英語と書評 de 海馬之玄関

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再出発の英文法(追補):「パラグラフ」ってなに?

2017年05月01日 23時01分59秒 | 英文法の話題

 

※本稿は「新稿」ではなく単に旧稿(↓)の内容の採録です

・英文読解 one パラ道場:英語教材として読む安倍談話(英文全文)-【本編1】
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/4ae716646a2e8fc56b71dc5576e56b96

・英文読解 one パラ道場:英語教材として読む安倍談話(英文全文)-【本編10】
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/64475cafcc06c3012fa411e57fe5432d

 

ネットのアクセス調査からもこれらの記事の「需要」がけっこうあるようなので、

切り分けて再アップロードすることにしました。ていうか、この、約束の記事(↓)

もう少し時間がかかりそうだから(涙)、今月は「利息」だけ(?)。

・英語史的文法論の要点覚書

 --異形の印欧語「現代英語」の形成、それは「格変化」の衰退から始まった
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/91718985f1a5d1b7df4c7485a966c123

・予告!! 「one パラ道場-あしながおじさん"Blue Wednesday" de 英文読解」の画像キャスト決定なのら!!
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/a5e0ce382a39e2b41397efa8e5873388

 

で、題材の英語テクストは「安倍談話」の最終部分。これです。

 

 

 

S58-S59>

We must pass this down from generation to generation into the future. We have the great responsibility to take the lessons of history deeply into our hearts, to carve out a better future, and to make all possible efforts for the peace and prosperity of Asia and the world.

 

S60-S62>

We will engrave in our hearts the past, when Japan attempted to break its deadlock with force. Upon this reflection, Japan will continue to firmly uphold the principle that any disputes must be settled peacefully and diplomatically based on the respect for the rule of law and not through the use of force, and to reach out to other countries in the world to do the same. As the only country to have ever suffered the devastation of atomic bombings during war, Japan will fulfil its responsibility in the international community, aiming at the non-proliferation and ultimate abolition of nuclear weapons.

 

S63-S65>

We will engrave in our hearts the past, when the dignity and honour of many women were severely injured during wars in the 20th century. Upon this reflection, Japan wishes to be a country always at the side of such women’s injured hearts. Japan will lead the world in making the 21st century an era in which women’s human rights are not infringed upon.

 

S66-S70>

We will engrave in our hearts the past, when forming economic blocs made the seeds of conflict thrive. Upon this reflection, Japan will continue to develop a free, fair and open international economic system that will not be influenced by the arbitrary intentions of any nation. We will strengthen assistance for developing countries, and lead the world toward further prosperity. Prosperity is the very foundation for peace. Japan will make even greater efforts to fight against poverty, which also serves as a hotbed of violence, and to provide opportunities for medical services, education, and self-reliance to all the people in the world.

 

S71-S73>

We will engrave in our hearts the past, when Japan ended up becoming a challenger to the international order. Upon this reflection, Japan will firmly uphold basic values such as freedom, democracy, and human rights as unyielding values and, by working hand in hand with countries that share such values, hoist the flag of “Proactive Contribution to Peace,” and contribute to the peace and prosperity of the world more than ever before.

Heading toward the 80th, the 90th and the centennial anniversary of the end of the war, we are determined to create such a Japan together with the Japanese people.

・英文資料:安倍談話(英文全文)
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/94265cbc1a830d3eea30eb8de8d34c82

 

 

 

◆パラグラフ-英語の<風呂敷>のお話し
(S58)「We must pass this down from generation to generation into the future. 」、ここから、<安倍談話>は第4コーナーを廻って直線コースに入ります。<安倍談話>本文--「安倍談話の英文テクスト」の本文のことです--全1664 words:73センテンスの内、ここから最後の「Heading toward the 80th, ・・・to create such a Japan together with the Japanese people.」まで417 words:16センテンス。ホームストレッチの保守派国民の歓声とリベラル派のブーイングが聞こえてくる、そんな景色。

