「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
渋沢栄一といえば2021年の大河ドラマの主役ですが、私にとっては著書「論語と算盤」(ろんごとそろばん)の著者というイメージです。この本の趣旨は、資本主義は放っておくと金儲け一辺倒になりがちなので、論語の根幹である道徳を以て商売をコントロールしなければならないというものです。
そのことを強く感じたのは、次のような売り込みメールが送られてきたときです。
「新規顧客開拓の新しい形『AI営業代行サービス』、開封率100%」
「新規開拓をしたい、営業コストを削減したい。でも、コロナの影響で十分に活動できない・・・そうした悩みを解決する営業代行サービスです」
開封率100%⁉ 営業で困っている会社にとっては、驚きの数字ではありませんか。その理由は「なぜ効果が出るのか?」という一文を読むとよくわかります。
「私共のサービスはメール送信とは違い、WEBサイトにあるお問い合わせフォームに対してメッセージを送ります。お問い合わせフォーム経由の場合は、ほぼ100%相手様に届きますので、開封率も高く非常に効率がいい営業手法なのです」
・・・そうです。企業がお客様からの声を受け取るために作った「お問合せ」に、売り込みのメッセージを送りつけるのです。
もとより「お問合せ」フォームは、その会社の「お客様窓口」のようなものです。その窓口にやって来て何かを売りつけようとするのは、商道徳上いかがなものかと思います。
もちろん、それを禁止するルールはありません。しかし「売り込みは等は硬くお断りいたします」と明示してある「お問い合わせ」は少なくありません。
実は当社の「お問い合わせ」フォームにも毎日のように「売り込み」が書き込まれています。当社の対応は、そうした書き込みをされた会社については今後一切信用しませんし、以降メールを受け取ることもいたしません。
「お問い合わせ」経由で売り込まれることを歓迎する会社もあるかもしれませんが、ほとんどは迷惑の一言に尽きるのではないでしょうか。
仮にこのサービスを利用して多少の成果があったとしても、それ以上に信用を損ねることになると思います。お金を払って自分の会社に泥を塗るようなものです。
ネット経由でビジネスが行われる時代だからこそ、渋沢栄一の言う「論語」の精神がより大切なのです。「不誠実に振る舞うべからず」「自己の利益を第一には図るべからず」です。当社が担当する来年以降の企業研修においても、この点は強調していくつもりです。
最後にもう一度。「お問い合わせ」フォームは、売り込みのための窓口ではありません。