「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「できない理由を探すな!」よく耳にする言葉です。新しいビジネスに挑戦するときや困難な問題に直面した時などはどうしても腰が引けてしまい、つい「できません。だって○○が無いから」、「いや、無理でしょう。XXは限度を超えています」と口にしてしまいます。
しかし「できない理由」を並べても問題の解決にはなりません。「どうしたらできるか」を考えるべきです。ですから、マネジメントの本や管理者研修などでは「できない理由を探すな!」はまさにキーワードです。
ところがこの言葉を間違って解釈しているケースが意外と多いのです。
仕事上の問題が起きて対処する必要に迫られたときに、部下に向かって「できない理由を探すな!どうしたらできるかを考えろ!」と言うのです。つまり、できるようにするのは部下の仕事、自分は命令するだけ、という態度です。
これは非常に危険なことです。
企業の不正や不祥事のケースを調べていて明らかになったことなのですが、不正が起こるきっかけの多くは、「なんとかしろ!」という言葉だったのです。
経営者がマネージャーに対して「なんとかしろ!」と言うと、マネージャーは部下に「なんとかしろ!」と言います。そこから先は推して知るべしです。
具体的に名前を挙げれば、東芝の不正会計、三菱電機の不正検査問題、さかのぼれば雪印食品の牛肉偽装など超有名ブランドの根幹を揺るがすような事件の現場では「なんとかしろ!」は日常的だったようです。
もちろん「なんとかしろ!」は「どうしたらできるかを考えろ!」とは違います。ただし先ほどのような超有名企業では同じように使われていました。
脅かすようですが、あなたの会社でも東芝や三菱電機と同じようなことが絶対に起こらないとはいえません。それどころか、マネージャーの教育を誤れば同じようなことになります。
経営者の皆さんにお願いですが、マネージャーに対して「できない理由を探すな!」と言いたくなったら(1)これから言うことは単なる無理強いではないのか、(2)マネージャーの問題解決能力はどのくらいなのか、しっかりと考えてみてください。
経営者がマネージャーに対してこうした行動をとれば、マネージャーも部下に対して「なんとかしろ」などとは言わなくなります。(もし言ったら必ず叱ってください)
繰り返しになりますが「できない理由を探すな!」を間違って解釈することほど危険なことはありません。くれぐれもご注意を。