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ジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

星の旅人たち

2012-06-18 08:33:29 | 日記
 都会の生活は情報量が多く複雑でわかりにくい。今、自分は人生のどのあたりにいるのか。これから先はどの道を進めばいいのか。多くの選択肢と、選択肢にまつわるエピソードが溢れかえっていて迷うことばかりだ。にもかかわらず、何をやるにも選択して決断することが求められる。誰かに「おまかせ」でいいコースはほとんど無いと言っていい。多くの情報を精査し分析し最も自分に合う道を進もうとすればするほど自分の選択が正しいのか間違っているのか結果が気になり緊張し通しだ。見えているようでいて見えていない自分がいることを自分が一番わかっているから、ドキドキすることばかり。自分を変えてもっとうまくやりたい。逃げ出したいとは言わないけれど、ここを抜け出す何かきっかけが欲しい、そんな風なことを考える人も多いだろう。
 
 そう思いながら何もしない人もいるし何かしてみる人もいる。それぞれの何が違うのかわからないが、何かすることを選んでそれを実行した人のうち何人かは何もしなかった人より確実に回りがよく見えるようになっている。
 
 旅をする、という行為でそのきっかけを作ろうとする人達がいる。何かしてみようという思いを実行に移した人たちだ。聖地を目指すという旅、巡礼という名の旅を描いた映画を見た。目的地に向かってただ歩くだけの物語である。800キロという長い距離をただひたすら歩く。道があり、道しるべがあり、一緒に歩く人達がいて、目的地がある。選択肢は極めて少ない。進むか、やめるか。

 日常の生活から削れる情報をどんどん削って行ったらこうなった、というようなシンプルな内容だ。邦題は「星の旅人たち」という。原題は「The Way」。経済危機のまっただ中、スペインの大西洋岸にキリスト教の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラがある。イエスの十二使徒の一人、聖ヤコブの遺体が埋葬されている地だと言う。フランスからピレネー山脈を越えてこの聖地に向かう人々が毎年10万人もいるらしい。この巡礼の道自体が世界遺産に登録されている。その世界遺産の道、The Way が原題である。その地を「星の平原」と呼ぶことから、そこを旅する人たちを指して「星の旅人たち」という邦題がついた。
 
 巡礼に出発したその日に嵐に巻き込まれて亡くなってしまった40歳の男。彼の死を聞いて遠くカリフォルニアからスペインの山中まで遺体を引き取りに駆けつけた父は初老の眼科医である。ずっと息子と真正面から向かい合えなかった父が息子の遺灰を詰めた重いバックパックを背負って息子が果たせなかった巡礼の旅に出る。山越えの800キロは長い。黙々と歩くと、人は一人では生きられないことを象徴するかのように声をかけてくる者がいる。旅の仲間ができ、旅はシンプルだが深い思いの中を進む。
 
 太っちょで食いしん坊のオランダ人。DV被害の過去をひきずるカナダ女性。書けないアイルランド人作家。いつしか仲間になった連中と歩き、食べ、眠り、言いたい放題に言い合い、それでも隠しておきたいことを秘め、また歩く。多くの情報の中から道を選択する必要はなく、目的地に向かう道しるべに従ってひたすら歩く。決断すべきことはただ、先に進むか、もう歩くのをやめるか、本当の気持ちを話すのか話さないのか、仲間を助けるのか、自分だけで行くのか、ただそれだけ。
 
 巡礼の目的地サンティアゴ・デ・コンポステーラに着いても映画は終わらない。旅の途中、ジプシーに息子の遺灰を海に撒くように教えられた父が、そうしたいと考えていることを旅の仲間たちが知っているからだ。旅の仲間がまだ進みたいと考えているなら、最後まで一緒に歩きたい。シンプルに突き詰めて行くと、結局そういうことだった。仲間と一緒に歩きたい。
 
 複雑でわかりにくいご時世だが、自分の気持を素直に聞く耳を持つことが出来れば選択は案外簡単なことだ。楽しもう。(三)
 
 
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株式会社ジェイエスピー
  横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
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