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終わっちゃった・・

 8回デーモンが三振で倒れてチェンジになったとき、指を折って数えた。2,3,4,5,6・・・、そうか、ランナーが二人出れば松井まで回る。そこで松井がホームランを打てば同点だ。だけど、今の松井にホームランなんて打てるだろうか・・。打てるさ、という気持ちと無理だろうな、という気持ちがせめぎあいをしている中、9回表のインディアンスの攻撃をリベラが何とか0点に抑えて、さあ、いよいよ最終回。2番のキャプテン・ジーターからだ。インディアンスのピッチャーはクローザーのボロースキに交代した。このピッチャーは抑えといってもかなり防御率が悪く、十分付け入る隙があるように思った。いけ!キャプテン!!しかし、余りに絶好球が来たため力が入りすぎたのか、ジーターはセカンドフライ。凡退しても表情を変えないジーターが珍しく顔をゆがめた。勝ちたいよなあ、何とかしたかったよなあ・・。続くバッターは3番アブレイユ。飄々とした表情で何かをやる男、頼むぞ!!おお、すごい!アッパーデッキに達する超特大のホームラン!!これで4-6、2点差だ。このままがんがん行こう!!次は主砲A・ロッド。今日は第4打席でホームランを打っているだけに期待が高まる。しかし、しかし、泳がされてライトフライ・・。A・ロッドォ~~~・・。2アウト、もう後がない。5番バッターはポサダ、彼が出塁しなければ、松井まで回らない。出ろ、ポサダ、どんなことをしても松井に回せ、このままで終わってどうする!!2球目、フルスイングした飛球がライトスタンドへ、やったぁ~~~!ホームラン!松井だ、松井の打席だ、と思った瞬間、無情にもファールのコール・・。残念、だけど打ち直せばいいんだ、いけ、ポサダ!
      さ・ん・し・ん・・・・・・・・・・。
終わっちゃった、松井は、松井の打席は・・・。
 
 それからはしばらく茫然自失の状態が続いた。虚脱感で動けなかった。もうどうしたらいいのか分からなかった。

 松井が入団した一年目こそワールドシリーズに進んだもののマーリンズに負けてしまい、夢はかなわなかった。2年目はリーグチャンピオンシリーズでレッドソックスに3連勝のあと4連敗して敗退。3年目からはエンゼルス、タイガースに地区シリーズで敗れ、今年もインディアンスに敗れてしまったことで、3年連続地区シリーズで敗退したことになる。その間、ホワイトソックスの井口資仁、カージナルスの田口壮がチャンピオンリングを手にした。また今年もこのままの勢いで行けば、レッドソックスがワールドチャンピオンになるのが濃厚なように思われるから、松坂大輔、岡島秀樹の両投手にも先を越されることになってしまうかもしれない。残念だし、悔しい。

 終わったばかりで、今シーズンの松井の戦いぶりをコメントする気力はとても湧かない。ただ、体を休めて、各部のオーバーホールに努めてくれるよう願うばかりだ。特にシーズン終盤苦しんだひざにどんな処置をするのかが問題になるだろうが、最善の選択をして、来期は万全の状態で一年間プレーできるようにほしい。
 地区シリーズで敗退したらトーリ監督を解任すると、オーナーが示唆していると言われているように、来シーズンのヤンキースは今年のチームとは大きく変わるかもしれない。その中で松井秀喜がどんな役割を担わされているか、不透明な状況ではあるが、今はただ、全身の悔しさをこらえて松井に「お疲れさま」と言いたい。痛むひざを抱え、思うようなプレーができなかったことが何よりも辛かっただろうから、とにかくしばらくはゆっくり休んでほしい。
 
 「よくがんばったから、少しは羽をのばせよ」

 だけど、「不動心」などと禅僧めいたことを言う松井よりも、地区シリーズ3戦でデーモンの逆転ホームランに誰よりも速くベンチを飛び出して、両手を天に突き上げた熱い松井のほうが、私は好きだ。
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