英語と書評 de 海馬之玄関

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英文読解 one パラ道場:ワールドカップ初優勝-世界を戦慄させた<なでしこジャパン>! (中編)

2011年07月24日 12時14分45秒 | 英文読解 one パラ道場

【語彙1】
edge:辛勝する, maiden:初めての, penalty shootout victory over:~に対してペナルティーキック戦の末に得た勝利, home:狙い済まして力強く, decisive spot:試合をその場で決める, peg back:点差を縮める, equalise:同点にする, extra time:延長戦, Stars and Stripes:サッカー女子米国代表/星条旗雌獅子軍団, ntervention:干渉/介入,

be set for:~に有利な展開である, intent:何がなんでも勝って国に帰ったんねんという強い意志, highly acute angle:角度の大きな, outmuscle:力ずくで追い出す, just past the half hour mark:ちょうど区切の三十分が過ぎた頃, reward:報酬, dominance:優勢, see:目撃する/事態が惹起する, hold off:寄せつけない, prove:証明する/~のことが明らかとなる, occasion:まさに真価を発揮すべき事態/鼎の軽重が問われる事態, winner:勝ち越し点/勝利者, Korea DPR:Democratic People's Republic of Korea(cf.民主主義とも人民とも無関係な君主制の国ではあるが、「朝鮮民主主義人民共和国」と称しているテロ国家), equalise:同点にする, somewhat:幾分/ある意味では, against the run of play:そのプレーによる得点を背景として/刺激されて, cross:ピッチの左右から中央もしくは逆のサイドへのパス, chaos:混乱, past:~のそばを通って,

open fashion:ノーガードでの撃ちあいの様相, recommencement:再開, carved out:斬り込む, opening:好機, askew:顔を背ける, get the better of:~に優る/を上回る, power:力を託す, bullet header:弾丸のようなヘディングシュート, onrush:突進する, retreat:後方に移動する, ensue:引き続いて起こる, diverting:気分を紛らわせる/状況を軽やかに一変させる, ensure:保証する/確実にする, outright:即座の/これで確定的になる, convert:得点する, claim:賞や優勝などを勝ち取る(cf. 「clinch:~に白黒結着をつける→選挙に勝利する/優勝などを勝ち取る」とともに英字新聞の常套句です)



【語彙2】
upset:転倒させる/目論見を挫折させる, (penalty kick)shootout:ペナルティーキック戦, regulation:規定の試合時間, extra time:延長戦, erase:帳消しにする, deficit:劣勢/赤字,

arguably:おそらく、でも、ひょっとするとそうなの、鴨, the sentimental favorite:勝つかどうかはわからへんけど、勝って欲しいチーム, devastated:壊滅的被害を受けた, range:行列をなす, news conference:記者会見,

characterize:特徴ずける, never-say-die attitude:絶対に挫けない態度, fall behind:~に遅れを取る/劣勢に陥る, down a player:一選手に至るまで, no less:~は言うまでもなく, dominate:支配する/優勢に立つ, lackluster:あんまりパーッとしない, despite:~にもかかわらず(despiteは前置詞であり、その後ろには名詞類が続きます。他方、同じ「~にもかかわらず」の意味を表すにしても接続詞のthough, althoughの後ろには「S→V→・・・」構造の節が来ます。基本ですがこれまたTOEICの基本でもあります), sterling:素晴らしい, chip:押し込む/ねじり込む, momentum:勢い, defeat:打ち負かす, two-time defending World Cup champion:直近2回の世界選手権優秀者, the tournament favorite:今大会の優勝候補筆頭,

regardless of:~など委細気にせずに, thunderous applause:雷のような拍手喝采, erupt:火山などが噴火する, standing ovation:敬意と感動を表するために立ち上がって拍手喝采すること, emotional:情緒的な/感動的な, clinch:勝利/当選を勝ち取る(cf. 「claim:勝利する/優勝などを勝ち取る」とともに英字新聞の常套句です)





【読解躓きの石】
第1パッセージの第1センテンス、不定詞が重ねて使われています。
これは不定詞のどういう用法なのでしょうか? 

USA were twice pegged back but it took Homare Sawa to equalise three minutes from the end of extra time to force penalties.


(アメリカは2回リードするもののその度に追いつかれる。しかも、その同点劇の一つは、延長戦の終了3分前に同点ゴールを決めた澤穂希によるものだった。この澤のゴールによって、ペナルティーキック戦は不可避となった)

もちろん、ここは「it takes ・・・to ~」の構文です。
「~するためには・・・が必要だ」というもの。to-Vは不定詞の名詞的用法、そして、
itは仮主語のitです。では、itを名代に立てた真主語はなんなのでしょうか?

