麗じゃないですね。それに、朽ちている白樺も多いようです」
「南の地が気温が高いので、白樺は良く成長すると考えられましたが、実際は成長が阻害され枯れてしまう木も多いと分かりますね」
「このバケツは?」
「雨水が、どのくらい土をはねるかの観察です」
「手作り感、満載ですね」
「いろいろ知恵を出して、観測機器を作っています」
山の中といっても、栂の木歩道コースは携帯電話の電波が来ていてエリアになっています。
あれ、何の鳥の羽なのだろうか? ちなみに、鳥に興味のある人はいないようでした。そっと下に置き、先を急ぎましょう。
山歩き、いや公開授業後は懇親会タイムです。ここに努めている、パートさんが食事を作ってくれました。鶏から、椎葉名物「采豆腐」、しいたけ・たけのこなどの煮物が盛りだくさんである。食べた後は自分で片付けし、食器は洗います。まるで、YH(ユースホステル)のようだな。学生自体はYHをよく利用していたので、このあたりは慣れたものだ。
「よかったらビールもどうぞ」
「あら、ビールも用意してくれたんですね」
「いや、これは個人的に差し入れです」(観光協会の人が、差し入れしてくれたようだ。有難いなぁ)
「椎葉の演習林特製のTシャツがあります。1枚千円で販売しているので、よかったらどうぞ」
「この、シカTシャツ下さい」
「この、火の用心Tシャツもいいですよ」
「これは、実際にある看板を元にデザインしたものです」
なかなかレアものであるが、1枚のみにしておいた。各地の演習林では独自のTシャツを作っており、職員がデザインするそうだ。
食事後は、適宜風呂に入ります。カランは5つあるので、最大5人くらいでしょうか。温泉ではなく普通の沸かし湯ですが、すでに湯温が下がっていたので、自分で熱い湯わ足し湯します。
部屋は男女別のドミトリーである。
ベッドメイキングと、片付けは自分で行う。このあたりも、YHの掟といっしょだ。
寝ようと思ったら、同室者のいびきで寝そびれた。さらに朝6時に誰かの目覚ましが、けたたましく鳴っているのだが、本人気づかず相変わらずの高いびきである。約、5分鳴り響いて止まったけど、眠れずに早朝散歩に行くことにした。
第2日目につづく
定員先着20名ということなので、早速電話してみた。
「あの~、九大公開講座の空はありますか?」
「はい、大丈夫ですよ」
「椎葉すき人、会員番号3〇〇のN村ですが、申し込みをお願いします」
「ファンクラブの方は、割引があります」
ということで、申し込んだ。あとは、天気だけだな。山靴・防寒着・雨具(天候次第)は必須である。ヘルメットは、貸してくれる。
福岡⇒椎葉は車で4.5Hくらいかかる。12:30までに椎葉村に到着しないとならないので、早朝6:30に出発した。途中で飯を食べたり、交通事情で延着も考えられるからな。
幸い渋滞等なく、若干早めに椎葉村観光駐車場に到着した。ここは、水洗トイレも完備されているので助かる。
ここで受付・支払いを行った後に、マイクロバスで演習林付近にある、九大の研究棟に移動する。
車で50分ほどかかる、山の中である。ここには大学職員(教授・准教授等)が常駐し、演習林でいろいろな実験・観察・研究を行っている。
シカがお出迎え。左はエゾシカで北海道に生息しています。右はキュウシュウジカで一回り小さいですね。
単なる観光ではないので、森林に関する授業があります。ノートを熱心にとる人、じっと聞いている人、さまざまです。
九大は椎葉村内に広大な演習林を持っていますが、一般人は立ち入り禁止となっています。このようなインストラクターがついての場合は立ち入りが許されますが、すべての地区(林班という)に立ち入ることができるわけではなく、指定された林班内で活動が許されるということです。今回は、栂の木歩道コースと、郵便歩道コースを歩きます。
「恒例の自己紹介をやります。一人一人一言、お願いします」あー、やっぱりきたか。
「F岡から来たN村です。演習林というのはどういう所か知りたかったので参加しました」
ぱちぱちぱち~、みたいな。その後、1時間ほど講義があってから現地に移動です。久しぶりに、大学の教授らによる講義を受けました。
「では、演習林に移動します、バスに乗って下さい。今日は、栂の木歩道コース(35林班)に行きます」
参加者13人+観光協会引率者+大学関係者4人(だったかな)で歩きます。緊急事態に備えて、AEDも準備されています。
