角田光代 2冊目は 『対岸の彼女』。
2005年度の直木賞受賞作品。
なんでこんな小説が書けるんだろう。
・・・っていうのは 文才のない私は 毎回いろんな作家さんを読む度に思うことだけど
この本は 心のおくーの方にしまってある 子どもの頃の自分と、
結婚し、家庭を持ってからの自分を行ったり来たりしながら
友達が私にとってどんな存在だったのかを思い起こさせてくれる本でした。
友達との出会い方って色々ある。
特に大人になってからは ご近所さんだったり 職場だったり 習い事だったり。
すごく仲良くしてる風に見えても じゃあその人が今までどんな人生を送ってきたのかなんてわからない。
高校時代、あんなに仲が良かった友達だって、今じゃ居場所さえわからない人もいる。
「一人でいるのが怖くなるような沢山の友達よりも、一人でいても怖くないと思わせてくれる何かと出会うことの方が、うんと大事な気が今になってするんだよね」
う~ん・・深い。
でもこれってその時はわからないのさ。
友達とつるんでいることで得られる安心感、それが例え、居心地のいいものじゃなかったとしても
それから抜けだせないってのがあるんだよねぇ。
ナナコと葵と小夜子という3人の女性。
ナナコと葵の過去と 葵と小夜子の現在。
最初、過去の葵と現在の葵が私の中で一致しなくて焦りました。
多分、読んでいる人の誰もがそうだと思うけど
これも読み進めていくうちに 徐々に消化されていきます。
なんかうまく書けないけれど、この作品に出てくる女性は
まさに 「対岸の彼女」 たちなんです。
環境も、背負ってきた人生も全く違う二人が初対面で意気投合し、
だけどやっぱりその背負ってきたものが違う、っていうのはすごく大きくて
やがてちょっとずつできてくる溝。
電車の中で読んでいたら 途中、泣けてきて泣けてきて
涙をこらえるのに必死でした。
家だったらきっと 思いっきり泣けただろうに
小説とは違うところに神経を使わなければならかったから それがなんとも悔しい。
既に映像化されてて、ディスカスで探したらレンタルもできるようだけど
やっぱりこの原作のイメージを大切にしまっておきたいので
観ることはないと思います。
とにかく いい本でした。