冒頭の2センテンス(S1-2)を除き、以降、「The peace we enjoy today exists only upon such precious sacrifices. And therein lies the origin of postwar Japan. 」(S33-34)までの箇所が、開国から1945年までの日本の道筋を反芻した箇所。そう、リベサヨさん達からは「反省が足りん!/都合のいい史実の摘み食い的羅列にすぎん!」、他方、保守派からは「Sorry, 歴史の授業みたいで眠たいです、総理」の部分。途中の中間的な総括的感慨が述べられた(S21-22)を含めて、561 words:24センテンスでした。だから、理路から見ても分量から見てもここが(S58-73)内容的には<安倍談話>の核心と言えると思います。

(a)村山談話・河野談話の止揚・葬送
(b)戦後世代の戦争責任・戦後責任なるものの否定
(c)国際法と国際政治の慣習の遵守貫徹の宣言-誓約


もちろん、テクストの国際政治のコンテクストにおける中核的内容は、(a)村山談話の止揚であり、(b)歴史問題を貴国が問題にするのは自由だけれども--それは、文字通り、貴国の国内問題であって、--そのことによって、日本が、まして、日本国民が--戦後生まれの世代が8割を越える現在--謝罪するなり賠償するなり、それを汲んでなんらかの交渉事に関して貴国に日本が譲るなどということは断じてありませんという通告。そして、(c)特定アジア諸国に対して「今後、日本は--岸内閣から佐藤内閣まで、もともとそうであったように--国際法と確立した国際政治の慣習に則ってのみ貴国とはお付き合いしますよ」という宣言でしょうけれども。閑話休題。



而して、英文読解・英文ライティングの教材的に重要なこと(美味しいこと)は、実は、この部分、本当に綺麗で/典型的なお行儀のよいパラグラフ(one paragraph)をなしていること。 

>パラグラフてなに? それ美味しいの?

 はい。美味しいのですよ。なぜか、それは、

英文を読んだり聞いたり、話したり書いたり、歌ったりするときには

お約束があるから。そして、「パラグラフ」はそのお約束の<合鍵>だから。 

・再出発の英文法』と英文法の体系
  http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/456520dd47a80deecba9b890028a6c0e

・再出発の英文法:文型
  http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/44acbe36196ec583d19e6294e26980af

・再出発の英文法:倒置・疑問文
 http://ameblo.jp/kabu2kaiba/entry-12270648910.html

 

【MV full】 フライングゲット (ダンシングバージョン) / AKB48 [公式]・・・「パラグラフ」の隠喩として

 

 

◆海馬之玄関ブログの考える-英文読解のお約束◆
(甲)英文は必ず「前から後、左から右」に読むこと。
(乙)英文はセンテンス単位で読むこと。
(丙)英文はパラグラフ単位でよむこと。
 

(甲)英文は必ず「前から後、左から右」に読むこと。
これ、「左のリベラル派から右の保守派に」と覚えてくさい。
英文に漢文の「レ」点-返り点、や「一, 二, 三」「上, 中, 下」の記号
打ったら駄目ですよ。

・・・( ..)φ


(乙)英文はセンテンス単位で読むこと。
英文は、センテンス(「S→V→・・・」構造)の集合体です。そして、センテンス--正確に言えば、大文字から始まって「ピリオド」「?」「!」のどれかまでの単語列--で意味が完結しています。而して、幾つかのセンテンスが作るパラグラフで論理が完結し、論理の流れる理路がその作品テクスト全体の主張をなす。だから、まずは、センテンス単位で、きちんと、そこで完結しているはずの意味を取ること。

その際、センテンスではない--センテンスの一部を構成しているにすぎない--見た目「S→V→・・・」構造の箇所(節-clause)を元のセンテンス--厳密に言えば、大文字から始まって「ピリオド」「?」「!」のどれかまでの単語列--の「S→V→・・・」構造にどう組み込むか。これが英文読解作業の、まー、半分を占めるのですが、それは実地で体得しましょう(といっても、それは関係節と従属接続詞・接続副詞の導く「S→V→・・・」構造(=節)の二つのケースしかなんですけどね)。

