「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「テレワークが主体になって一番困ったことは、OJT(On the Job Training)ができなくなったことです。」ある企業の人事部門のマネージャーの言葉です。OJTと言えば、教える側と教わる側が同じ空間を共有して、仕事のやり方を文字通り「手取り足取り」教える・・・そうしたイメージが一般的なようです。
「研修会社の人はオンラインでもOJTができると言いますが、それは難しいと思います」先ほどのマネージャー氏は言いました。「言葉が伝わるだけではどうやってもきちんと教えることなどできません。」
私は同意しつつも「しかし、だからと言って何もしないわけにもいきませんよね。」と言うと、
「そうですが、それはもはやOJTと呼べるものではなく、単なる通信教育です。」と続けました。
このマネージャー氏の言うことは一見もっともなのですが、実は大きな誤解があります。
そもそもコロナ禍以前のOJTを正しく行ってきたのでしょうか。仕事のやり方を「手取り足取り」教えてきたと言いますが、本当にそうだったのでしょうか。
多くの会社の若手社員にインタビューをしてきましたが、仕事のやり方をきちんと教えてもらった記憶がないという方がほとんどでした。
「作業についての簡単な説明はありましたが、作業の意味や会社の仕事の流れに関して質問してもあまり教えてくれませんでした。」「質問をしても面倒くさそうにして答えてくれませんでした。」
どうやら今まで行ってきた「リアルなOJT」を誤解していたようです。確かに、OJTは同じ空間を共有し密接にコミュニケーションをとることが前提でした。しかし、本当にその前提を活かしていたのでしょうか。
密接なコミュニケーションが取れなくなった今こそ、コロナ禍以前のOJTをもうちど振り返ってみませんか。
「具体的な説明はどうやっていたのか」、「マニュアルは活用していたのか」、「質問に対しては真摯に答えていたのか」・・・
おそらく反省点がたくさん出てくるはずです。それを反省に留めずに、どうしたら良かったのかを考え、具体的な対策を作っています。そして、その対策をオンラインで実施できるように工夫します。
たとえば「ひとつの仕事をいくつかの作業に分解して手順書にする」、「教える時の会話のやり取りをテンプレートにしてみる」、「質問はいつでもメールで受け、回答は全員で共有する」等々です。
このように、しっかりとした仕組みを作って運用し、上手く行かない点があれば修正します。
オンラインでのOJTは確かに100点満点でいえば60点くらいかもしれません。しかし、以前のようなダメなOJTはせいぜい40点くらいではないでしょうか。それに比べればオンラインOJTは少なくとも「赤点」は十分に免れているはずです。
そしてオンラインでのOJTをさらにブラッシュアップし、日々改善していけばリアルなOJTに戻ったときに大きく前進することができます。
今こそオンラインでOJTを進める絶好の機会です。