「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「質問があるのですが・・・」
弊社が研修やセミナーを担当させていただくと、プログラムの終了後にこう言いながら受講者が私のところにいらっしゃることがあります。
ところが質問に答えるために話を聞き始めると、実際は研修に関する質問というよりは自身の仕事や職場の問題点などについて話される方が少なくないのです。
私の方では状況を把握するためにいくつか質問をしたり、「お忙しいのですね」・「それは大変ですね」というように相槌を打ったりするのです。そうして一しきり話をされると、「ありがとうございました」と満足した表情で帰っていく方が結構多いと感じています。
また、「問題発見・課題解決」をテーマにした研修の終了後のアンケートや感想文に、「職場の異なる人との仕事の状況がわかってよかった」、「職場には様々な問題があるのだと思った」、「仕事が大変なのは自分だけではないことがわかって安心した」というように、テーマそのものに関する以外の感想が記入されていることも珍しくありません。
こうしたことを受けていつも思うのは、もちろん自分自身が抱える問題を解決する糸口を見つけたいということはあるのだと思いますが、同時に自分自身が置かれている(大変な)状況について共感をしてくれる人を欲しているのではないかということです。
そしてそうであるならば、必ずしも集合研修というスタイルをとらなくても社内で情報交換会や情報共有会というような名目で、もっと気軽に集うことができる場があれば、それだけでも十分に意味のある場・時間になるのではないかと思っています。
とはいうものの、実際には誰がその音頭をとるのか、そこで出てきた問題をどのように解決させるのかなど開催には様々なハードルがあります。どの組織にとっても研修以外の場でこれらの場や時間を設定することはそう簡単ではないようで、実施しているという話を聞くことはあまりないのが実情です。
最近では、コロナ禍によってテレワークを導入する企業が一気に増えました。いずれの企業でも、テレワークにおけるコミュニケーションを活発にするための工夫はしているようです。しかしそれは主に上司から部下への仕事の指示命令であったり、部下から上司への報告や相談したりすることが中心になっているようです。
もちろんそうしたコミュニケーションはとても重要ですが、同時に同じような階層の人同士が悩みを共有したりする場を意識的に設けるようにしないと、一人で問題を抱えこんでしまったりします。また自身だけが大変だと感じてしまったりするなど視野が狭くなってしまうことが懸念されます。何より一人だけで考えていたのでは問題解決の糸口を見つけることは簡単ではないはずです。
今後コロナ禍が収束したとしても、多くの企業では引き続きテレワークが継続されることでしょう。
そうであれば、なおさら直接接点を持つ上司と部下の関係のみならず仕事上で直接的には接点がない他部署の人や、同じような階層の人とも定期的に情報交換ができる場を設けることも大切です。それに向けて具体的に取り組んでいくことが企業のさらなる成長につながるということをきちんと認識する必要がありそうです。