例外は、--TOEIC・TOEFL等のお行儀のよい英文、あるいは、ビジネスドキュメントや法規・契約書の類の曖昧さが嫌われる英文の範囲ならば、--二つしかない。(1)次の7種類の等位接続詞-「七人の侍」が複数の「S→V→・・・」構造をつないでいる場合と、(2)コロン(:)、セミコロン(;)が、同様に、複数の「S→V→・・・」構造をつないでいる場合だけ。これらに遭遇したら、--小泉純一郎総理や麻生太郎総理のような--変わり者のセンテンスがきたと諦めて通常のセンテンス(=主節)--くどいですが、大文字から始まって「ピリオド」「?」「!」のどれかまでの単語列--と同様に読んで下さい。

>等位接続詞-「七人の侍」:and, but, or, nor, so, for, yet

こう考えると結構美味しいことある、鴨。英語のすべてのセンテンス(それも「S→V→・・・」構造)には、当然、一つの主語(S)と一つの述語動詞(V)しかないことになりますよね。なら、それを見つけるのは容易、少なくとも気が楽になる。また、センテンスのその単語の配列=語順も大体は--昔懐かしいというか、現在、「天賦人権論」と同様に、世界では日本でしか使われていませんが--「5文型論」の教えるとおりになっているはず。と、そう考えてもよいですから(その唯一の例外が「倒置」だけど、これもパターンは極々有限)。この認識-確信-信心は、TOEICで600点前後までの方には福音(good news)ですよ、多分。

・・・( ..)φ 

(丙)英文はパラグラフ単位でよむこと。
英文のセンテンスは「パラグラフ」という<風呂敷>につつんで相手に--<読者>であるあなたに!--手わたされています。だから、こちらも、普通は見えないそのパラグラフという<風呂敷>からセンテンスを取り出して賞味しなければ、センテンスの意味は半分も理解できません。

どういうことか。それは、あるパラグラフは--パラグラフを構成するセンテンス群の間には--その内部で論理が完結しており、強い結びつきがある。逆に、パラグラフ内部では、「だがしかし」「というのも」「ちょっとまってほしい」等々の前後をつなぐ余計な朝日新聞の社説が好きそうな言葉は--あくまでも、日本語の文章と比べての「相対的」なものですが--不要ということ。そのつもりでどこまでが一つのパラグラフか当たりをつけながら読んでください。

慣れれば、たいがいのドキュメントなら英文見た瞬間、赤い枠でパラグラフ毎にセンテンスが囲まれて見える境地になれるものです。いえ、体内でアセトアルデヒドに変わる物質の摂取過多ではない(笑)。というか、もう止めたもんそれ。あっ、できれば、パラグラフ単位での英文読解力向上のためにも、つとめて音読してみること。これは文句なくお勧めします。所詮、言語というのは音声なんですよ、その正体は、多分。

英文のセンテンスは「パラグラフ」という<風呂敷>につつんで相手に--<読者>であるあなたに!--手わたされています。だから、こちらも--普通は見えないそのパラグラフという--<風呂敷>からセンテンスを取り出して賞味しなければ、センテンスの意味は半分も理解できません。・・・

ポイントは簡単、それ一つだけ。それは、「英文の「パラグラフ」というものは、形態面と内容面から捉えなければならない」ということ。この「形態面と内容面」は表裏一体のものですが、そう言える。「パラグラフ」の形態については、どんなライティング教本にもイの一番に書かれているから--例えば、大学受験予備校の教材でも、例えば、・・・以下、自粛(笑)。とにかく、もう珍しくはないですから--常識の範疇のものでしょう。しかし、念の為に書いておくと「パラグラフ」の形態とは、

(Ⅰ)トピックセンテンス--そのパラグラフで<話者>が述べたい主張(メインアイデア)を
1個だけ/唯一一つだけ!)記したセンテンス(群)

