かつては、海外旅行の際のステータスの感があったキャリーバック。今では老いも若きも、海外旅行はもちろんのこと、ビジネスから買い物にいたるまで日常的に使われるようになりました。
思えば、私が初めて海外旅行に行ったのは30年ほど前ですが、当時キャリーバックは高級品でしたから、購入するというよりはレンタルするものでした。それを思うと、今ではキャリーバックは随分安価になり大きさも小さいサイズもでき、すっかり様相が変わりました。
私自身、宿泊を伴う時と日帰りの時とで2種類のキャリーバックを使い分けていますから、日常的にキャリーバックを使用していることになります。
ところで、このキャリーバックですが、使用する人が増えるにしたがい、トラブルも増加しているようです。消費者センターの報告によると、様々なトラブルが起きていることがわかります。
例えば、キャリーバックを引いている若い男性の後ろを歩いていた60代の女性が、突然その男性が立ち止まったか方向転換したためキャリーバッグに激突し、頭から転倒、救急車で病院に搬送され全身打撲と診断された例や、空港の長い下りエスカレーターで上からキャリーバッグが落ちてきて転倒したりと、トラブルには枚挙にいとまがないようです。
私自身も新幹線に乗っている時に、ストッパーがかかっていなかったのか、キャリーバックが持ち主から離れて車両の中で1人で散歩?して、そこにたまたま車内販売のカートが通りかかり、キャリーバックとぶつかってしまうのを目撃したことがあります。
また、つい先日は満員電車で座っている外国人が自分の足下に寄せていたキャリーバックの上に、近くに立っていた人が急ブレーキによってバランスを崩し、椅子に座るかの如くキャリーバックの上に座ってしまった人を見かけました。
東京都生活安全課が2012年に行ったアンケートによると、キャリーバッグで「不快な思いをさせられた」人は16%で、「不快な思いをさせた」「させそうになった」人(3%)を大きく上回っています。つまり、この数値の差は、他人に迷惑をかけていても気づいていない人がたくさんいることを示しているわけです。
この話を知り合いにしたところ、「キャリーバックの使用にはもはや免許が必要だと思う。キャリーバックを購入する時には、免許を見せなければ購入できないようにできないものか」と言いました。
私もこの意見には全く同感です。車の運転免許のようにキャリーバックの使用にかかるルールを確認し、実技指導も設けて合格者のみに使用免許を与え、さらに定期的に免許を更新しなければならない方法がとれないものかと、冗談半分、本気半分で考えています。
この例のように、私たちの職場においても一昔前には全く問題として顕在化しなかったことが時代の流れと共に状況が変化し、段々と問題になってしまうことが多々あります。そういう時には、私たちは問題の本質を的確に捉え、状況に合わせてルールを見直したり、新たなルールを設定するなどの対応が必要です。
キャリーバックの使用を免許制にすることは実際には無理だとしても、使う人が今一度安全な使い方を確認できるような方法があるといいのにと思っています。皆さんはいかがですか。
(人材育成社)