中華製の1セグチューナーが格安で売られていて、ゾックスという横浜の会社が扱っているDS-DT310を購入した。自分が買ったのは、送料込みで千円ちょっとだった。パソコンのUSB端子に接続し、付属のソフトをインストールするとTVの1セグと、FMラジオが聞けるというものだ。
本体とソフトが入ったCD、それに簡単なロッドアンテナが付属している。外部アンテナ端子が接続できるような変換ケーブルもついているので、必要なものはすべて揃っている。
TVを受信しようとしたら、添付の簡易アンテナじゃ厳しいだろう。よっぽどTVの送信所の近くとか、ロケーションのいい場所に住んでいない限り、安定した視聴は難しいように思える。あまり知識のない人が買うと「なんだ全然使い物にならないぞ」ということになる。実際、商品の評価には「使えなかった」みたいなコメントも並んでいる。
安定して使いたかったら、UHFアンテナからのケーブルを分波器で分けて、1セグに入力することになる。昔のVHF-TVのアンテナも立っていて混合していれば、FMも良好に受信できるかもしれない。我が家は、VHF-TVのアンテナは撤去済みだが、FM専用の5素子八木を設置し混合して引き込んでいるので、1セグ・FM共にすこぶる良好に視聴できている。
ま、専用のソフトを使えば、説明書通りの動作をするのだが、今回は魔改造を加えることにする。実は、この1セグは、チューナー部分に台湾のFC0013というICを使っていて、なんと50MHz~1100MHzくらいを受信可能なほどの力を持っているらしい。
さらに、復調用のICは、Realtek社RTL2832Uを使っているので、ソフト的に改造を加えると、SDR(ソフトウェア受信機)化することができる。ただし、元々のソフトは使えなくなるので、1セグは見られなくなります。それでもいい方は、続きをお読み下さい。
詳細は、以下のHPを参照しました。
http://trashbox.homeip.net/nownow/20130316/
しかし、公開から年月が経っているので、リンクがことごとく切れており、該当のソフトを探すのは困難でした。いろいろ試行錯誤して、SDR化をしたので備忘録として残します。ただし、SDRのソフトは無料なるも開発が続いているようなので、この方法がいつまで有効かは不明です。
とりあえず、必要なファイルは以下のものです。
①Zadigで、RTL2832Uのドライバを「Universal Serial Bus Devices」にインストールします。付属のソフトで
インストールしたことがあれば、RTL2832Uは「サウンド、ビデオ、及びゲームコントローラ」の部分にインストールされているはずです。Zadigで失敗したら、元々のドライバを一旦削除してからトライします。間違えて、違うドライバを削除しないように注意しましょう。
Zadig Driverは、以下のHPからダウンロードしました。
https://sourceforge.net/projects/libwdi/files/zadig/
ここで注意するのは、「Options」⇒「List all devices」を選択し、リストの中からRTL2832Uを指定します。もしListになければ、ワンセグチューナーが接続されていないので、USB端子に接続します。
初期画面は、こんな感じです。
↓ こうなったらOK。
第一歩は終了です。RTL2832Uは、「Universal Serial Bus Devices」の配下にありますね。なので、元々のソフトでは1セグチューナーを認識できなくなって、動作しなくなります。元に戻したかったら、「サウンド、ビデオ、及びゲームコントローラ」配下にインストールし直す必要があります。←ここが、ポイント。
次に、SDRのソフトを探しにいきましょう。OsmocomSDRのHPは以下の通りです。
https://osmocom.org/ すべて英語です。オープンソースとなっており、日々開発が進行しているようです。この中から、目的のソフトを探さないとなりません。今回のソフトをダウンロードしたurlは、都度記載しますが、いつまで有効かわかりません。また、ソフトはアップデートされるので、後日試したらうまくいかなかったということは十分にありえます。その時は、試行錯誤して探して下さい。
②SDRSharpのInstaller.exeを探します。以下のHPで発見しました。ちなみに、ここで紹介するソフトは、フリーなのでインストールや使用については自己責任でお願いします。
https://sdrchile.cl/en/
installer.exeを実行します。インストールが完了するとアイコンがデスクトップに作られます。しかしクリックしてもロゴが一瞬現れて、すぐに消えると思います。
③Pluginを探します。rtl-sdr-64bitは、以下のHPよりダウンロードしました。64bitの最新バージョンを選択します。(自分のパソコンが64bitのため)
https://ftp.osmocom.org/binaries/windows/rtl-sdr/
解凍したらファイルを全選択し、CドライブにできたSDRSharpのフォルダーにコピーします。この時、同じ名前のファイルがあるのでどうするか?と聞いてくるので、上書きはしません。(これ大事、上書きすると動作しません)
④SDRSharp-x86を探します。以下のHPからダウンロードしました。
https://airspy.com/download/
全ファイルを選択し、CドライブのSDRSharpフォルダにコピーします。同名のファイルはすべて「上書き」します。(必ず上書き)
これで、デスクトップのSDRSharpのアイコンをクリックすると、SDRが起動して以下のような画面になります。これは、元々のソフトで対応していなかった、90MHz台の拡張FM帯です。KBCとRKBラジオが見えていますね。復調をWideFMにすると、綺麗な音でラジオが聞こえます。
ということで、千円ちょっとで広帯域受信機の完成です。Windows10とWindows7パソコンで動作しましたが、Windowsxpは動作不可です。また、ソフトは起動するが動作しない場合は、1セグチューナーを直接パソコンのUSB端子に接続してみて下さい。USBハブを使っていると、動作しない場合があります。
業務無線はほぼデジタル化してしまいましたが、マリンバンドやエアバンドは、アナログ波なので高感度で聞こえました。電波法を守って、通信の秘密に関して内容を他人に漏らしてはいけません。FMラジオ以外の電波を聞こうとしたら、アンテナが重要なのは言うまでもありません。
この1セグチューナーをSDR化するにあたっては、自己責任にてお願いします。状況が変化しても、(この方法で不可であっても)対応は致しかねます。
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ゾックス社は、本年(2020年)清算したようです。流通在庫だけになると思うので、1個追加で購入しました。
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2021/5/5追記
Windows7パソコンで動作しなくなり、復旧を試みるも失敗しました。Windows10パソコンでは動作してます。