(Ⅱ)ボディ--メインアイデアの主張を補強する部分。具体例、想定される反論への
積極的予防攻撃、あるいは、メインアイデアの有効性の範囲(賞味期限や値域・定義域)
を延べ、メインアイデアに説得力を持たせるセンテンス(群)

(Ⅲ)コンクールジョン--メインアイデアの再論、および(←ここ重要、「または」ではないですよ!)、場合によっては、このパラグラフで行った思索に関する<話者>の総括的感想、または、このパラグラフの思索の後、次に考えることの予告を述べたセンテンス(群)


この形態の観点からは、漢文作法の「序・破・急」、本邦の「起・承・転・結」と似ていると言えなくもない。「起承転結」の見本を作ってくれと頼まれた、頼山陽(1780-1832)作とされる(←梁川星厳作説も有力)有名な例を見ると、日英の理路展開の形態的パターンの関係はこうなるから。

(起)京都三条、糸屋の娘
(承)姉は十六妹は十四
(転)諸国大名は弓矢で殺す
(結)糸屋の娘は眼で殺す


(Ⅰ)トピックセンテンス(Topic Sentence)<--起
(Ⅱ)ボディ(Body)<--承・転
(Ⅲ)コンクールジョン(Conclusion)<--結

しかし、日英の<パラグラフ>には決定的な差がある。それは、日本語の場合、必ずしも「メインアイデア」が要求されない--むしろ、全体を読んだ上で、<読者>に察してもらうことが文章の上手とされるくらい。うん、実に奥ゆかしい--ことです。実際、「京都三条、糸屋の娘」がメインアイデアかと聞かれると、ここは「京都三条、糸屋の娘は、男衆を眼で殺すほどに艶っぽい」の意味なのですと強弁する人もいるけれど、まあ、それは無理筋。いずれにせよ、日本語の文章の「起」の多くはこんな強弁さえ白旗を揚げるようなしろものでしょう。ならば、だからかな、日本語の文章は「渦巻き型で入り口も出口もない星雲状態ではあーりませんか」とか酒量じゃなかった、修行の足りん英語のネーティブスピーカーに詰られる。比喩を続ければ、日本語の文章というのは、ビックバン以降の数十億年の時間の経過の中で塵やガスが小型の星雲になりそれが集まって星々(<話者の主張>)になっていくような、動態型、プロセス選好のものとは言えましょう。

>日本語のパラグラフ=渦巻き型星雲の進化の動態

こんな一文にもならない一般論は終了しますが、一つだけ申し添えておきたいのは、「構造選好=ストラクチャー選好」の英文と「プロセス選好」の和文の差はあくまでも「主張→理路→論理」展開の流儀の違いであって、英語やドイツ語が論理的な言語で日本語が非論理的な言語だなどとは言えないこと。日本語でも論理的に書こうと思えば/話そうと思えばいくらでもできるし、朝日新聞の社説の如き非論理的な内容も英語で書こうと思えばどれくらいでもできますよ、ということです。




さて、ここからが本番。前に書いたことですが、英文では「パラグラフを構成するセンテンス群の間には強い結びつきがある」、このことから三つのことがルール化・慣習化されます。それは、(1)ボディの部分でメインアイデアの具体例や具体的帰結を述べるケースでは、ボディを構成するセンテンス(群)の形態は同型のものが推奨されるということ、(2)パラグラフ全体を通して、言わなくとも読者に伝わると<論者>が考えた言葉、特に、余計な接続詞・接続副詞は割愛されるということ、(3)ボディの中では、--特に、同型の理路の繰り返しが採用されている場合には、--同じ意味の単語は、就中、述語動詞や副詞は別の単語に言い換えられる傾向が強いこと

