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IMジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

風は今も

2013-07-22 08:52:08 | 日記
 誰しもふとしたきっかけで芽生えた夢は壊したくない。大事に育てて形にしたいと思うだろう。それが幼い頃から持ち続けてきた夢ならなおさらだ。男も女もない。描く夢の形は様々だ。
 
 『風立ちぬ』という映画を見た。途方も無い数の絵が動いて出来ている映画である。ただの絵であるにもかかわらず何と緻密にすみずみまで生命感に溢れていることだろう。自分の絵を映画にしてしまうことを夢見た人たちの熱い思いが126分の中に凝縮されている。この映画自体がすでに夢の結晶のような色合いであるのに映画の中で描かれるのもまた戦時下で夢を形にすることに全力を傾ける男と女の話だから見る者にとっては何となく多層構造の複雑さが感じられ、何の引っ掛かりもなくさわやかにストンと肚に落ちる、というわけにはいかない。自分自身でしっかり噛み締めてから飲み込む手間が必要だ。
 
 走る汽車の煙が徐々に薄くなって向こう側の景色がはっきり見えてくる様子や、関東大震災の地震エネルギーが大地をうねって家々を持ち上げながら広がって行く様子、イタリアの飛行機設計者の開発した飛行艇に乗り込んではしゃぎまくっている女性たち、そのどれもが細密でありながらデフォルメされていて実写では決して真似の出来ない力強さを感じさせる。畳の上に散らばった設計図に急いでいる主人公二郎が足を乗せた途端滑って転ぶシーンなど普通のアニメならありえないほど場面設定を細かく考え抜いているように思えた。
 
 宮崎駿氏の監督デビュー作『ルパン三世カリオストロの城』ではルパンと次元がよくタバコを吸った。今回、二郎がズボンのポケットからタバコを取り出す仕草が妙に懐かしかった。関東大震災にやられて燃え上がる東京は巨神兵に焼かれた火の7日間の後のようだったし、少年二郎が夢の飛行機で故郷の田園を飛んで見る風景はサツキちゃんがメイちゃんを探してネコバスから見た風景のようにも見えた。二郎が飛ばした紙飛行機がベランダから覗きこむ菜穂子の元に飛んで行く様子は千尋の元に飛んで行くハクと紙の鳥のようだし、ラストでゼロ戦が登って行った天の彼方に見えたおびただしい数の白い飛行機の列はポルコも見た飛行機乗りの魂の飛行機雲そのものだったろう。『風立ちぬ』は宮崎映画のこれまでをさりげなく盛り込んだ美しい総集編でもあるようだ。
 
 まだ見ていない人のためにストーリーに触れることは出来ないが、これまでの宮崎作品はどれも映画のラストシーンを越えてその先まで続いて行く世界を担う中心に女性を置いてきた。それが今回は男性に変わった。見ていて男というのは何と危うい存在なのかと痛感させられた。ルパンもポルコもクラリスやジーナやフィオが見守ってくれているからこそはしゃいでいられたように思う。
 ラストは男女入れ替わったが、きっぱりと自分の道を生きる女性を描くうまさにかけては全くこれまでと変わることがない。今回も随所に格好いい女性が描かれている。
 
 先端技術の多くは戦争という大きなニーズによって生み出されて来たものであるとまことしやかに語られているが、今われわれが利用している技術は2回の世界戦争とそれに続く冷戦を経なくても今あるように開発されていたのではないか、人の好奇心や夢見る力はそれぐらい強いものなのではないか、と映画を見ながらふと考えた。映画の冒頭でイタリア人設計家カプローニが語る「設計家は夢を形にすることだ」という言葉に洗脳させられてしまったのである。宮崎監督はアニメーターは夢を形にすることだという気持ちを込めてこのセリフを書いたかもしれない。見る人の職業すべてがここに当てはまる。夢を形にして生きよ、と言うことでもあろう。(三)
 

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株式会社ジェイエスピー
  横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
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