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第962話  研修再開の経営者の指針

2020年10月07日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「『今日からあなたは係長です』」と言われて、4月に係長になりました。しかし、半年たった今も係長に求められる役割が理解できずにいます」

これは、先日あるサービス業に勤めるAさんから聞いた言葉です。Aさんは3月までは主任だったそうですが、4月に係長に昇格したとのことです。例年は5月に新任係長研修が実施され、その中で係長の役割をはじめ、部下指導の方法などを学ぶことができるそうです。

しかし、今春はコロナ禍によりその研修が見送りになり、その後も実施されずに今日に至っているとのことです。このため、Aさんは関係する書籍を読んだりオンライン研修を自ら受講したりすることによって、監督者として身に着けるべき知識を自ら学んでいるとのことでした。

しかし、Aさん自身は上記のようにしっくり来ない状況が今でも続いているとのことです。

その訳を聞いてみると、「コロナ禍で研修が中止になったことは致し方がないことです。しかし、今後研修はどうするのか、今年度はこのまま中止となるのか、それとも再開の予定があるのか、またはコロナの感染人数などによって判断するのかなど、会社が今後の方向性を社員へ示すことがないままでいることが気になる」とのことでした。

先日、東京商工会議所が実施した「コロナ禍での従業員研修の実施状況やオンライン研修に関する動向や課題」にかかるアンケート調査の結果が発表されました。それによると、今年度は4割弱の企業が研修を実施しておらず、さらにそれらの企業の7割弱の企業が研修の再開時期について、特に決まっていないと回答しているとのことでした。

この調査結果から考えるのは、コロナ禍において企業が研修を実施する・しないにしても、再開する・しないにしても、その判断に至るまでには様々な検討をしたことと思います。

そのため、研修を行わない・再開していないということ自体が問題だとはいうことでは決してないはずです。

しかし、Aさんの会社のように今後の方向性を社員に全く示していないということになると、そのことが社員のモチベーションに大きく影響してしまうのではないかということが懸念されます。

もちろん、社員が学ぶ機会は会社が提供する研修だけではなく、様々な方法や手段があります。もちろん研修だけがすべてというわけではありませんし、Aさんの例ように本人のやる気次第で、いくらでも学びの機会はあります。

コロナ禍を受けて、会社の経営判断として研修の再開を今しばらく見送るということであれば、やむなしとして受け入れられるでしょうし、代わりに自分で頑張ろうと思う社員も少なくないはずです。

しかし、社員にとって一番不安で、またAさんのようにすっきりしないのは、今後の方針がいつまでたっても示されない状態が続くことなのではないでしょうか。こうなると、自らが前向きに取り組もうとするかどうかの判断もしにくいことになってしまいます。

コロナ禍により、なかなか先が見通せない状況が続いていますが、研修に限らずどういう状態になったらどうするといった方針を経営者が明確に示すことが、社員を安心させるとともにやる気にもつながる大切なことだと思います。

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