<安倍談話>で検証すれば、(3)テクストパラグラフの中のボディ部分、全16センテンスの13センテンス(S60-72)を構成する四つのパートは、すべて、下の(↓)同型の形態で記されています。そして、(2)この箇所を和訳しようとすれば誰しも悩むところですが、日本語なら、少なくとも、四つの部分の冒頭、あるいは、各部分の最後のセンテンスの前には「そして」「すなわち」「よって」「つまり」等々の言葉を入れたくなる。なるなる、きっとなる。そういう言葉がないと<読者>に不親切のように感じる。日本人と日本語が母語話者の日本市民は。

We will engrave in our hearts the past, when  
Upon this reflection, Japan will continue to uphold  
Japan will fulfill its responsibility(S62)  

We will engrave in our hearts the past, when  
Upon this reflection, Japan wishes to be  
Japan will lead the world(S65)  

We will engrave in our hearts the past, when
Upon this reflection, Japan will continue to
Japan will make even greater efforts to fight(S70)

We will engrave in our hearts the past, when
Upon this reflection, Japan will firmly uphold(S72)
・・・・・・(S?)


この経緯が「パラグラフを構成するセンテンス群の間には強い結びつきがある」ということの顕現であり、英文ではパラグラフ内の、よって、同一の部分の中の各センテンス間の結びつきが強く--<風呂敷>に入っているのだから、こぼれない!--、そういう「そして」「すなわち」「よって」の如き言葉がなくとも、不親切でもなく、朝日新聞や岩波書店に巣くうリベサヨインテリさん達の物言いのようには上から目線の高飛車とは受け取られないのです。安心してください。

上の4箇所のボディ最後の(S72)の最後「・・・・・・」になっていますよね。これ、安倍総理が書き忘れたのか、サイトにアップロードする際に担当者が「忖度」して(笑)コピペしそこなったのか。いえ違います。なぜならば、簡単に言えば、というか杓子定規に記せば、これまた(2)「読者に理解可能な言葉・・・は割愛される」ルール/慣習の適用なのです。実例で言えば、それは、このパラグラフのメインアイデア(S59)そのものということ。

We have the great responsibility to take ・・・and to make all possible efforts
for the peace and prosperity of Asia and the world.(S59)
(歴史の教訓を深く胸に刻み、より良い未来を切り拓いていく、アジア、そして世界の平和と繁栄に力を尽くす。その大きな責任があります)

そして、難しく言えばこうなる。実は、英語のネーティブスピーカーも、この4番目の「・・・・・・」の所まできたとき、つまり、実際の(S72)を読み終えた際に/聞き終えた刹那には、無意識に次に「Japan will+「S→V→・・・」構造」を期待します。それがなくて、次のセンテンス、実際の<安倍談話>の最終センテンス(S73)を読み始めたとき/聞き始めた刹那には、そうその間0.68秒くらいは「Japan will+「S→V→・・・」構造」がないことに、逆に、英語のネーティブスピーカーはフラストレーションさえ感じる。

Heading toward the 80th, the 90th and the centennial anniversary of the end of the war,
we are determined to create such a Japan together with the Japanese people.(S73)
(終戦八十年、九十年、さらには百年に向けて、そのような日本を、国民の皆様と共に創り上げていく。その決意であります)

けれども、ばってん、そやけどな、です。次の、実物の(S73)に接して0.68秒が経過した頃、読者/聴衆の彼女や彼は、無意識に確信するのです。あるべきはずの幻の(S七三’)が、メインアイデア(S59)そのものであったことを。そして、実は、それは今自分が読んでいる/聞いている、現実の(S73)でもあることを。ややこしいので、もう一度説明。

