5月31日の衆院厚生労働委員会で、生活保護の申請をはねつけ、利用者を追い出す生活保護法改悪案と生活保護基準を下回る仕事でも「とりあえず就労」という形で、生活保護からの追い出しをねらう生活困窮者自立支援法案が、わずか2日間の審議の結果、自民、公明、民主、維新、みんなの賛成で可決されました。日本共産党は反対しました。生活保護法改悪法案の内容が国民に知らされないままの強行採決に怒りが広がっています。
法案が審議入りした29日、日本共産党の高橋ちづ子議員が質問に立ち、最後のセーフティーネットである生活保護から国民を締め出す重大な問題点を浮き彫りにしました。(「しんぶん赤旗」論戦ハイライト」5月30日付)この質問で使われた資料、「国内における餓死者の推移表」(高橋ちづ子事務所作成 出典:国会図書館社会労働課が厚労省人口動態調査をもとに作成)に注目させられました。
「推移表」は2000年から2011年の餓死者数を「栄養失調」+「食糧の不足」の合計数で表しています。この12年間の餓死者数の累計は、18,689人に及んでいます。11年には1,746人が亡くなっています。これは、1日あたりでは4人以上が亡くなっていることになります。高橋議員は、「これほどの経済大国・日本で餓死者がこれだけいるということは非常に重大だ」と強調しました。
生活保護法の改悪が実施された社会が餓死者の増加を生みだすことは容易に想像できることではないでしょうか。近代国家はどこの国でも生活保護制度の充実をめさし、努力をしいます。今年5月、国連社会権規約委員会から日本政府に出された「総括所見」は、「恥辱のために生活保護の申請が抑制されいる」として「生活保護の申請を簡素化」し「申請者が尊厳をもって扱われることを確保するための措置をとる」こと、「生活保護につきまとう恥辱を解消する」手だてをとることを勧告しています。これが世界の認識です。日本の政治に必要なことは、憲法第25条に込められた、人間を人間として尊重する政治ではないでしょうか。餓死者を一人も出させない政治の実現を強く求めていきたいと思います。