贅沢三昧の社長がいた。「糖尿病は金持ちの勲章」と常々豪語を。その社長が「四国巡拝に連れて行け」と。わが寺の巡拝は、酒、煙草、不平不満は、一切不可。昼過ぎ「住職、ご飯は」と社長が蚊の鳴く声で。そこで、巡拝者皆、素うどんを。すると社長「うどんって、こんなに美味しかったんだ」と、食す前の不満顔が。
【追伸】
江戸初期の禅僧に沢庵宗彭(たくあんそうほう)あり。10歳で出家。37歳で大徳寺の153世住持に。因みに、一休宗純禅師もこのお寺の座主に。さて、沢庵さん、55歳の時、紫衣事件があり、幕府を痛烈に批判。秀忠公の逆鱗に触れ、出羽の国に流される。が、秀忠公死後、家光公の擁護を受け、江戸へ。ある時、美食三昧の家光公を昼食に招待。散々待たせた後、出されたものが、米飯と大根の糠漬けのみ。これを食した家光公「空腹に勝る美味なし」と感服し、この漬物を『沢庵付け』と命名されたと。当たり前という環境からは、感謝が消える。