英語のネーティブスピーカーである彼女や彼は、現実の(S73)は幻の(S七三’)であり、かつ、それは、メインアイデア(S59)の言い換え(variation)に他ならないことを、よって、見えないけれども実は、4番目のボディは形態面でも(S71-72/+七三’)として完結していることを--現実の(S73)を読み始めて/聞き始めて1秒足らずの間に理解するのです。蓋し、--トフルゼミナールやプリンストンレビュー(アゴスジャパン)、あるいは、ブリティッシュカウンシル、テンプル大学日本校、東進ビジネススクールや「札幌ネルス」といった(英語を理解する能力養成について)定評ある本職の研修機関で(←今でもよう子さんの「ネルス」を除けば首都圏に集中してるなぁー、義憤。)学ぶ機会のあった方にはもうくどいと感じられるかもしれませんが--、「パラグラフリーディング」の極意というか醍醐味とはこのようなものです。逆に言えば、それは摩訶不思議なものでは全然ない。本線復帰。 

・海馬之玄関認定--使える英語をものにしたいの、という向きにお薦めの3ブログ紹介
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/affa0dbf8ba7dae9baea52eff35a72f5

さて、英文では(1)「ボディを構成するセンテンス(群)の形態は同型のものが推奨される」傾向もあるのですが、その帰結として、(3)「ボディの中では、就中、同型の理路の形態を採用した場合には、同じ意味の単語は、就中、述語動詞や副詞は別の単語に言い換えられる傾向が強い」のです。要は、同型の繰り返しであれば意味が取りやすいとしても、また、繰り返すことで<論者>の気合いというか熱意を表現できないこともないとはいえ、それは、退屈。アメリカ人にせよアイルランド人にしてもこの感覚は万国共通、多分。「今夜も汽笛が、汽笛が、汽笛が」も三回くらいが(作曲理論的には本当は2回までという話もあるくらいで)限度、鴨。そうなると、KABUは繰り返しますが(笑)、「同じ意味の単語は、就中、述語動詞と副詞は別の単語に言い換えられがち」なのです。

この傾向を(variation:ヴァリエーション)と呼びます。注すべきは、variation が頻発するのは--英文作成・読解のルールや慣習やTips と言えるのは--、①同一パラグラフ内の、しかも、②ボディ群、および、③トピックセンテンスとコンクールジョンの間だけであること。もちろん、どんな単語を何回使おうが話し手や書き手の勝手。ならば、①②③がルールや慣習であると記すことで、私は何を言っているのか。それは、①②③の条件を外れた単語の選択(ワードチョイス)は<論者>や<話者>たる<作者>の個性や気分の問題であって、テクスト解釈やテクスト作成における<パラグラフ>の原理とは無関係ということ。それは、パラグラフの理路の本線とは関係希薄なテクストの彩りにすぎないということです。

英語が母語のインド人でもイギリス人でも日本人や日本市民と同じ人間です。ならば、誰でも、同じ意味内容を表すのに、前に使われた単語やフレーズと違うものを使われたらドキッとします。ショッパンマンさまに話しかけられたドキンちゃんほどではないけれど、やっぱ気になる。それが万国共通の人情。だからこそ/それもあって、英文契約書や英文マニュアルでは、同じ意味内容を指し示す場合には徹頭徹尾、終始一貫、表紙から裏表紙まで同一の単語やフレーズが使われる。ならば、上の①②③の条件を勘案しない variation は日本人および日本語の母語話者の日本市民にとってギャンブル。それは、<パラグラフ>の<風呂敷>に、寧ろ、穴をあけかねない、勇気や酔狂ではなく無駄か有害な試みだと思います。

而して、<安倍談話>は徹頭徹尾、この①②③を遵守している。前口上で述べたように、だから逆に、<安倍談話>は英語の母語話者から見たら上品だが退屈なテクストになっていると思います。それでいいんです。<前田敦子>は<不動のセンター>であることに意義があったではありませんか。

ヽ(^o^)丿
 


 

・君はメロディー

・・・そこに「前田敦子」がいるだけで生じる<パラグラフの安定感>。凄いね、溜息。

 https://www.youtube.com/watch?v=Q2E7TLotcko

・『再出発の英文法』目次
  http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/f49121d5434770e6c0ca02c9161634bd

・資料○◆小嶋陽菜AKB48卒業、涙
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/76aa5bf97e3217b84dba47549dca59b8

 

 



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