【報告書に「独立性重要」、政府介入でなく改革は主体的に行うもの】
ー安倍政権の有識者会議座長・京都大学元総長 尾池和夫さんー
「しんぶん赤旗」11月29日付「日曜版」に、14年から15年まで安倍政権の下で内閣府の「日本学術会議の新たな展望を考える有識者会議座長」務めた尾池和夫さんのインタビュー記事が掲載されました。紹介させていただきます。
「 ー 首相は任命拒否を適法だと主張します」
「(尾池さん)会員の任命に口を出すのは法律違反です。政府が学術会議をコントロールするようなことは許されない。日本学術会議法は、学術会議の推薦に”基づいて”首相が任命となっています。これは、学術会議が選んだ人を自動的に任命するという意味です。憲法に、『天皇は、国会の指名に”基づいて”、内閣総理大臣を任命』とあるでしょう。その表現を借りているわけです」
「 — 学術会議の改革を議論した経緯を教えてください」
「(尾池さん)学術会議の改革、まず03年に政府の総合科学技術会議(現、総合科学技術・イノベーション会議)が意見具申しました。その10年後の見直しを議論するのが、私が座長を務めた会議の役割でした。新しく会議をつくったのは、独立組織の学術会議を政府が評価するのは、”あかん”というのが理由です。総合科学技術・イノベーション会議は、首相が議長ですからね。私は『第3者機関として評価するなら』と引き受けました」
「 — 報告書では、『学術会議において主体的な見直し』としました」
「(尾池さん)学術会議への宿題をたくさん書きましたが、それは学術会議自身がやることです。政府が手を出してはいけない。学術会議は国の機関ですかが、憲法に書かれた『学問の自由』を守る組織です。だから、政府からの独立がとくに大事なのです」
【有識者会議報告書から】
「(学術会議は)制度上その独立性が担保されている。この点は、特に政府や社会との関係において、真に学術的観点に立った見解を提示する上で、非常に重要な要素である」
「科学者の国際的な窓口としても”非政府”であることが不可欠です。世界中の科学者の集まりとして唯一無二の存在である『国際学術会議』は非政府組織です。参加する日本の学術会議もそうでなければなりません」
「有識者会議では、学術会議と総合科学技術・イノベーション会議を『車の両輪』と位置付ける議論がありました。私はこれを全面否定しました。『両輪』は車軸でつながっているでしょう。政府の会議と『上手に一緒にまわれ』は断固まかりならんと考えました」
~ 中略 ~
「 — 日本共産党は『日本の言論・表現の自由にかかわる大問題』として追及しています」
「(尾池さん)任命拒否をいち早く報じた『赤旗』(10月1日付)は見事でした。私はこの問題でまだ、ほかのメディアの記者と会っていません。でも、『赤旗』の取材なら仕方ないと応じました。ここで頑張ってもらわなければ困るからです。学術会議は、戦争を目的とした研究を否定してきました。学術の基本は人類の福祉に貢献することだからです。しかし、いまの日本には戦争をしたがっている人がいるようです」
「日本が進んでいる道が、かつて戦争へと向かった歴史と重なってみえます。関東大震災2年後に治安維持法(1925年)がつくられ、東日本大震災2年後に秘密保護法(2013年)がつくられました」
「今回の学術会議への攻撃も、戦争へと向かう仕掛けの一つでしょう。学者に政府がものを言うのは、言論を封じる常とう手段です。平和への道ではないことは明白です」