要は、周囲の枝葉を「レントゲン」にかけて捨象するとき、この部分は、

・同点にしたの澤だった。澤のその同点弾によって試合はPK戦に突入した
・試合をPK戦に突入させたものは同点に持ち込んだ澤だった

のどちらなのでしょうか? 結論から言えば、前者が正解なのですけれども、
両者の違いがわかりましたか? なに、どっちもあまり変わらない、ですって(笑)

当たり前のことですが、英語のネーティブスピーカーも、英語のテクストを左から右に
読んでいる。あるいは、聞こえてくる音声の順番通りに聞いているのです。
ならば、ここも「後知恵」ではなく、最後の「to force penalties」の前に読み聞きできた、

USA were twice pegged back but it took Homare Sawa to equalise
three minutes from the end of extra time・・・

の部分が英語のセンテンスとして意味が成り立つのならば、そして、
実際にそれなりに意味は通っているのですけれども、その箇所までの意味は、
その箇所までの単語列で確定するのです。要は、最後の「to force penalties」は、
それより前の部分の意味に積み重ねられる、副詞的な要素にすぎないのえす。

何を私は言いたいか。

それは、althoughやnevertheless等々の逆説の接続詞・接続副詞でもない限り
「to force penalties」がそれ以前の単語列の「正しい」意味を、どんでん返しなどすること
はないということ。

所詮、英語のネーティブスピーカーと言えども、まだ自分が読んでもいない/聞いてもいない
フレーズを織り込んで、今読んでいる/今まで読んだ、今聞いている/今まで聞いた単語列の
意味を理解するなどができる<超能力者>ではないのですから。

ということで、上のセンテンスに関して、例えば、itの真主語を「to force penalties」と見立て、
そして、その前の「to equalise three minutes from the end of extra time」の部分を
「Homare Sawa」を修飾する、不定詞の形容詞的用法と考えた次の訳は間違いなのです。

(アメリカは2回リードするもののその度に追いつかれる。しかし、この試合をペナルティーキック戦に持ち込んだのは、延長戦の終了3分前に日本を同点に引き上げた澤穂希だった)




6センテンス目のseeの意味はわかりましたか。これです。

A quick counter attack saw Rapinoe play an excellent ball through for Morgan to use her strength to hold off a defender, before hitting a perfect finish past Kaihori.


(RapinoeからMorganに出された素早い反撃によって、すなわち、敵の守備を寄せつけないMorganのその身体の強靭さを信頼してRapinoeから出されたボールを、Morganはゴールキーパーの海堀の横を抜ける完璧なシュートにしたのだ)

このseeは「目撃する→ある事件が起きる」という意味です。
ですから、述語動詞のseeの主語は「物主構文」の鉄則で、「~が起こった」と自動詞のように訳するか、
あるいは、「~によって」と原因を表す副詞句のように訳すのがTips。
辞書から例文を転記しておきましょう。

The 18 century saw the American Revolution.
(18世紀にはアメリカ独立戦争が起きた)



第1パッセージの最後のセンテンス。このand while以下の意味と構造はわかりましたか。

Shannon Boxx, Carli Lloyd and Tobin Heath failed to convert USA' opening three penalties, and while Yuki Nagasato had her effort saved Japan were not to be denied as Asia claimed the title for the first time.


(Shannon Boxx、Carli Lloyd、そして、Tobin Heathとアメリカ側は最初から3本連続でペナルティーキックを失敗した。他方、日本は、永里優季の失敗にもかかわらず、アジア勢として始めてワールドチャンピオンのタイトルを手にすることを妨げられることはなかった)

ここは、savedとJapanの間にカンマを入れれば分かりやすいでしょうが、要は、

and 【while Yuki Nagasato had her effort saved】 Japan were not to be denied・・・
という入れ子構造になっているのです。Japanの後ろのwereは仮定法などではなく、
極普通の過去形、但し、「be+to-V」ですから、運命や予定のニュアンスを述語動詞が漂わせている
という点では仮定法と意味は似ていなくもありません。ちなみに、were とJapanが複数形で受け取られて
いるのは、単純にこのJapanが「日本チームのメンバー」という複数の意味だからです。
これは、このパッセージ冒頭のセンテンス

Japan are FIFA Women’s World Cup™ champions for the first time
を見ても明らかではないかと思います。




二つ目のパッセージ、第4段のAli Krieger選手のコメントは日本人にとっての躓きの石、鴨。
問題は文末の「but that’s how it is」ですが、もちろん、何となくはわかるのでしょうが、
何となくしかわからないという方も少なくないと思います。

I think we played really good and I didn’t think they were going to tie it up on the second goal, I thought we would win 2-1, but that’s how it is.


