「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。
「解決策を教えてもらえると思っていたので、正直ちょっと残念でした」
弊社ではこれまで規模の大小を問わず、様々な研修を担当させていただいているのですが、特に問題発見・課題解決研修の場合、終了後の受講者アンケートでこうした感想をいただくことがあります。
また、昨今では中小企業の経営者とお話をする際に、「厳しい競争環境の中で、早く社員を育てる即効薬はないか」と聞かれることも多々あります。
冒頭の感想はどんな研修にもついて回る可能性はありますが、研修講師としては受講者から「せっかく研修を受けたのにこちらの期待に添えていなかった」との感想をいただくと、率直に申し訳ないとの気持ちになります。
しかし、現実問題として日々様々な職場でビジネスパーソンが直面している問題課題は千差万別です。当然、そのすべてに解決策を示すことは困難です。
研修の中でそうした問題・課題を類型化して、ケーススタディの事例として解決策を示して、それを参考にしていただくことはできます。しかし、当然それですべてのケースを網羅できるものではありません。
ここで、冒頭の感想および中小企業の経営者の質問に対する答えとして、特に人材育成に係る研修の場合、今ある問題への答えを示すことも大事です。しかし、それ以上に大切なのは問題を発見し、課題を解決する力を身に着けていただくことです。研修はそのきっかけとなるものである、弊社ではそこに重点を置いています。
もちろん、直面している問題・課題についてはきちんと対応し解決することが大事です。先ずはそれを乗り越えなければなければならないのは当然です。
しかし同時に、問題の本質を捉えることなく、いつまでたっても対処療法的に目先の対応を繰り返していては、解決力が身につきません。その結果、絶えず問題の対処に追われるという事態が続いてしまうことが危惧されます。
その意味でタイトルの例で言えば、研修は必ずしも即効薬(もちろんそのケースもあります)にはなりにくいです。しかし、たとえば基礎となる体力をつけて病気になりにくくする、病気になっても早く快復できるようになることが目的であり、そのためのきっかけとするものです。
今後、人材不足をはじめ経営環境がますます厳しくなることが予想される中で、研修に社員を派遣することは一見遠回りのように思えるかもしれません。
しかし、生産性を向上させ業績のアップにつなげるためにも、研修を通じて個々の社員の「基礎体力」を向上させ、それによって職場の、最終的には会社全体の業績の向上をめざすというステップは欠かせないものであると考えています。