明日、4日衆議院予算委員会では、立憲民主党の枝野幸男代表、日本共産党の志位和夫委員長が菅義偉首相への質問に立ちます。昨日の立憲民主党の議員の質問に、菅首相は早くも”しどろもどろ”となり6名の学術会議推薦者の任命拒否の理由を説明できない事態となっています。
「しんぶん赤旗」2日付に、憲法学者・岡山大学名誉教授の中富公一さんが、編集委員の中祖寅一さんのインタビュー記事が掲載されました。以下、紹介させていただきます。
「 — 非常に幅広い学者・大学人から批判と抗議の声が上がっています」
「中富 全国各地の大学で批判の声明が次々と出ています。安保法制の時よりも幅広い学者から抗議の声が上がっています。今回の問題でなぜこんなに学者から批判がでるのか。首相による勝手な任命ができないように法律がつくられているのに、菅首相が恣意的な憲法解釈をして法律を守らなくてもいいと開き直っています」
「日本学術会議法3条が、学術会議は『独立してその職務を行う』とし、その独立性をうたっているのは、政治の干渉に対して学問の自由を尊重したからに他なりません。学術会議の独立性を守るために、会員の人選は学術会議の推薦制にするとし、推薦の資格は『優れた研究又は業績』という縛りをおいています。学術会議はこの基準に従って選考し推薦しているわけです」
「勝手な法解釈によって推薦を拒んでいるのは法の支配に対する攻撃であると同時に、学術会議法が配慮している学問の自由に対する攻撃という構造を持っています」
「任命しない理由をまったく説明しない。菅首相の恣意で気に入らない人を排除すれば、それこそ学術会議から総合的・俯瞰的性格が失われます。しかも菅首相は、安倍前首相の政治を継承すると言っており、『天皇を戴く国家』(自民党『日本国憲法改正草案』)を理想とする国家改造を推進していこうとしています。そういう思想に合わない人間は、役職につけないとか、公的な場から締め出されることになりかねない」
「 — 菅首相は、憲法15条を引用し、『公務員の選定は、国民固有の権利』であり、日本学術会議法では会員を総理大臣が任命することとされているから、『任命する責任は首相にある』と言っていますが」
「中富 この憲法理解は、安倍前首相が言っていたのですが、選挙で選ばれたのだから内閣総理大臣は何でもできるという憲法観に基づいています。しかし日本国憲法は、権限を分割することで首相の専制を防いでいるのです」
「公務員の選定で直接国民に責任を負うのは、国民の直接の代表機関である国会です。首相と内閣は、国会に責任を負うのです。公務員にもさまざまな職種があり、それにふさわしい選考の仕方を種々の法律が定めています。国会は個々の人選を行うのではなく、法律でその一般原則を定めます」
「国会が法律を直接執行することができず、一般原則の設定にとどまるのは国会の専制を防ぐためです。そしてその法律は憲法に反してはならない。学術会議法は、その会員の選考を日本学術会議という機関に付与しています。そして内閣は、『法律を誠実に執行し、国務を総理すること』(憲法73条)が求められるのです」
以下、略させていただきます。大変分りやすい話をお聞きしたように感じました。