(うちら本当に頑張ったと思うんですよぉー。だから、日本が二点目を入れて追いついて来るなんて思わなかった。2-1で勝てる、ってそう思っていた。でも、結果はご存知の通りですよね)

はい、この「but that’s how it is」は言葉を足せば、
「but that’s how it is as it is」や「but that’s how it is as you know」という所でしょうか。



パンクチュエーションの確認です。二つ目のパッセージ、最後の方のセンテンス。
このコロンはどんな意味を帯びているのでしょうか。
また、発話するときにはこのコロンの箇所はどう発声すればよいのでしょうか。

It was an emotional victory for Japan, which carried a banner reading: “To our Friends Around the World: Thank You for Your Support” after it clinched the title.


(この勝利は日本にとって感慨一入のものだった。実際、優勝を決めた後で日本は、「世界中の友人の皆様へ:ご支援感謝します」と書かれた横断幕を掲げたのだから)

時刻の区切に用いられるとか、抽象度の異なる細々とした事項を列記する等の場合を除いて、

通常コロンは、全く同内容のことを並列列記する
セミコロンは、先に挙げた事項を別のアングルから敷衍する/説明する


5:26:35(5時26分35秒)
We had three candidates: Mr, Miyama, Kyoto Univ.
; Mr. Sawa, Waseda Univ.;Mr. Nagasato, Keio Univ.
(京都大学の宮間、早稲田の澤、そして慶応の永里と、三人の応募者がいた)

次の語句は和訳はつけません。上で説明したこと、コロンとセミコロンの違いを念頭に置いて
ご自分で考えてみてください。

Kant: one of the greatest philosophers in Germany
Kant; one of the most popular philosophers in Japan



最後のアメリカ代表監督Pia Sundhage女史の言葉で、基本だけれども、実は、意外と
その違いに無頓着な方が少なくない、「have to」と「must」の違いを復習しておきましょう。

it has to be a final to remember.


mustはどこまでも「主観的な義務」や「主観的な状況認識」を表すのに対して、
have to, have got toは「間主観的な義務」や「間主観的な状況認識」を表す。

ですから、このセンテンスは、
「誰が何と言おうが私は、この試合はこれからも語り継がれるような試合であると思う」
という押し付けがましい主張ではなく、「私の意見はさておき、どう見ても、この試合は、
これからも語り継がれるような試合ではないでしょうか」というニュアンスになるのです。



尚、英文法の事項に関して疑問を感じられた場合にはこちらを参照してください。
そして、本ブログ記事で使う準動詞用の記号ももう一度掲げておきますね。

◎準動詞のKABU式表記
・原形不定詞:ba-V
・to不定詞:to-V
・動名詞:V-ing(g)またはVg-ing
・現在分詞:V-ing(p)またはVp-ing
・過去分詞:V-pp


・『再出発の英文法』目次
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/4c90b691d5e0e53d8cb87f7803a437ce




【資料-おまけ記事】
尚、記事の字数制限の関係からここに「おまけ記事」を一つ収録しておきますね。

Japan settle in with the leading pack
The FIFA Women’s World Cup Germany 2011™ has clearly left its mark on the latest edition of the FIFA/Coca-Cola Women’s World Ranking.

That being said, despite changes in the points tallies, there have been no moves in the top five, with finalists the USA continuing to lead the pack, followed by Germany, Brazil, Japan and Sweden. Japan’s defeat to England in the group stage prevented the newly crowned world champions from moving any further up the ranking – although for the Nadeshiko, winning their first title will surely more than make up for it.

Meanwhile, England have made a big jump thanks to their victory over better-ranked Japan, which earned them four places, landing them in sixth position. For two other Women’s World Cup participants, however, the move is in the opposite direction following disappointing performances at the tournament, with Canada (8th, down 2) and Korea DPR (12th, down 4) slipping down the ranking after failing to record a win.・・・


(159 words)

【出典:FIFA.com, July 22, 2011】






<続く>




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