それこそ「豚に口紅」ならぬ「糠に釘」になるのでしょうけれども、麻生政権がNew York Timesの不埒な誹謗中傷社説(Editorial, Sep. 25, 2008)に対して的確な反論を行いました。同社説「The Return of Taro Aso:麻生太郎の(政治の檜舞台への)復活」は、例えば、麻生首相が外相時代「戦前の日本による植民地政策の功績を賞賛した」「戦時下の大虐殺を正当化した」等々の誤謬に満ちたもので、それが過失とすれば信じられないほど杜撰なもの、もし、それが故意であるならば朝日新聞の麻生総理批判と同程度の悪意に満ちた中傷と言えると思います。
NYTはWashington Postと並びアメリカでは民主党左派の立場を代弁する有力紙であり、例えば、麻生氏は「支那を危険な軍事的脅威と評したことにより日本と支那との関係をギクシャクさせた」という朝日新聞を髣髴とさせる曲解に端無くも現われているように(なぜなら、毎年前年度を10%も上回る支那の軍備増強はその周辺諸国にとって「軍事的脅威」以外の何ものでもないでしょうから)、東アジアの国際関係に関しては「反日-媚支那」を基本方針としている点では朝日新聞と同じなのです。
而して、たとえそれが内容的には論じるに値しない朝日新聞レヴェルの社説にせよ、麻生首相への誹謗中傷に対して、そのアメリカ社会における影響力(ならびに、「権威ある米国紙」の麻生首相評価として逆輸入された場合の日本における影響)を鑑みた場合、麻生政権が的確な反撃を敢行したことは評価されるべきことでしょう。これこそ正に「主張する外交」の顕現発露である、と。
以下、当該の社説を紹介します。而して、この社説に対して麻生政権が反論を行ったという報道、および、麻生政権誕生を見るNYTの目線がよく現われていると感じられた今回の「自民党総裁選」を報じた同紙の記事に関する報道をも資料として併せて転載しました。
●NYタイムズ紙に反論投稿 麻生首相批判社説で
5日付の米紙ニューヨーク・タイムズは投書欄で、「麻生太郎首相は中韓との関係強化に貢献してきた」とする兒玉和夫外務報道官の投稿を掲載した。同紙は9月25日付の社説で「麻生氏は外相時代、中韓との関係を損ねた」と論評していた。
中国との関係について兒玉報道官は「日中関係を飛躍的に改善した戦略的互恵関係の構築を立案し、進展させた」と強調し、韓国との関係についても「建設的で未来志向の関係構築に務めた」と反論した。さらに麻生首相が国連総会で一般討論演説を行った後、韓国の外交通商相だった潘基文国連事務総長と会談した際、潘事務総長が両国関係改善のための麻生首相の努力に感謝していたと指摘した。
同紙は麻生首相について、「好戦的な民族主義者」で「日本の植民地支配を称賛し、第2次大戦での残虐行為を正当化した」と決めつける社説を掲載していた。【産経新聞:10月6日】
●「豚に口紅」NYタイムズが自民総裁選を酷評
17日付の米ニューヨーク・タイムズ紙は、自民党総裁選について、米大統領選の民主党候補バラク・オバマ上院議員が対立候補の唱える「変革」を見せかけだと批判した際に使った「口紅つけても豚は豚」という言葉を引き合いに、「日本では自民党がこれとほとんど同じことをやろうとしていると言われている」とやゆした。
記事では、自民党が経済構造改革や派閥支配からの脱却を訴えて選挙で大勝した小泉元首相時代の再現を望んでいるとしたが、最有力候補の麻生幹事長が財政支出を増やす伝統的な自民党の経済政策を行おうとしていると言及し、「麻生氏は小泉氏ではない」とばっさり。「変革の宣伝がただの見せかけ以上のものであるかどうかははっきりしない」と批評した。【読売新聞:9月18日】
【 麻生首相メールマガジン:動画開始挨拶】
●The Return of Taro Aso
Japan’s new prime minister, Taro Aso, is well known ― and not fondly remembered ― by Japan’s neighbors as a pugnacious nationalist. As foreign minister from 2005 to 2007, Mr. Aso soured relations with China and South Korea and raised tensions throughout the region, praising the achievements of prewar Japanese colonialism, justifying wartime atrocities and portraying China as a dangerous military threat.