「山ヒルがいるので、靴にヒルよけスプレーをした方がいいです」
「貸して下さい」たまに、ヒルに食われる人もいるようです。
この立入禁止の看板の所から入山します。
シカネットが張っています。一番問題になっているのは、野生のシカが増えすぎて生態系が崩れていっているということだそうです。オオカミの絶滅、ハンターの減少、温暖化による個体数の増加(小鹿の生存率が非常に高くなっている)のため、笹が食べつくされ木の芽も成長する前にすべて食べられてしまうとのこと。ネットの向こうは下草も多く、森が成長しているように見えますが、手前のシカ生息域では老木しか残っていません。このままだと森がなくなってしまいます。
これは、シカ生息域に植林した木の芽に取り付けていた個体識別用のリングです。本体はとうに食われて、金属のリングだけが残されています。こういったリングが無数にあります。
「シカの増加を抑えられないのですか」
「天敵がいないので、増加の一途ですね。殺鼠剤みたいなシカの毒を開発した企業もあったみたいですが、同じ生息域の天然記念物ニホンカモシカも殺す可能性があるので、採用されていません」
「オオカミを放すとか」(ちなみにニホンオオカミは絶滅している)
「アメリカの国定公園では、そういう実証実験も行っていて、効果が出ていますが日本では難しいでしょうね。なにかあったら、それを許容できるかという問題があります」
「アメリカは国土が広いからできるのでしょうね」
ということで、決定的な解決策は無いようである。
ヘルメット軍団が森を進んでいきます。道はありますが、ハイキング用ではないので、急な斜面や道幅の狭い個所も多く、気を付けて進んでいきます。みなさん、それなりの山靴を準備しているので、難なく登っていきます。
時々停止して、木の名前や生態系などについての説明があります。熱心にメモを取っている人が数人いますが、あまり知識のないN村は、感心しながら聞いています。(メモとらんのか)
いろいろな種類を植林し、その成長過程を調べます。
「この木は、何の木か分かりますか?」
「たぶん、白樺じゃないかと」
「そうです、北海道の白樺を移植して成長過程を調査しています」
「なんか白い部分が少なくて、綺麗じゃないですね。それに、朽ちている白樺も多いようです」
「南の地が気温が高いので、白樺は良く成長すると考えられましたが、実際は成長が阻害され枯れてしまう木も多いと分かりますね」
「このバケツは?」
「雨水が、どのくらい土をはねるかの観察です」
「手作り感、満載ですね」
「いろいろ知恵を出して、観測機器を作っています」
山の中といっても、栂の木歩道コースは携帯電話の電波が来ていてエリアになっています。
あれ、何の鳥の羽なのだろうか? ちなみに、鳥に興味のある人はいないようでした。そっと下に置き、先を急ぎましょう。
山歩き、いや公開授業後は懇親会タイムです。ここに努めている、パートさんが食事を作ってくれました。鶏から、椎葉名物「采豆腐」、しいたけ・たけのこなどの煮物が盛りだくさんである。食べた後は自分で片付けし、食器は洗います。まるで、YH(ユースホステル)のようだな。学生自体はYHをよく利用していたので、このあたりは慣れたものだ。
「よかったらビールもどうぞ」
「あら、ビールも用意してくれたんですね」
「いや、これは個人的に差し入れです」(観光協会の人が、差し入れしてくれたようだ。有難いなぁ)
「椎葉の演習林特製のTシャツがあります。1枚千円で販売しているので、よかったらどうぞ」
「この、シカTシャツ下さい」
「この、火の用心Tシャツもいいですよ」
「これは、実際にある看板を元にデザインしたものです」
なかなかレアものであるが、1枚のみにしておいた。各地の演習林では独自のTシャツを作っており、職員がデザインするそうだ。
食事後は、適宜風呂に入ります。カランは5つあるので、最大5人くらいでしょうか。温泉ではなく普通の沸かし湯ですが、すでに湯温が下がっていたので、自分で熱い湯わ足し湯します。
部屋は男女別のドミトリーである。
ベッドメイキングと、片付けは自分で行う。このあたりも、YHの掟といっしょだ。
寝ようと思ったら、同室者のいびきで寝そびれた。さらに朝6時に誰かの目覚ましが、けたたましく鳴っているのだが、本人気づかず相変わらずの高いびきである。約、5分鳴り響いて止まったけど、眠れずに早朝散歩に行くことにした。
第2日目につづく