日本学術会議が10月1日、東京で開いた総会で、山極寿一前会長が、同会議が推薦した新会員のうち6人が菅義偉首相により任命を拒否されたことを明らかにしました。山極氏は退任あいさつで「日本学術会議法第7条で『推薦に基づき』とあるのは重い規定。任命拒否は日本学術会議の歴史になかったことで重大だ。大変残念だ」と述べ菅首相に説明を求めている」と報告しました」(「しんぶん赤旗」10月2日付)
同日、日本共産党の志位和夫委員長は、「菅義偉首相が日本学術会議が推薦した会員候補105人のうち6人の任命拒否したのは、『学問の自由を脅かす極めて重大な事態』だと指摘、『野党共闘を大いに強め、違憲、違法の任命拒否を撤回させるべく全力をあげたい』と表明しました」(同紙より)
「しんぶん赤旗」11月1日付は1面で、「任命拒否 抗議急速に」「670学会が声をあげる」と大きく報道しました。私は、この1カ月の「日本学術会議の会員の任命拒否」問題が、日本社会と人々が戦後、憲法のもとで、とまどいながら、行動し、経験し、つくり上げてきた民主主義の力が、いま、この危機的事態のなかで、日本の民主主議、知性と良心などが、現在の権力者と立ち向かい大きく結集して力強さを発揮し、新しい日本の社会への展望につながる国民総ぐるみの運動がはじまろうとしているように感じています。
「しんぶん赤旗」1日付の記事を紹介させていただきます。
記事は、「安全保障関連法に反対する学者の会」調査(10月30日現在)を紹介しています。「10月1日からわずか1カ月間で、670学協会や大学・大学人をはじめ、自然保護団体や消費者団体、映画人や演劇人、作家、ジャーナリストなど幅広い団体から任命拒否に抗議する声明が出されてる」
「学会の声明では、任命拒否された6人が人文・社会科学系の研究者であったにもかかわらず、多くの自然科学系の学会が声明を出しています。日本数学会や日本物理学会など95団体や、医学関係の136団体が加盟する日本医学連合が任命を拒否を批判する声明を出しています」
「政治学、法学、歴史学、思想・哲学の学会のほかに、『日本学術会議に対する不当な介入』(日本歩ポピュラー音楽協会)『6名を任命しなかったことに抗議』(日本儒教学会)などを含め、社会学や教育学、経済学、芸術、宗教学、スポーツ学会など幅広い分野から抗議の声が上がっています」
「学会や大学・大学人以外でも抗議の声は広がっています。労働組合や日本弁護士連合会など法曹界関係、宗教団体、日本ペンクラブや映画人有志など表現者など136団体が任命拒否に抗議声明を出しています」
「日本自然保護協会と 日本野鳥の会、世界自然保護基金(WWF)ジャパンの3団体が自然保護の観点から出した声明は、学術会議の提言が自然保護団体の『理論的なりどころ』になってきたと指摘。任命拒否は、『自由な議論へも圧力ともなり不要な忖度や委縮を引き起こし、政策の適切な実施を阻害する』と主張します」
「宗教法人の成長の家は『科学的心理の探求を操作しようととする政治が、宗教的心理の探求を尊重するなどということはあり得ない』と警告しています」