Now, the power brokers in the long-governing Liberal Democratic Party have made him Japan’s fourth prime minister in just two years and rebranded Mr. Aso as a “pragmatist.”
Mr. Aso is expected to focus on stimulating Japan’s stagnant economy. To successfully lead a 21st-century Japan, he will also need to swap nationalism for pragmatism when it comes to foreign relations. Japan’s future depends on cultivating stronger political and economic relations with China ― its largest trading partner ― South Korea and other rapidly advancing neighbors.
●帰ってきた麻生太郎-日本政治の中枢に復帰した麻生新総理
日本の新しい内閣総理大臣、麻生太郎氏は、日本の近隣諸国からは喧嘩上等がモットーの民族主義者として夙によく知られた人物であり、而して、あまり良い印象は持たれていない。2005年から2007年の外相時代、戦前の日本による植民地政策の功績を賞賛したこと、あるいは、戦時下の大虐殺を正当化したこと、更には、支那を危険な軍事的脅威と評したことにより麻生氏は支那および韓国との関係をギクシャクさせ、東アジア地域で遍く緊張の度合いを高めた。
今回、長らく政権与党の地位にあった自由民主党内の顔役達の調整によって麻生氏は首相の椅子に座ることになった。実に、このきっかり2年の間に4人目の日本の首相である。而して、自民党内の顔役達は「現実主義者」というイメージチェンジを麻生氏に施したのである。
麻生氏は日本の沈滞した経済を活性化することに注力すると予想されている。21世紀の日本を成功裏に導くためには、而して、日本を取り巻く外交関係を鑑みるとき、麻生氏はまた民族主義を現実主義と入れ替える必要に迫られることになろう。日本の将来は、その最大の貿易相手国たる支那、韓国、ならびに、目下経済発展著しいその他の近隣諸国との政治的と経済的の関係を洗練強化することにかかっているのだから。
He has assured Washington that he will resist opposition efforts to shut down a Japanese naval refueling mission in the Indian Ocean ― Japan’s risk-free demonstration of support for American and allied military efforts in Afghanistan.
What the United States most needs from Japan is a responsible strategic partner, not a government whose imperial reveries and symbolic muscle-flexing will provoke angry reactions across Asia.
Nationalism is enjoying a disturbing political revival because many Japanese fear that their country, once Asia’s clear economic leader, is losing ground to booming neighbors. The answer for that doesn’t lie in the nostalgic fantasies about Japan’s ugly past for which Mr. Aso has become well known.
Instead, Japan needs to modernize its economy by completing the market reforms begun by Junichiro Koizumi, the former prime minister. And it needs to modernize its foreign policy by treating its neighbors as equals. If Mr. Aso can be pragmatic enough to adopt that agenda, he is likely to be a successful prime minister.
麻生首相はアメリカ政府に向けて、日本の海軍(海上自衛隊)によるインド洋での給油活動派遣任務に対する反対の動きを阻止する旨誓約した。このインド洋における任務とは、畢竟、アフガニスタンにおけるアメリカとその同盟国との軍事的な奮闘を支援する日本の姿勢を示すためのリスクとは無縁の示威活動なのだけれども。
日本について、アメリカ合衆国が最も必要としているのは、責任ある戦略的パートナーとしての日本政府ではあっても、帝国主義を夢想したり力をいたずらに誇示したりすることでアジア中から怒りを買うような政府ではないのである。
日本では民族主義が広範な領域で政治的な復活を遂げつつある。なぜならば、かって紛う方なきアジアにおける経済的リーダーであったこの国では、最早、成長著しい近隣諸国に日本はその地歩を明け渡しつつあるのではないかという懸念を覚える国民が少なくないからだ。この懸念に対する解答は、日本の醜悪なる過去を懐古するような現実離れした空想、蓋し、麻生氏が今までそうして有名になってきた空想の中には存在することはない。
断じてそうではない。小泉純一郎元首相によって手を付けられた市場の改革を完遂することによって日本は経済を近代化する必要がある。そして、日本はその外交政策をも近代化してその近隣諸国を対等に扱う必要がある。もし、麻生首相がこれらの政策指針を採用できるほど現実主義的であれば、麻生氏は成功した内閣総理大臣になるかもしれない。
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